そろそろパーティ追放されそうです!~でもなぜか一向に追放されません~
○そろそろパーティ追放されそうです!
俺はSランク冒険者のパーティで盗賊をやってるロッツってもんだ。
現在うちのパーティがリーダーである勇者リヒトのハーレム化が進んでる状況になってる。
その状況でリヒトを除いた唯一の男である俺への女性陣の目が厳しすぎて心が折れそうです!
俺の実力はそこそこ程度で最近活躍度が怪しくて、さらに性格が悪い!
いやね、性格の悪さは自覚しているの。
自分を表すと軽薄でその場しのぎで適当な言葉を吐く生粋の嘘つき、気分屋で皮肉屋、人を馬鹿にするのが趣味で、ギャンブルとノリと勢いで生きる刹那的な快楽を求めるクズ野郎なのよ。
はー、いい所ねぇー。
だから、そろそろかの有名な追放イベントが発生しそうな予感しかなくて戦々恐々としているところだ。
いや、リヒトは聖人なんじゃねーかというレベルの善人なんだが、何分押しに弱いところがあって女性陣の力が強いのよこのパーティ。
で、俺はそのパーティの女性陣に軒並み嫌われているのよね。とほほ。
女性陣が意見をまとめてそれをパーティの総意と言われてしまえばリヒトは押し切られてしまうだろう。
だから冗談みたいな追放イベントの噂が現実味が溢れだしている。
まぁ、俺は勇者であるリヒトについて行っただけの凡人だ。
他の綺羅星の如きメンバーとの実力差が明確になってきた、と感じてきたこともある。
リヒトは少しなよなよしたような風貌の美少年だが、若くしてこの国でも数人しかいない"勇者"の称号を得た優秀な戦士だ。
魔王の軍勢との戦いだとかダンジョンの攻略とかで成果を上げる冒険者への称号としては最高位の一つで、リヒトの実力とカリスマのおかげでここまでこれたと思っている。
リヒトはすごいぜ。こいつは歴史に名を残す大英雄になれる。
なよなよした女みたいな外見からは想像もできない信念と根性と勇気の漢だ。
幾重にも女神の加護が与えられたこいつは剣の一振でバッタバッタと敵を薙ぎ倒す圧倒的な強さを持っている。
また、どんな不利な戦況でも折れない心を持っていて、まさに伝説の勇者にふさわしい男だね。
非公式だけどファンクラブもあるんだぜ。俺も会員ナンバー1桁を確保している。最推しですよ。
俺はそんな大人物について行った観賞魚のフンみたいなもんだ。
所詮はおまけだおまけ。
初心者冒険者だったリヒトを騙そうとしたのが俺達の出会いだった。
まぁ、騙して金を巻き上げるより成長させて金ヅルにしたほうが明らかに得だと気がついて言いくるめてなんとかその場を凌いで、ついうっかりパーティ結成してそのまま続いてここまで来ちゃったのが縁なんだよな。
リヒトのカリスマと素質を見極めて騙したまま先輩面して冒険者を続けてリヒトを引き上げていた時期もあったりしたが、リヒトの実力が高まっていく毎に俺がやることが少なくなってきた。
最近あんまり戦闘で貢献できてないところが辛いね。
最近の撃破数がメンバー中でワーストだし。
うちのパーティの面々はわりとコロコロ変わってたんだが最近やっと面子が決定してきた。
今いる面子は若いが才能に溢れすぎた天才揃いだ。
凡人の俺としては実に肩身が狭い。
そしてリヒトと俺を除いた全員が女性なのが辛い!
女性陣とリヒトはすごく仲が良くて、よく俺だけハブられて一緒にご飯行ったりしている。
俺だけ会話に参加させてもらえなくて、マジで悲しい。
居た堪れない気持ちになってきてホント辛い。
そして女性陣の俺に対する目線が辛い、というか殺意が混じってるレベルなんですよ。
あの情熱的な目線はそれだね。戦闘中に感じるあの目線ですよ。
追放イベントならまだしも、迷宮の奥で殺されるのでは?説があるのが怖い。
さすがにそれは避けたい!
なのでパーティから追放されそうです!というか、死にたくないのでせめて追放してください!
ただ、ダンジョン攻略が中心じゃなくて魔王軍との戦いとやらにシフトしてきたので俺の活躍の場が少なくなってきたという現実的な面もある。
だって盗賊だからな。罠や鍵への対処が俺の本文であり、戦闘は二の次のつもりなんだ。
パーティの人数を増やすわけにもいかない。
数が増えすぎると対軍魔法とやらで戦う人数に応じて強化される魔法があるらしいのだ。
うちのパーティの魔術師が使えるらしいが、一般的な術では無いとは聞くがあまりそれに頼る訳にも行かない。
だから少人数にならざるを得ないという実情もある。
例え強力無比な魔物相手だろうが、6人くらいまでしか対応が出来ないのだ。
まぁ、逆も然りなので大軍に対して少人数で挑めばその魔法が使えるという面もある。
だから個の強さが飛びぬけている勇者の有用性が高まっているのさ。
しがない盗賊である俺はそんなに戦闘での活躍を期待されていないので、不要になってきたから戦闘力の高い人員を用意すべきだと思っている。
どうせ俺が抜けたとしてもなにも問題は無いだろう。
ちょっと全体的に若すぎるメンバーの精神的な不安要素があるが、神官騎士であるエミリアが中心になってまとめあげてくれるハズだ。
パーティの壁役と癒し手となって戦線を支えてくれる神官戦士だ。
戦闘時の勇猛さと裏腹に普段は穏やかな聖母って感じの人格だ。
人を宥めたり落ち着かせるのが抜群にうまい。
まぁ、本性は腹黒で毒舌なんだがな。
みんなを相手にするときは普通なんだが、俺に対してだけそのドス黒い本性をあらわにして隠そうとしない。
何が聖母だよ。
いやぁ俺が神官嫌いなのがいけないんだけどな。
最初のころは頭がガチガチに固くて、視野が狭かった時もあったな。
それを馬鹿にしまくって、怒らせて嫌われちゃった。
そのあたりで俺をひたすら改宗させようとしたんだけど最近はやろうとしない。
諦めたならいいことだ。信仰なんてまっぴらごめんだね。
あと他のメンバーだと年長者のハズのエルフのアリエイルか。
あいつは短気すぎて精神的に若すぎてまとめ役に全く向かない。
おかしいな100才超えているはずなんだが、一番ガキ見える。
弓も剣も魔法も使えるすごいやつなんだが、めちゃめちゃ口悪いし、何言っても反発する。
あと、すぐに手が出るくらい暴力的だし、なによりうるさい。
俺相手しか殴られていたこと見たことないが、あの性格だ。
どこかしらでトラブルを起こしているだろう。
戦闘中の以心伝心は出来てる気がするんだが、一方通行なのかね、さびしいわぁー。
アリエイルは最高のタイミングで前衛陣の援護してくれるからめっちゃ軽い気持ちで感謝の気持ちを雑に伝えてるんだがめっちゃ冷たい低い声でキレられる。
なんでだろ。愛してるぜー!とか雑に言ってるのがいけないんだろうな!
被虐趣味はないがちょっとゾクリと来るね。
反応が面白すぎてからかうのをやめられないんだよなー!たーのしいー!
魔術師のルーナは絶大な魔力を持つが若いどころか未成年。
誰だよ冒険者に年齢規定をちゃんと作らなかった奴。
成人してないのに規格外の魔力があるから特例だ!じゃねーよ。
元スラム出身の現盗賊な俺がいうのもなんだが、もっと若者を健全に育てろよ。
加入当初は才能に胡坐かいた典型的な頭でっかちで、応用が全然利かなかったこともあってバカにしまくっていた。
もう半泣きになったりしたのが可愛らしいこと!
でも最近はなかなかどうして巧緻な絡め手を駆使して来たりして陰険で冷徹で残忍で狡猾な抜け目の無い魔術師として育ってきた。
いやぁ、素晴らしい。魔術師として完璧だな。
淡々とした口調のクールな奴だが感情を荒げちゃうあたりまだおこちゃまなんだけどな!
あいつが声を荒げたり怒ったりしてるのをいまいち俺以外では見たことないが、俺への印象が悪すぎるせいであたりが辛いのは仕方がないな!
自業自得!
最近加入した剣士のナギは世間では剣姫とか言われているほどの実力がある無口でドライで涼やかな表情のスマートな剣士だ。
うん。背の高さも胸もスマート。でも使う剣技はガチガチの剛剣。巨人だろうが一撃で切り落とせるようなトンデモ威力の剣術の使い手だ。
いやでも、なんというか大衆のみなさん、剣姫とか剣聖とかそういう二つ名好きね?
そんな大層な二つ名を得ることが出来るほど美しい系の人かなぁ?
剣魔とかだったらわかるんだけど。
俺には人が魅入られるような妖刀魔剣の類にしか見えないのよ。触れたら切れるぞ?
ナギにはマジで嫌われている俺は何故か顔が真っ赤になるくらいデフォルトで怒らせられる。
というか「殺す」と堂々宣言されている。
でもなんでだろうなぁ、ナギには嫌われるようなことした記憶が無いんだよな。
なんか前から知ってたような気がするんだけどな。
戦闘時の連携とか全然問題ないしなぁ。
まぁ、襲われても逃げ切れる自信はあるから、刀を抜かれたら即逃走する予定。殺されたくないです。
うーん、俺の格落ち感。すごい面子がそろったもんだ。
こちとら逃げ回って攪乱と牽制するしか能がない凡人だぞ。
うちに加入したいとかいうリヒト目当てであろう後輩も育ってきてたし、入換面子が確定したらお祓い箱って感じかな。
自前の装備は取り上げられないようにしたい所なんだが、既に資金はいくつかに分けて保管しているし、唐突に全てを奪われるようなことはないだろう。
ただ、ろくな魔道具類を使っているわけでもない。
なにせ、メインウェポンは特に何でもない店売りの短剣や小刀と手斧だしな、奪われんだろ。
潮時かな。俺にしては頑張った!あと稼いだ!
入れ込んでる娼婦のおねーちゃんを身請けするぐらいの金は稼いだよ!
もう俺働く理由が無い!まっとうに盗賊やるわ!
心残りは勇者リヒトのこれからの活躍を間近で見ることが出来ないことだけが残念だ。
〇ダンジョンアタック中にイジられてます
なんだかパーティから追放されずにそのままのメンバーでいにしえっぽいダンジョンのアタックに突入。
どうして魔王の配下はダンジョンを拠点にしたがるんだろうね。趣味か様式美かな?
娼婦のおねーちゃんにフラれて傷心気味の俺は仕事は確実に粉しながら投げやり気味で挑んでいる。あー。やる気出ない。罠も扉も雑に突破してやる。おらかかってこい!今の俺には仕事しかねぇんだ!
「あはははは!ホント無様ねバカロッツ、あれだけ入れ込んでた人に逃げられるなんて人を見る目がないんじゃない?いい気味だわ」
未だに心の傷を抉ってくるのはアリエイルである。
ウキウキとした気分で俺を煽りまくっているその姿は本当に楽しそうで俺の不幸を心の底から喜んでいるようだ。ちくしょう。
「娼婦に騙されて貢がされて居たのではないですか?やはり軽挙妄動が過ぎるようですね、勇者パーティの一員として相応しい行動を取れるように私たちがロッツを管理しなくてはなりませんね」
そうエミリアが俺を見下しながら行動を咎める。
いいじゃないかよぅ。俺は純粋な気持ちだったよ・・・
なんか好きになった人には毎回フラれてるけどな。
「アホロッツは騙され易すぎなのです、考えがなさすぎて笑えてくるのです」
ルーナが俺を淡々とじとっとした目をしながら嘲笑う。
元詐欺師の俺が騙され易いだって???その通りです!向かなかったんだよな!
どうも俺は心情的に懐に入られた以降の信用度が高いらしく悲しい結末に終わることが多い。
くそ、パーティの俺への理解度が高い・・・!
「・・・軽蔑する」
ナギが目を伏せて一言だけ告げた、シンプルに嫌われてて辛い。
娼婦に会ってる俺を穢らわしいもののように吐き捨てられた言葉が全てを物語っている。オジサン悲しいです。
「はいはい、ロッツ弄りはそこまで、そろそろ中枢だよ。気を引き締めよう!」
パーティメンバーの俺への弄りを全く止めなかったリヒトがみんなの意識を変えた。
爽やかさを感じる女声のような透き通る声と前向きな笑顔は人を惹き付ける。
警戒を怠っていた訳ではないがリラックスしていたパーティメンバーを程よい緊張感が包む。
そろそろ戦闘が始まるのだ。
まー、俺が敵の位置をだいたい把握できるので奇襲の心配はなかったしな。
それゆえのリラックスモードだったからそろそろ切り替えさせるつもりではあった。
その意を組んでくれたリヒトとは目だけで会話が通じる。頼りになるリーダー様だぜ。
恐らくここが魔王配下の・・・なんだっけ?と戦うであろう最下層の大扉である。なんで一番下に行きたがるんだろう。
趣味だよな?出入り面倒では??
まぁ、罠なし鍵なし奇襲なし挟み撃ちなしを確認して扉を開ける。
さー、戦闘です。
略!
なんとかデビルは強敵でしたね!
最近俺のダメージ率が格段に低くて無視されている感があるのでは説がある。
無視されているのであればそれなりにやることがあるのでフリーにして貰えるのは楽だが貢献度が低い気がしてならない。
わりかしパーティメンバーがボロボロのような気がするが、エミリアが即座に治療に移れてるし、負ける気配はしなかったから安定感のある戦いは出来ていたのだろう。
やっぱ、俺抜きで十分だよな。
俺は敵の隙を着いて体勢を崩しまくるくらいしかやることがなかった男だからあんまり役に立ててるか怪しいところだったし、もっと明確に役割を持てるやつの方がいい気がするのよ。
俺と入れ替えでどんなメンバーが入るんだろうなぁ・・・俺の知り合いの中ですら色んなやつが候補として上がるし、集めようと思えば選り取りみどりだろう。
まー、いつ抜けてもいいようにしておこう。
なんとかデーモンを倒して得た魔法の品の数々とかも、パーティの資産と考えると俺の手元には残らない。
ぽいぽい回収してルーナとエミリアに鑑定してもらう。
あ、換金した時にお金だけ下さいね。最近金欠なので。
レアアイテムか何かが手に入ったらしく俺を除くメンバーがはしゃいでいる。
うん?何かいいものがあったの?
俺を無視してリヒトが何かを飲んだ。
なんだろう。ポーションがそういえばあったな。能力値上昇とか伝説のスキル獲得とかかな?
その手のポーションであれば当然リヒトに使うという選択肢に異論は無い。
最強のリーダーを強くするという方針は間違いないからだ。
リヒトはその期待を裏切らない。リヒトが強くなることはパーティどころか人類の意向として正しいのだ。
でも、なんで詳細を教えてくれないんだろう。俺にだけ秘密なの辛いわー。
リヒトが女性陣に目に涙を浮かべながら、みんなの手をとって喜んでいた。仲のよろしいことで。
俺はその間まだ戦利品あさりや警戒に専念しているのでリヒトの声くらいしか聞こえなかった。
「みんな、待たせて本当にごめんね!いままでありがとう!やっとスタートラインに立てるよ!これから僕達の戦いが始まった。競うわけではないけど、恨みっこなしだよ!」
僕達の戦いは始まったばかりだ系のお話・・・?何か打ち切られるのかなぁ???
俺か!なるほどさらばみんな!
ところでいつもよりリヒトの声が高かったような気がしたけど、気の所為かなぁ・・・
なんかさっきに比べて声の高さが女の子っぼいんだけど・・・
俺が聞き間違えるわけないんだが・・・疲れてんのかな。
その後特に問題なく帰還、リヒトの体調が悪いらしく1週間くらい休憩となりました。大丈夫かな・・・?
〇パーティを追放されないまま魔王と戦います
リヒトの背が縮んだ気がする。
鎧一色を調整したらしく、少し華奢に見えるが、体調崩して痩せたのかなぁ・・・
大丈夫かな、でもふっくらしている気がするんだよな。こう全体的に柔らかくなったというか・・・
他の面々はまるで気にも止めていないので、俺の気の所為なんだろうな。
さて、今は流れに流されて魔王城!
メンバー変更なし!
あれぇ!?俺はいつパーティから抜ければいいの!?
いや、一度リヒトやメンバーに聞いたことがあるんだよ。
あの時は酒場で飯くいながら今後の方針決めていた時だったんだが、それとなく聞いてみたら、
「は?いや、ごめん。何を言ってるの??」
リヒトの目がすごい勢いで曇ったんだよね。
いや、なんかパーティ全員の目が曇った。
なんだろう?全員の目に闇が見えた感じ?
一瞬にして空気が冷えてたね。めっちゃ怖い。
いや、だって俺嫌われてるしそろそろ不要な気がするからパーティ追放されるかなって。それなら先に抜けた方が穏便だろって伝えたのさ。
「いやいやいや・・・ロッツを追放とか有り得ないよ、有り得ない。
絶対に有り得ないし僕が認めない。なにがあっても残ってもらう」
リヒトが強固に断言してくれた。
おおう・・・リヒト・・・そんなに俺の事を大事に思ってくれてたんだな。マジで嬉しいぜ。
でも戦力的にそろそろ不満があるだろ。
俺の実力は不足しているはずだ。って伝えたら。
「バカロッツは真性のバカなのです?ロッツはバカですがパーティの中核なのですよ?」
ルーナが少し怒った口調で言ってたな。いやいや、そんなそんな。どう考えてもリヒトでしょ。俺は凡人よ?
「私、走るだけで残像出して魔法を平然と避けるやつを凡人とは認めない」
アリエイルが断言してた。いや楽勝だって。
たとえばあのなんとかデビル戦の魔法は素直な軌道してたから避けやすいし!
「最近厳しくなってきた戦いから貴方が抜けたら私達は間違いなく全滅しますね」
エミリアが遠い目をしながらぽつりと呟いてたな。
いや、問題ないでしょみんな強いし、アタッカーとしてはナギの方が明らかに強いし。
少なくとも最近の撃破数だけで考えれば俺はワーストなのよ。
「・・・私は、あなたに比べて一割も役に立てていない」
ナギが苦虫を噛み潰して半泣きで言った。メンタル脆いなぁ大丈夫?
俺に比べて活躍してない?はは、まっさかー。あのめちゃくちゃな剛剣でどれだけの敵を打倒したと?
俺はパーティが敵を倒しやすいように態勢崩したり、攪乱するのが主な仕事で、あんまり役に立ってないんじゃないかと思ってんだ。
と、そんな場があったが、あの時はもう喋らないでとリヒトに有無を言わさず発言を潰されたのでそのまま流れでパーティに着いていくことになった。
リヒトがマジで怒ってたので俺も口を噤まざるを得なくなって有耶無耶になっちまった。
必要とされてるのかねー・・・
さて、ラストダンジョンこと魔王城。
生温いデストラップの数々と有象無象の敵が出迎えてくれた。
そこらは有象無象に近い連中なので頼りになるうちのメンバーがバッタバッタとなぎ倒していって中ボス戦。
いやー、復活した四天王?的な奴らが襲いかかってきてなんか俺を集中狙いするのよね。
なんで俺だよ。
俺狙っても一切得にならんでしょ。怖ぇよ。全部避けるわ。
特にお前!四天王の紅一点の・・・えーと、美人だが名前忘れた。なんとかデビルじゃない奴!
めちゃくちゃ恍惚とした表情をして俺に愛を囁きながら執拗に追い詰めてくるのがめっちゃ気持ち悪いけど悪いがお前の生温い攻撃じゃ俺は殺せねぇよ!ざーんねんだったなぁ!
でも攻撃と魔法乱舞より女の邪念?妄念?執念?な湿った感覚が怖すぎるのと、お前と戦っている間に味方に冷たい目をされながら放置されていたのが凄く辛くてお前は俺の最大の敵だったぜ。
アバよ宿敵。だけどごめんな名前ほんとに覚えてない・・・
というかパーティのみなさん?四天王とやらと戦うのにタイマンにしないでください。あいつの相手を俺一人に任せっきりにして楽させようとしたってそうはいかねぇ!
でも、なんかパーティ壊滅しかけて事実上俺一人対四天王全員の瞬間ありませんでした???死ぬかと思った。死んでないけど。
俺以外壊滅寸前だった気もするけどなんとか四天王撃破!
疲弊しまくったみんなが凄く辛そうで撤退を俺は進言したんだが世界を滅ぼす魔術儀式を止めなきゃならないとかでこのまま突入しなきゃ、という悲愴な戦いを始めなきゃならない流れになっちゃったんだよね。
そんな展開だっけ。俺だけ話を聞いてない気がする。めっちゃくっちゃ重要な話をなんで俺は聞いてないんだ。
ふー、ここはひとつ、男を見せますか!ってなったのでちょっくら1人で突撃。
リヒト達は治療に専念させて、俺が突撃するのがベストだと判断したわ。
後続の別パーティと合流してから来てくれよ。
何せ盗賊居ないと突破できないだろ。ははは、捕まえてごらんなさーい!
リヒトが死ぬくらいなら俺が犠牲になった方がいい。
魔法儀式止めるだけだし・・・無傷だし・・・いけるだろ。
勇者に比べれば俺の命は安い。
リヒトの踏み台になら喜んでなってやるよ。
というわけで道中のトラップをサクサク突破してちょっと魔王と殴り合い中。
くっそ強い。
魔王相手に1時間くらい粘ったんだけど全然倒せる気配ないの。
俺の攻撃力が低すぎて辛い。
さすがに量産品の武器じゃダメかぁ〜!
10個ある命とやらの4つまでは取ったんだが!10個は多すぎですね!
流石に疲労困憊の状況になってきて防戦一方の展開になっちゃった。
ノーモーション瞬間発生魔法は雰囲気で避けられるからわりとなんとかなってるが辛い。
全体的な戦闘の運び方が熟練の戦士を相手しているようで隙が少ないね。
純粋な強者だわ。剣士としてもナギより強いんじゃねぇか?
まぁ、最大目的の時間稼ぎと儀式阻止は達成してるし、あとのことは全部任せて逃げてもよかったんだが……
意地になった魔王さん、結界を張って魔王からは逃げられない!状態だったのでもうどちらかが死ぬまで魔王とダンスを続けるハメになってるんだよな。
魔王が女で美人さんで良かったぜ。
男と踊る趣味は無いからな。
意識を朦朧とさせながら男の子の意地でなんとか食らいついていたんだが、足が縺れちゃったんだよな。歳かな・・・
蜂のように舞って蝶のように刺してたんだが、限界が来たね。
だけど、ここまでか・・・と思った時に、万全の状態に回復したリヒトが割り込んで来たんだ。
惚れるわ。
あとは任せたぜ・・・って言って疲労で意識が途切れて後は覚えてない。死んでもないから勝ったんだろう。
〇闇深パーティから逃げたいと思います
嘘ついた。俺、死んでたらしいよ。
ガチ泣きしてるパーティメンバーとその他もろもろに起こされて眠いなぁーと思いつつ泣き崩れているリヒトにおはようって気軽に言った以降、たびたび寝て起きてを繰り返して徐々に知った。
魔王と四天王(たぶん名前を忘れたあいつ)の死に際の呪詛が全部俺に降り掛かってきてたんだって。へぇー。モテる男は辛いね・・・!
ていうかなんで俺?
そこは常識的に考えてリヒトを狙えよ。
パーティの最大戦力にして女神の祝福と加護に溢れた希望の星たる神の戦士であるリヒトを狙うべきでしょ。
こちとら一般人だぞ!
いや、狙われなくて良かったんだけどさ。俺で良かった。
エミリア中心で尽力してくれたらしいその諸々があったらしいが、自分の事だが死んでたのでちょっと他人事。
ありがとうなー。ふわふわしとる。
まぁ、俺が死んでいたのなんて俺にとっても世界にとっても些事だ。
それよりも気になることが多すぎる。多すぎるのだ。
リヒトさん、なんで女物の服とか着てるんです?女装趣味とかございました?似合うよ?可愛いね?その手の趣味の理解はあるから否定はしないさ。俺はまだ気がついてなかったのって?何を?
ところでルーナ、なにか俺に対してめちゃくちゃ魔法掛けてるよね?ちょっと詳細を教えて欲しいな。俺の認識が正しければ魂に干渉するあれこれでは?
アリエイル、俺の身体に刻まれてる印というか紋様何?教えてくれると嬉しいなぁ。 精神的な繋がり的な呪法のような気がするんだけど。
エミリアさんや。俺の記憶間違いじゃなければこの前の祝福付与の奇跡、死がふたりを分かつまで、的なものではありませんでしたっけ。
ナギはどうした。髪切ったな。似合うよ。それで髪を含んだお前の贈り物は、俺の記憶違いじゃなければ一生を賭して添い遂げる的な意味合いがある代物ではなかったかな?
はは。
俺の趣味は年上のおねーさん系だ!
やだよパーティ内恋愛とか勘弁だよ!パーティ内不和とか抱えたくないよ!あとハーレム展開とか勘弁だよ女の子同士の嫉妬とか怖いよ!そんな大物でもないし甲斐性あるわけでも無いぞ!お前ら闇深くて怖いんだよ!リヒトさんはどうしたの!?女の子にずっとなりたかったの?夢叶った!?良かったね!というか何時!?おにーさん知らないよ!?なんとかデビルのあとのあのポーションか!あれかよ!おめでとう???
なんだルーナ。なに?ルーナは死後の魂を貰えればそれでいい?やめろよ怖いよ!アンデッドになりたくねえよ!最近覚えてた死霊術の目的はそれかよ!アリエイルはいつもの軽口はどうした!なんだ?俺の魂に傷を残したい?いつか寿命の差で離れ離れになるから一生物の傷を残したい?怖いよ!輪廻転生すら影響を及ぼしたいとか怖すぎるわ!エミリアさんどうした、俺が嫌いなんじゃないのか。何?生命の共有をして死がふたりを分かたずに一緒に死にたい?怖っ!そんな祝福だったの?この前かけたよね!?そんな乙女のような顔して心中したいとか言うんじゃありません!ナギの話も聞こう。えっ、俺に殺されかけたことがある?アサシンギルド時代?あれかー。あったかも。なんか強い奴いるなとは思ってた時かな。でも一方的にフルボッコにした記憶がある。だから俺の首が欲しい?えっ、怖っ。どういう理屈?先程の贈り物の話と矛盾してません?不安定すぎるでしょ?愛憎混じりすぎでは?
リヒトは、どうした。なに?これで性別という最大の問題が解消したよって?そーね?はは、ぼくわからないなぁ。
ヤダー!この俺はパーティ全員の重すぎる好意に耐えられない!
絶対に逃がさない???やだね!スタコラサッサさせてもらうぜ!
パーティから逃げたいと思います!!!
思いつきで書きました。感想いただけると嬉しいです。