-Infinity sniping-
今回から前書きにてキャラの説明をしていきたいと思います。これを見てもっと知っていただければと思います。
名前 信濃 怜 (しなの とき)
使用武器 L115(スナイパーライフル)
容姿 少し地毛で茶っ毛が入っているショート 目が澄んだような青色
身長 158cm
性格 面倒くさがり、怖がり
能力 インフィニティ スナイピング-無限狙撃-
使用時、弾丸の空気抵抗を減らし射程距離を極端まで上げることができる。
備考 自分自身、1番満たされていた時期は中学生だと思っている(島 沙耶香に会った時)。でも本人に言うとめんどくさいため1度も言っていない。
第一章 「決意」
「新時代サバイバルゲーム」に参加した翌日。3人は中庭のベンチでお昼ご飯を食べていた。
私たちの通う深園学園は私立校である。しっかりと整備
された中庭にはベンチも多く立ててあり休み時間は
生徒のたまり場となっていた。
「そういえば2人とも結局続けるの?
私はまだやってもいいかなー。って思ってるんだけど…」
購買で買ったパンを食べながら2人に質問する沙耶ちゃん。
「私は…正直楽しかったよ…中学校以来かな。
こんなにワクワクしたの。」
「…中学校?しなちゃん…中学校の時に何かあったの?」
私の言葉を聞けば陽乃ちゃんがピクリと反応し
聞いてくる。ここは無難に流すのが正解だろう。
「うん…まぁね…めんどくさいし言わないけど。」
チラリと目を沙耶ちゃんの方に向けると全く気にして
居ないのか張本人はパンに夢中である。
「そっか…私はもっと続けたいかな。
あそこにいれば変われる気がするし、
何より2人と仲良くなれた場所だから。」
真剣な顔付きで話す陽乃ちゃん。
なんだかこちらが恥ずかしくなってくる。
「んじゃあ2人とも機会があったらー。って
感じ?」
食べ終わったのか私たちの会話に混ざり身を
寄せてくる。その時校内放送が鳴った。
「2のCの信濃、島、菅谷。
お昼を食べ終わったら指導室に来るように。」
2度同じ言葉が繰り返される。
「うぇ…またなんか怒られんのかなー。」
不満げな顔をして立ち上がる沙耶ちゃんに
陽乃ちゃんが続く。
「私がいるからそういうことは無いと思うんですけど…」
「自分ではそう言ってるけど割と私らと
関わってること多いからね…割とあるかも?」
私も2人に続いてベンチをたち指導室へと向かう。
「もー!酷い、しなちゃん!!」
私の言葉に対して本気で怒ってはいないものの軽く怒って見せる。普段は真面目なためたまにこういうところを見ると可愛く見えたりする。これがギャップ萌えというやつだろう。
そんな事を考えているうちに指導室につき
中には教頭先生が座っていた。
「こんにちは。3人とも、まぁ。座ってくれ」
呼び出しで教頭先生が座っているということは今回はよっぽどまずいことをしてしまったのだろうか。
「は、はい…失礼します。それで呼び出された理由は…」
大人しく支持に従いこちらから切り出してみる。
「君たち昨日新時代サバイバルゲームに参加したね?」
とても深刻そうな顔つきで聞いてくる。
「はい…参加してはいけなかったのでしょうか。」
「私たち何も悪いことしてないよー!!校則にも新時代サバイバルゲーム禁止ってないよ…」
なぜそのことについて言われるのだろうか。
いまいちまだわからない。
「いや、別に悪いということでは無いのだ。むしろいい事だ。そこで君たちにお願いがあるんだ。我々深園学園をアピールするためにその大会に出て欲しい。」
突然柔らかい表情になり微笑みながら依頼してくる。女子高生にサバイバルゲームに出てくれと頼む教師の図はなんともシュールである。
「日付は3ヶ月後、いい返事を期待しているよ。」
それだけ口にすると指導室を後にした。
「さてと…どする?お二人さんー。こんなことになっちゃったけど。」
先生が去った後で不気味な笑いを浮かべながら聞いてくる沙耶ちゃん。答えはもう知っているだろう。
「…聞く必要ある?さっき機会があれば…とか言ってたじゃん。」
「私はさっきも言ったけどあそこには居たいから…」
まるで運命かと思う程しっかりし過ぎている。こうなったら正直やるしかない。私達は覚悟を決めた。
「だよね!!私も同じー。そろそろ授業始まっちゃうね…」
その言葉にふと時間を見ればあと1分程しかなく、走ったのは言うまでもない。けれど何故か普段より身体が軽かったような気がする。
第2章 「才能」
「そういえばさー。私の能力だけど試合の後色々いじってたらオブザーブ アイってさぁ…」
ふと思い出したように自分の能力について話し始める沙耶ちゃん。私達は昨日のフィールド「Z3」のシューティングレンジに来ていた。
「あー…あれ?あれがどうかしたの?」
私も隣で狙撃用の台に伏せながら聞く。
「うん。やっぱり人の位置が分かるらしい。ちなみに能力に集中すれば棒立ちになっちゃうけど一人の人に集中すればその人の視点がわかる。どこら辺見てんのかー。とかね?」
そんな能力もあったのか。だから私に指示出す時に私がどこ見てるかまでわかったのだろう。
「てことは…前で攻撃もできるし後ろで司令塔にもなれる。ってことじゃん…カッコイイと思う。」
素直な感想を口にしてしまった。これはまずい。
「でしょでしょ?さすが私!!で、この武器MP7だけど
こんなふうにジャッキーンってできるの!」
おもちゃを見せる子供のように折畳みのフォアグリップを出して構えてみせる。
「あ…あれ?沙耶ちゃんそれ…あの時は使ってなかったよね?」
マガジンをリロードしながら質問する委員長。またすっぽ抜けたのだろうか。
「うんうん。実は知らなくてさー。あはっ…でもこう
撃つとー…5発に1発は当たる!!」
ダメダメとは思ったが正直グリップを使う前の方が目を当てられなかったほどのためとても進歩したと言える。
「なら良かったじゃん…ん…」
適当に流しながら100m先の的をL115で撃ち抜く。
「お…お?やるねぇ…しなちゃん…スナイパーの才能でもあるのでは?」
隣に寝っ転がって体を寄せてくる。暑苦しい。
「かもね…私の能力インフィニティ スナイピングは
一時的な強化で射程距離が広まるらしい…でも1回使うと消えちゃうんだよね…」
どうやら私の能力は今のところ1試合に1発程度しか撃てないようだ。
「一時的な強化…強化といえばこのゲームポイント制で溜まったポイントでスキル強化とか武器を買ったり出来るらしいよ…」
強化という言葉に気づいたように陽乃ちゃんが近づき話し始める。
「なるほどねー。私も強化しよっかなー。
あのサイレントマン察知できなかったし!!」
確かに察知能力は強化したら強くなりそうではある。私の能力も強化すれば複数回撃てるようになるのだろうか。
「ん?だったら陽乃ちゃんその銃…L85だっけ買い替えちゃえばいいじゃん…」
思った事を口にしてみる。
「それが…私達のクラスはいわゆるポンコツクラスって言われてて…標準の銃を買うのも30万もかかっちゃうの…」
それは正直無理な話である。勝利ごとに1000、キルごとに500貰える上にスキル強化は5000。30万は程遠い。
「私の才能ってなんだったんだろう…」
暗い顔をして俯いてしまう。
第3章 「意思」
「…はるっちわかってないねぇ…わかってない。」
首を振りながら陽乃ちゃんの隣に移動する沙耶ちゃん。
「はるっちのは才能じゃなくて意思が強すぎたから
それになったんじゃないかな?誰かを倒したい。
じゃなくて守りたい。って意思」
陽乃ちゃんの目をじっと見つめ真剣な眼差しで話す。
正直こんなに真面目な沙耶ちゃんはあんまり見ない。
「意思…う、うん。私は家族とか友達とか、大切な人を守りたい。だからあの時だって沙耶ちゃんのために怖い人にも向かっていくことが出来たの。」
その言葉に頷き微笑む陽乃ちゃん。正直私が入るまでも無さそうである。
「それならそれでいいじゃん…そういえば何でポンコツクラスなの?シールドの能力めちゃめちゃ強いじゃん!!」
ふと気づき私も疑問に思った。正直守る能力はとても強いと思う。何か理由があるのだろうか。
「えっとね…調べてみたんだけど。L85自体が他より酷いらしいの…マガジンが勝手に抜けちゃったり、こう肩につける部分がすぐに割れちゃったり…あ、あと弾詰まったり。」
自分の銃の解説をスラスラと言う。さすが勉強熱心な陽乃ちゃんだ。
「わぁ…それは酷い。だからあの人も爆笑してたんだねー。
ん?しなちゃん黙り込んでどうしたの?」
突然話を振られ焦る私。
「ん?あ、ちょっとね…こう。シールドは最強だけど
穴は無いのかなって、陽乃ちゃんちょっと手出して
こっちにシールド出してみてよ。」
本当は2人の仲がいいなぁと思ってただけだが、それらしい事を口にしてみる。
「シールドですか…じゃあはい…」
疑問に思う事も無くこちらにシールドを向ける陽乃ちゃん。この機会だし試してみることにした。
「そのままね…えい…」
そのまま引き金を引き陽乃ちゃんに向かって銃弾を放つ。
…まさかこれ程とは思わなかった。スナイパーの弾は普通の弾より大きかったり細かったりで貫通力に長けるらしいが物の見事に弾かれた。
「ああ、ビックリした…撃たれるのってこんなに怖いんだね…」
本人もこの調子である。
「ごめんねー…んじゃ沙耶ちゃんよろしく。」
陽乃ちゃんの後ろで銃を構えている沙耶ちゃんに合図する。
「んー?はいはーい!」
シールドを構えている方と逆の背中側から撃ってみる。
「沙耶ちゃんっ…?!いったぁ!!」
ものの見事に直撃した。どうやら後ろからは防ぎきれないようだ。
「あっはっは!!後ろががら空きだよん…でも背中は守りきれないみたいだねー。」
その様子を見て爆笑する沙耶ちゃん。シューティングレンジの弾は練習用のためわずかながら戦闘よりは威力が劣る。
「酷いよ2人とも…何か言ってよ…」
少し涙目で話す陽乃ちゃん。相当痛かったのだろう。
「ごめんごめん…でも分かったからいいじゃない?
後ろからは守れない…ってこと。」
少し笑いながら謝る。でもこれが分かったのはこれからの戦術などを考える際に役に立つかもしれない。
「すみませーん!!スタッフの者でーす!!」
横から突然話しかけてきたのはビラを配る従業員の方だった。そこには「新イベント!夏限定!!Zボーナス!!」と書いてあった。
「おー。イベントだー。参加しようよー。ボーナスって書いてあるしポイントいっぱい貰えるんじゃない?」
説明をろくに読まずに提案してくる沙耶ちゃん。そのまま詳細を読んでいると嫌なものを見てしまった。
「これ…ゾンビゲームだって…夏限定って…ホラーじゃん。ちょっとこれはキツイかも…」
「え?ほんと?!私は好きだけどしなちゃんホラー系大嫌いだもんねー…修学旅行の肝試しで夜寝れなくなってたし。」
そうなのである。私自身怖いものは得意ではない。というか大嫌い。
「なるほどZボーナスっていうのはzombieボーナスの略なんですね…正直大会まで時間ないしこれで大幅に稼ぐしかないんじゃないかな…」
冷静に解釈する陽乃ちゃん。どうやら怖い系は嫌いではないらしい。
「ほらほら!ここに書いてあるよ?ゾンビ一体につき200ポイントって…5体倒すだけで一勝分だね」
確かにそうなのだ。ポイントはとても高い…やるしか無さそうだ。
「仕方ないなぁ…でも沙耶ちゃん守ってね?」
「当たり前じゃん!!しなちゃんは私のだし!!!」
私の、何だろうか。気になる。
「じゃあ参加という事でお願いします…」
そんな事を考えているうちに陽乃ちゃんは参加申請を従業員さんに出していた。もう引き下がれないようだ。
「…まぁ。いっか…そろそろ時間だし帰ろ?」
時計を見れば既に19時は過ぎていた。
「ん?何がいいって…あー。もう時間?仕方ないなー。
帰ろっか…」
「はい。私もお母さんに怒られちゃうから…」
一瞬私の言葉が気になったのか首を傾げる沙耶ちゃん。だがあまり気にしてないようだ。
3人で一緒に帰る。これがずっと続いたらまた退屈になってしまうのだろうか。正直そうはなって欲しくない。
そしてもう1つ…イベントの日。憂鬱です。