いきなりハードモードです?
……誰かと話してる。
……この人は一体誰だろう?
……ぼんやりと何かを渡すような事を話している気がする。
……その人からぼんやりとした光の球がいくつか自分の方へ飛んできて、そのまま消える。
……その瞬間から一気に辺りが白く眩しくなる。
「君の旅先に幸あらん事を…」
そう聞こえたのが最後だった。
……眩しい。
それが目を覚まして最初の感想だった。
目の前の視界に映るのは、ぽっかりと口を開けたように広がる空と視界の端に移る雑木林であった。
ゆっくりと起き上がり、手足や身体の状態を動かしてみて確認する。
少し力が入らないという事以外は特に違和感は感じない、身体の方もやや痺れるような感触はあるが動かないという事はないようだ。
格好としては…例えるならばゲームに良くある村人の格好だな。
「…うん?ゲームってなんだ…?」
自分で考えた事なのに、その事についてまるでごっそりと覚えが無い。
考えても栓の無い事だと思いすぐに周囲を確認する。
自分が倒れていたところには、古くくたびれた石材が円形状に敷かれていた。隙間からは雑草がこれでもかと伸びており、ここに足を踏み入れなければまず気付かないであろう状態だ。
周囲は特に何も無く、この周辺だけぽっかりと空間が空いたように何も無い。その状態が少し続いた後、鬱蒼とした林が続いていた…もしかしたら森かもしれないが。
そこまで確認した所で自分の状態を改めて確認する。
身体状態・・・少々の麻痺(行動に問題無し)
荷物・・・周辺には見当たらず
周辺状況・・・林、または森の中(道らしき物は不明)
記憶・・・無し
……割と詰んでいる気がする。
身体は動くことだし、一旦この空間と森との境目をぐるりと一周してから考えよう。