ターゲット
階段を降りて動力室に向かう途中、幾つものクラゲと人間の死体が転がっていた。
たぶん、沢田先生の仲間達が殺して行ったのだろう。現に沢田先生も遭遇した人間達を、味方かどうかの確認もとらず、即機関銃で何人も撃ち殺した。
もし仲間だとしても、命が3000あるから、1ぐらい減ってもいいという感覚なんだろう。
僕「沢田先生、このクラゲ達と人間の関係は?なぜ仲間なんですか?」
沢田先生「さあな。クラゲがこの人間達のペットという説と、人間達がクラゲ達のペットって説がある。いずれにしても、このクラゲ達と人間達は仲間で、俺達を食いに来たってわけだ。」
階段を3階降りて動力部に着くと、巨大な丸いエンジンの側に、小さな扉が1つ見えた。
動力部もクラゲ達と人間達が、数匹と数人撃ち殺されていた。
沢田先生「あそこだ。念のためにコード番号を送信しておこう。撃ち殺されたら、20分間は生き返れない。」
沢田先生は、扉から少し離れたところから、腕時計のような物で空間に画面を出して、何やら情報を送信したようだった。
沢田先生「行くぞ、着いて来い!!」
僕は沢田先生の後について扉に向かって走って行き、沢田先生が扉を開けて、一緒に動力室の中に入った。
中に入ると、ヘルメットを脱いだ7人の若者と3人の中高年の男があぐらをかいて座っていた。
部屋は12畳ぐらいの広さらしく、人数的に横になったりするのができなさそうな感じだった。
僕と沢田先生がヘルメットを脱ぐと、゛おお!!゛と歓声があがった。
若者1「沢田教官!!私はあなたに授業を習ったコード100154のノモトです。」
若者2「同じく私はあなたに授業を習ったコード100258のムライです。」
続いて中高年の男達も、すかさず沢田先生に話しかけた。
中高年の男1「沢田教官、あなたは命が50000あって、もう既に10000回以上は死んでるって本当ですか?」
沢田先生「そんなわけないだろ!!10000回も死ぬって、どんだけヘボい兵士なんだよ!!」
回りから少し笑いが起こった。
沢田先生「そんな事より、例のターゲットはどいつだ?」
中高年の男の1人が、1番奥に座っている若者の男を連れて来た。
中高年の男2「コイツです。」
その若者は、僕と顔が瓜二つで、身長や体型までそっくりだった。若者は、腕時計のような物を僕に向けて、空間に現れた画面を見て言った。
若者「はい、間違いありません。私と一致しました。」
沢田先生「よし。」
中高年の男3「間もなく、敵船がこの街の空に総集結し、一斉攻撃を仕掛けるという情報がありました。これより、外にいる仲間から送られた映像を映し出します。」
中高年の男3の腕時計のような物から、空間に外の空の映像が映し出された。無数のタイタニックのような船が映され、そしてその船群の中央に、とんでもなく大きな十字型の船が映し出された。
中高年の男1「なんと大きな!!これがボス船だな、たぶん。それにしてもなんて数だ!!」
中高年の男2「なあに、こっちには最強の武器があるんだ。どんなに数がいようが、デカいボス船だろうが関係ない。一網打尽にしてやるぜ。」
沢田先生「まさしく逆転満塁ホームランだな。じゃあ、さっそく。おい!!」
沢田先生は、僕にそっくりな若者に首で合図をすると、その若者は、僕に向かって歩いて来た。