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ヴァルキュリア

核の起爆に巻き込まれたライル。彼は死後の世界に向かいはずだったが、目の前に広がっていたのは………。

核の起爆に巻き込まれた俺達。


核の起爆に巻き込まれて助かるはずは無い。実際に俺の目の前が漆黒の闇に包まれている。



(……暗い……何も無い)



本当に何も無い。


周りには何も無く、何も聞こえない。


死んだということで全ての感覚が機能を停止したのだろう。

別に死んだということには拘らない。生きる者全ていつかは死ぬのだし、それが早くなっただけの話だ。



「……て………い」



何やら幻聴が聞こえて来た。死んでも幻聴がきこえるのか?



「お……くだ…い」



少しずつだが幻聴が大きくなっていき、何やら話しかけているようにも聞こえる。

だが俺は死んだ人間関係だ。“死人に口無し”という言葉通り答えない方がいいだろう。



「おき……よ…………おき……てば」



そろそろ鬱陶しく感じられてきた。


死んだらこういう幻聴がいつまでも聞こえるのか?

そう思っていると耳の中から鐘が鳴り響くことになる。



「起きなさいって言ってるでしょ!!!!」


「うわぁ!?」



いきなりの大声を思わず飛び上がってしまう。すると目の前が黒から白にかわるが、相変わらず何も無い。

どうやら先ほどの黒い空間は単純に目を瞑っていたからだろう。



「やっと起きた……もう!!」


「うぅぅ……起こすならもっと優しく起こし……て……」



俺は振り向いた方角を見ると言葉を失った。何しろ目の前にいたのはブロンドのロングヘアに幼さが残る顔、豊満なバスト、極め付けは背中に生えた純白の羽。その姿はまさしく“天使”だ。



「て……天使…だと」


「もう!!そんなこと言っても許さないもん!!起きたら目の前にすっごく可愛くてスタイル抜群の“天使ちゃん”なんて言ってもね!!」



誰もそこまで言っていない。


俺から見て彼女の第1印象は“アホ”だ。


そう考えていると先程の少女が顔を覗き込んで来た。



「いますっごく失礼なこと考えてたでしょ!?」


「い……いや………別に…」



そして感が鋭い。


まあ、確かに可愛いがそれをいえばどうなるか解らないし、何よりも嫌な予感しかしない。

だが彼女は頬を膨らましながら腕を組む。



「全く……目の前に可愛い女の子がいるんだから少しは驚いてよね」


「いやいや………これでもかなり驚いているんだぞ、目の前に御伽噺でしか知らない天使がいるんだからな……」


「そういうものなの?」


「そういうものだ……だがここは何処なんだ?」



そういうとおれは改めて周囲を伺う。


改めて周囲を見渡すとやはり何も無い。


どこまでも真っ白な空間が広がっていて、ここまで何も無いとなんだか清々しい気分になる。



「ここはこの世とあの世の間にある空間“世界の狭間”と呼ばれてる空間よ。現世で死んだ人間はここを通ってあの世に向かうのよ」


「ということは俺は確かに死んだをだな……で、君が俺の案内係か何かか?」


「ちょっと違うわね」


「?」


「私の名前はスクルド。ヴァルハラを治める軍神オーディンの娘で運命を司る女神ノルンの1柱で天界一可愛い天使ちゃんよ♪」



俺は耳を疑った。


ヴァルハラといえば現世で死んだ優秀な戦士達が集い、来るべき運命の日“ラグナロク"に備えて日夜鍛錬に励む場所だ。


だがそれよりも気になることがある。



「……可愛い?」


「驚くところが違うでしょぉ!!」


「いってぇぇ!?」



叫びながら彼女はどこからか取り出した巨大なハンマーを取り出して俺の頭をフルスイングした。


その後も彼女からの説明が続く。


何でも俺達の世界から見て過去の世界の人間が誤って別次元の世界に飛ばされ、それ自体なら稀にあるということで放置していた。

だがその人間が降臨した世界から妙な気配が感じられるらしい。


そこで彼女の実質的な父親にあたる軍神オーディンが俺達にその世界に赴き、原因の究明と可能であれば救済を依頼したいらしい。


もちろん全面協力として武器弾薬、装備、兵器、資材の無償提供は惜しまない。


資金面も当初はあったが最初の資金面だけ受け取り、その後は緊急事態以外は自分達で稼ぐことで可決した。




「それでどうする?」


「断る理由がないし条件も俺達にとって凄い好条件だからな。引き受けよう」


「ありがとう!!」


「それで、俺達が向かう世界はどんな場所なんだ?」


「ああ、そうだったわね……えい!!」




彼女が指を鳴らすと俺の目の前に地球儀のような球体が姿を現した。


「あなた達が向かう場所は古代中国、約1800年前の時代で三國志の時代。後漢末期といえば分かるかしら?」


「ああ、その時代なら俺の好きな時代だからな。問題ない。すまないが早速向かうとしよう」


「分かったわ。それで装備はどうする?」


「装備に関しては死んだ直前のものを頼む。銃火器はこういう風にしてくれ」




そういうと俺は紙とペンを取り出して装備リストを書き込み、書き終わるとジーンに渡した。




「分かったわ。着いたら装備している状態にしておくわ。それと時代はまさに群雄割拠よ。武術の実力を底上げしておくからあとで確認してね」


「了解だ、向かうとする」


「お願いね。軍神オーディンの加護があらんことを……」




彼女が祈りを始めると俺の身体が小さな粒子になっていき、地球儀に吸い込まれる様に消えて行く。


俺達の第二の人生の始まりである……………。



スクルドからの依頼を引き受けた俺達は三國志の世界に到着するが、そこは知っている三國志とは少し違う世界だ。

そして俺達の前に2人の人物が現れる。


次回“後漢末期”



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