王女
【あの子達が命を賭してまで与えてくれた力を繋ぎ止める!】
?????
生命力 2448000 マリアンヌの呪い △152000
魔法力 1848000 偽りの女帝 △1600000
攻撃力 8000 マリアンヌの呪い △152000
防御力 18000 マリアンヌの呪い △152000
魔法防御 8399999 偽りの女帝 △1600000
スキル
【闇属性魔法】【火属性魔法】【氷属性魔法】【雷属性魔法】【地属性魔法】【風属性魔法】【魔力開放】【魔力オート回復】【魔力覚醒】【魔力吸収】【魔力連続発動】【神の使いの加護】【神の娘の壮絶な愛】【偽りの女帝】【マリアンヌの呪い】【嘆きの女神】【???】【???】
【偽りの女帝】と【マリアンヌの呪い】でステータスがかなりマイナスになってはいるものの、すさまじい強さだ。
さらにステータスを確認して愕然とした。【嘆きの女神】。嫌な予感は的中し空から巨大な天にも届きそうな大きさの美しい女性の足が降りてくる。裸足の足に踏み潰され大地が消し飛ぶ。
【こんなやつに勝てねえよ。】
【だからってここで諦めるの?】
そう言うと体中のエネルギーを集め魔力を開放した。
【絶対防御!】
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「お父さ~ん、今晩はなんでまだ寝ないの?」
「ん?今宵は月が輝くほどに明るい、ここ何十年とない明るさだ。まるで昼の様だ。こんな晩にはラナンティアのお城に新しい王女様がお越しになるんだよ。無事にお越しになれる様にみんなで祈るんだ。」
「新しい王女さま?うわぁ~楽しみぃ。私もお祈りする!」
王宮へと続く道は優しい色のレンガ造りで、道の両端は石造りの家が並んでいる。
家の窓から顔を出し、昼の様に明るく照らす月に向かい祈りを捧げた。
ここ、ラナンティアの王族にはとても強い魔力があり、歴代の女王たちはその強い結界の力で豊富な資源や民、領土を守り抜いてきた。
建国1800年近く、一度も他国の侵略を許したことがないだけでなく、国内に足を踏み入れる事すら許さない世界最強の守りの国である。
領土の南北に海があり、広い国土には凍てつく山脈や肥沃な盆地、温暖な湿地帯を有しており、水資源も豊富、また種類、質、量共に膨大な鉱物資源の産出国でもあり、中でも宝石の算出量は世界屈指であることから再三隣国や世界最大の領地と最強の聖騎士軍団を有する大国に狙われてきた。
豊かな大地や豊富な資源だけが狙われる原因ではなく、最近異常に減り続けるあるものがここではたくさんあるからだった。
数十年前から女の子の出生率がどんどん減り続けていて、三年前に遂に女子の出生率が15%になってしまった。
現存している女性は町や国単位で守られ大切にされ、結婚していたものは両親が呼び戻し強いものや富のあるものに再び嫁がせる現状だった。
ラナンティアの女子の出生率は昔と変わらず49%を誇っており、ラナンティアの女は拐ってでも娶れ、と言う言葉も生まれたくらいだ。
何度も進攻してくるも全て払い退けていた為に攻めてくる国は今では西の隣国と諸事情を抱えていた弱小の三ヶ国のみ。
その悩める三ヶ国は女子の出生率が最悪の数値らしく、現存する国の女性が殆どいなくなってしまい国家存続の危機となっており、国家の一大事だとラナンティア女王に「女性を貸してくれ」と失礼極まりない手紙をよこし、激怒した女王が領地の入り口に待機していた国王と兵士たちを4週間作り出した結界に閉じ込め成敗した。
その現女王の娘が間もなく次の王女を生むらしい、代々王女が生まれるのもこの国の特徴であった。
王女や女王は神の子を授かっているのだと国中のものが噂した。
実際、歴代の女王も王女も結婚はしておらず、生まれ持った強力な魔力も神の子のなせる技と認知されており、正に神に愛された国であった。
まだ昼なのかと勘違いしてしまいそうになる月の明るい夜、王宮の王女の間で間もなく新しい命が生まれようとしている。
女王はその報告を落ち着かない様子で自室で待っていた。
普段何事にも動じない女王であったが今回だけは違い、母の顔をしていたのだ。それを誰にも見られたくない一心で自室に閉じ籠っていた。
豪華でいて、決して派手すぎず品の良い装飾と家具で揃えられた女王の部屋の窓からの月の光は明るい。灯りを消していても困ることはない。
そろそろ月が一番高い位置にまで来る頃、いきなり部屋が暗くなったことに驚き、急いで窓まで行き天を仰いだ。
月の端の方からどんどん赤黒くなっているではないか!!
「なっ、なんてこと!」
「つ、月がぁぁ!月食だ!月が食われている。我らの祈りが足りないのだ!王女様の為にみんな祈るんだ!」
城内のものだけでなく国中のものが驚きと恐怖で混乱した。
ラナンティアでは、王家の紋章である月と国固有の花であるラナンリリーとレアーナガエルは神聖なものとされていて、月に関して言うと、月食は不幸の元凶とされており忌み嫌われている。
「この様な時に月食だなんて…神よ娘と生まれてくる新しい命をお守りくださいませ。」
女王はひざまつくと神に祈っていた。
数分後に女王の部屋の扉をノックする音が響くと女王はギクリとして顔を上げ二、三度大きく息を吐き出すと、扉に向かい平然とした声で「どうしましたか?」と答えた。
「おっ、王女さまが……お生まれになりました………。」
看護士長が言葉が落胆の色を隠せないのは感激のあまり上手く話せないのか、月食の呪いで何か良くない事が起こったのか判断がつかず不安で押し潰されそうになる。
「入りなさい。」
重厚な扉は力なくゆっくり開くと一人の年配の看護士が入ってきた。
「女王さま…王女様が…お生まれになりました。」
「それで、何か問題があったのですか?」
「!…あぁ…女王様…わたくしのせいでございます!!わたくしがついておりながら…」
と、その場でうずくまり泣き出した。
「しっかりなさい、それでどういう状況なのですか?」
おいおい泣いていた看護士長は、流れる涙を拭きもせず顔を上げると立ち上がり背筋を伸ばした。
「取り乱してしまい申し訳ありません」と一拍置くと、
「王女様は双子であらせられます。」
その言葉に女王は軽い立ちくらみを覚え、辛うじて近くにあったテーブルに手を付き身も心も倒れてしまわない様に耐えた。
月食、双子…、なんてことだ。建国以来守り続けてきたこの国に何か良くない事が起ころうとしている。女王はまだ見ぬ元凶に恐れおののいた。