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銀の髪の兄妹   作者: 銀狐
22/27

銀の髪の少年は地竜と再び対峙する

 翌日、また戦端は開かれた。

アルカイド陣営から鬨の声が上がったが、陣容は深く森の中に兵士たちを隠すように、こちらからは見えない。

すると、森の中からなにか大きなものが近づくような音がする。

「ジル、地竜だ。」

アルが顔を引きつらせて指さした。

みると、矢が体に刺さったままの地竜が四頭こちらに向かって進んでくる。

地竜の前には、おとりとみられる兵士隊たちがいて、砦に向かって誘導してくる。

「やられた。こちらの作戦を逆手に取ったのね・・・。」

エリアンヌは、眉を寄せて困惑の表情になる。

近づいてきた地竜に、混乱した兵士が矢を射かけてしまった。

「なんで、攻撃するのよ。地竜の目標がこちらに向くじゃない・・・。」

エリアンヌが、大声を出したが、もう遅い。

矢によって、倒されたアルカイド国の兵士たちから、砦へ地竜が攻撃目標を変えた。

ドスンドスンと地竜が地響を立てて、近づいてくる。

砦から矢を射かけるが、地竜の固い鱗を貫くことができない。

「エリアンヌ殿下、俺が出ます。魔法をお願いします。」

「俺も、お願いします。」

ジルとアランが進み出だ。

「勝算は・・・。」

「任せてください。」

三人は頷き合う。

エリアンヌに魔法をかけてもらい、小門を開けて進み出る。

その間、大量の矢を受けながら、全くダメージを見せない地竜が、砦の壁を壊し始めていた。

鋭い爪を振り上げ、振り下ろすと、壁の石積みが吹き飛び、徐々に削られていく。

砦側からは打つ手がない状態だ。

「行くぞ、ジル。」

「まかせて、兄さん。」

ジルとアランは駆けつけるや、剣を抜き放ち、地竜に肉薄する。

近づいてきたジルとアラン地竜も気づき、腕を振りかぶり攻撃してくる。

しかし、ジルとアランは難なく躱し、その胴体に、腕に切りつける。

ジルが使うのは、王都でジークフリートに買ってもらった、剣だ。

以前地竜を倒したときに使った剣は、刃渡りが短いため、それより長さのあるこのオリハルコンを用いた剣を使う。

片刃の剣だが、小柄なジルが使うには重さがちょうどいい。

実戦で使うのは、初めてだが、手に良く馴染んだ。

ジークフリートの護衛をするために買い与えられた剣は、エリアンヌを守るために使われている。

これも、王子の厚情に適うものなのかもと、感慨深く思う。

「それ、急所だ・・・・。」

ジルが、地竜の急所を攻撃し、一体を倒す。

絶叫を上げながら、地竜が前のめりに倒れこんでくるのを、ジルは跳躍して避ける。

隣で、アランが二体目を仕留める。

三体目と四体目がジルとアランに攻撃を開始するも、難なく避けて、切りつけ、地竜の体力を奪っていく。

砦では、兵士たちがやんやと喝采を浴びせている。

アルカイド国側は、しんと静まり返っていた。

「あの地竜をたった二人で討伐するなんて。化け物か・・・。」

地竜の攻撃で、砦の壁に被害がでたというものの、できれば砦内部まで被害が及ぶものと期待していたシュミッツは、落胆を隠せない。

そうこうするうちに、とうとう四頭もの地竜は討伐されてしまった。

「皆の者、地竜により壁が崩れたぞ。総攻撃だ・・・。」

そう叫び、兵たちを鼓舞するものの、兵士たちの反応は鈍かった。

数では勝っているが、兵士の質が違う。

強力な弓矢に火魔法を使うもの、四頭の地竜をたった二人で倒す剣の使い手・・・。

砦に立てこもっている敵を相手取るのでも骨なのに、信じられない能力を見せる敵兵たちに士気が下がりに下がっていた。


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