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インフィニティ スナイピング   作者: 東雲唯純
2/11

-Infinity sniping-

第1幕 「observ eye-観察眼-」


時間経過と共にスタートのベルが鳴り響いた。

今回は殲滅戦という事だ。その名の通り、3対3で先に

3人を倒した方が勝ちである。


「あれ…んー。おっかしいなぁ…」


「島さん…どうかされたんですか?」


「いやねー。私のレーダー何か知らないけど全員の位置

が表示されてるんだよね…それが、なんか分かんないけど

相手一人足りなくて…」


その言葉を聞いて自分も確認したがそのようなものは表示

されていない。


「…それってあれかな。案内の人が言ってた能力が

どうのこうのって…」


このVRの世界ではそれぞれに能力が分類されており、どうやら

島 沙耶香の能力は敵、味方関係なく人を察知出来るらしい。



「えー?それだったら私らしくないなー。

もっとこうどかーんって…」


「ま、まぁ。もう始まってますし行きましょう?

島さんが前で私が後方から支援します…!」


「んー。…了解っ。しなちゃんはここからよろしく!!

じゃあ行っくよー!!!」


元気な声と共に走り始める。相変わらず体力が

有り余っている。


-数分後-


「あー!!もー!!真ん中ぐらいまで来たけど

弾がいっぱい飛んできて動けないよ!!

ひぃ!!!」


ここまでは順調に進んできたものの突然斜め上からの

銃撃に阻まれ進めないでいた。はるっちはまだ来ていない

し、レーダーにはもう1人の接近している影がある。

このままではやられてしまうのは時間の問題だろう。


「…しなちゃんだったら。こんな時、私を信じてくれるよね。」


島 沙耶香は賭けに出た。



「しのちゃん!!聞こえる?!」


ビルの屋上でスコープ越しに沙耶ちゃんを確認していると

突然無線が入った。


「ん。沙耶ちゃんどうかした?」


「どうかしたじゃないって!!見てるでしょー?

ヤバいの!!弾めっちゃ飛んでくるの!!」


「でも私どうすればいいか分かんないし…」


「今から私が言う方向見て!!多分いるから!!

しなちゃんから見て相手の陣地のビルの屋上!!

多分そこ!!」


言われて確認すればそこには確かに機関銃を乱射

しているアキラが見える。


「おっけー…確認。撃ってみるね…」


そのままもう一度相手を確認し引き金を引くと

突然銃は跳ね上がり上方向にそのまま飛んでしまった。


「…いったぁ…これが反動って言うのかな…

私まで飛ばされそうになった…」


独り言を呟きながらマニュアルに従いボルトを引き弾薬

を送り込む作業をし、相手を見ればこちらを一瞥するも

関係ないと言った様子で再びニヤリと笑い連射し始める。


「そっか…これなら…行けるかも…」


寝っ転がり体重をかければ先程のように跳ね上がることは

無いように感じ、そのまま引き金を引けば今度は

ちゃんと狙ったところに飛んだがどうやら向こうまでは

届かないようだった。


「これでもダメか…沙耶ちゃんは…」


「私ー?!まだ耐えてるよ!!でももうヤバいって!!」


沙耶ちゃんの方を視認すればどうやら近くにも敵が来てい

るようで壁に隠れながら応戦していた。


「助けなきゃ…でも…どうすれば。」


その時自分の視界に「インフィニティ スナイピング」

という文字が出ていることに気づいた。


第2幕 「Infinity sniping-無限狙撃-」


「インフィニティ スナイピング…?なんだろうこれ…」


疑問にも思うが今は考えている場合ではない。

私は動いた。


「…でも、こうやって何か考えたりやったりするの

久々だな…私はこの世界でどれほど新しい道を

拓けるのかな…」


そんな事を1人呟きながらその能力を起動し引き金を引いた。

その瞬間弾は先程よりも、速く。強く。発射されその弾丸はそれることなく風を切って標的へと向かう。


インフィニティ スナイピングとはどうやら射程距離の制限を無くして狙撃することが可能なようである。


「うー…ん!弾丸止まった!!しなちゃんやったの?」


先程からずっと壁に隠れてやりすごしていたが突然

弾丸が止まったことに気づきしなちゃんへ無線を繋ぐ。


「うん…多分?アキラさんも居なくなってるし、

hitって赤文字が出てるよ…」


「まぁ。居ないならよし!!私も行くよ!!」


居ないことを確認し、目の前に来ている相手に

身を出し銃を構える。


「あー!あのチャラ男のもう一人!!」


「え?トオルだよ!!俺は…名前ぐらい…」


そう言いながら容赦なく私へと射撃してくる。


「わぁ!!もー!!危ないよ!!」


走ってどうにか回避し別のバリケードへと移る。


「危ないってそういうゲームだろうが!!」


アキラを倒され怒っているのか怒声を発しながら

そのまま連射してくる。このままなら向こうが

弾が切れるのが早いだろう。


「ふふん…お兄さんそろそろチェックメイトですぜ…」


「あ?何言って…やべぇ。予備がもうねぇ!!」


弾が切れることに気づき焦るトオル。私は正直

祭りの射的も上手じゃないし実銃なんて撃ったことない。

だから…突っ込んだ。


「もらったぁぁぁ!!!」


バリケードから身を乗り出し全速力で相手の懐へと

潜り込もうとした。


「ちくしょう…オラァ!!!」


弾が切れ、攻撃手段が無くなると思いきや突然

ナイフを出し殴るかのように突き刺してきた。


「うわぁ!?ナイフ?!あっぶな…」


懐へ潜っていたため当たるスレスレで回避し、

私は再び銃を構え、離れる。


「へへ…能力開いてナイフファイターとか出てきてよー。銃撃戦なのにナイフなんて何に使うんだよ!!

って思ってたけどこりゃ使えるわ…」


ニヤニヤと笑いながら近づいてくる。


「っ… やばいよ。どうしよう…」


少し後ずさり私らしくもなく焦ってしまう。


そんな時聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた


「島さぁぁん!!大丈夫ですかー?!」


少し息切れ気味ではるっちが追いついたらしい。


「あ?てめぇこいつの仲間か…ってその銃…

ぶふっ…ポンコツじゃねぇか!!!」


突然はるっちの銃を見れば笑いだした。一体どういう事だろう。


「ポンコツじゃ…えぇーい!!」


そう言いながらはるっちは銃を構え引き金を引く。


だがおかしい、弾が出ない…それどころか少し経つと

突然弾を入れる部分が外れそれを再び入れようと

モタモタしている。


「ちょっ、はるっち何してんのー?!」


「はっはっはっ!!!こりゃ傑作だわ!!!」


その様子を見てトオルは再び爆笑している。


「なんで外れちゃうの…ここまで来る時も何度も。

これじゃあ…私は…」


沈黙しはるっちは動きを止めてしまう。


「さてと…面白いもん見せてもらったし先に

めんどくさいお前からやってやるよ!!」


再びナイフを構えジリジリと近づいてくる。

正直この距離では私の弾が当たるかは怪しいだろう。


「オラァ!!!」


一歩大きく踏み出し全速力で迫ってきた。やられる。


…そう思ったが次の瞬間倒れていたのは私ではなく

彼の方であった。



私は守りたい。だからここに来た。なのに、ここでも

助けられない。なんで私にこんな使えない銃をこのゲーム

で渡されたのだろう。


でも守りたい。そんな時、視界の端に「アルティメット

シールド」という文字があることに気づいた。


撃てない。でも時間稼ぎくらいなら。

そう思い。私は銃を横にして突き出し島さんへと

迫る男性へと飛びかかった。


第3幕 「ultimate shield-最強の盾-」


「ビックリした…何やったの?はるっち。

あの男の人いなくなっちゃったしhitって

書いてある…」


「いやアルティメット シールドっていう能力があったので。それで銃を盾のようにして突っ込んだら透明な壁が

張られてそのまま…」


「あっはは…防御の特殊能力かな?

防御を攻撃に…あはっ…やるじゃん!」


「ありがとう…ございます。その、はるっちで

いいです。」


「え?呼び方のこと?!それなら私も沙耶ちゃんで

いいよ?あと敬語じゃなくていいからね?

学校の時とか普通に喋ってたじゃんー!」


「あ、う、うん!!じゃあ沙耶ちゃん…

その、よろしくね…!」


「向こうも片付いたんだね…やったじゃん。2人とも。」


そう1人口にしてとりあえず合流しようと思いゆっくりと

足を歩めビルから離れた。すると突然後ろから後頭部に

筒を突きつけられた。


「…動くな。」


…そこから私の記憶はあまり残っていない。


「そういえばしなちゃんそろそろ着くかな?

こっちに合流するって言ってたけど…」


「そ、そうだね…信濃さんとも仲良くなりたいかな…」


「んー?おや。足音が。来たみたいだね?

おーい!しなちゃ…」


駆け寄ろうと思い振り返った途端静かな銃声が

2度鳴った。


「あーあー。負けちゃったー!!

っていうかやられたなら言ってよー!!しなちゃん!」


帰り道少し不貞腐れながら私に嫌味を言ってくる。


「仕方ないじゃん…気づいたらやられてたんだし。

システム上hitされたら何も伝えられないし…」


「死人に口なし…って言うから…」


そのように横で解釈してくれる陽乃ちゃんに笑顔で

お互いに頷き合う。


「てかあの人めちゃめちゃ強かったんだけどー!!

後ろ向いた瞬間やられたし…」


「そうだね…おそらくあの能力は…音消しー。とか

気配消すやつかな…。分かんないけど」


「た、多分そうかな…じゃなかったら沙耶ちゃんの

能力でも見えてたよね…」


「あー。かもねー!悔しいなぁ…

ちなみに私の能力オブザーブ アイとか言うらしいよ?」


「直訳すると観察眼…かな?」


「お。さすが委員長…英語も成績優秀。だね…」


私の言葉に強く頭を振り否定しその様子に笑い合いながら

帰路を進む。こんなのもありかもしれない。



試合後のサバゲー会場にてある男が腕を組み

考え事をしていた。どうやら男は彼女達の試合を

観察していたようだ。


「なるほど…あの子達なら適任かもしれんな。」


しばらく考えた後、男はその場を去っていった。












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