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カエル王女と紅き土偶騎士  作者: エルーカ
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王女の獲物3

残酷な表現があります、ご注意下さいませ。

玉座に座りレジーナを待つ女王は、話が漏れるのを恐れほんの少しの兵と侍女とエルーカのみを同席させていた。

しばらくすると勢い良く扉が開きレジーナを先頭に数名の女と女王の送り出した近衛兵がなだれ込んできた。


レジーナは女王とエルーカの姿を見付けると一瞬躊躇し動きを止めたがリンダが前へ進み出たので後に続き女王の前までやって来た。


「なんと教養のない、女王と王女を遮る場に立つとは……、レジーナこの者を早くどかしなさい。」


レジーナはリンダに下がるよう命令すると膝をつき祈り始めた。

何に祈っているのだろうと部屋の中にいる者は思ったに違いない。エルーカを除いて……。



ーー数日前ーー


レアーナカエルと話した後にエメラルドのネックレスがボケットに入れられ、その日から頭がおかしくなったエルーカはそれ以来ドールハウスに近付かなかった。

カエルを信じて池を作り、ドールハウスを作りカエルに化かされ、いよいよ心を閉ざしてしまった。

だがレジーナの様子が気になり再びドールハウスを訪ねた。


前回と同じくチャイムを押すと扉が開きカエルの手がおいでおいでをした。覗き込もうとした時に衝撃か走り気付くとドールハウスの中にいた。


「コロコロコロ。今は亡き王女ルチアの娘エルーカ、双子で生まれしもの、この国の王女として生まれながら魔力を持たぬもの、ラナンティアの大切な娘、ようこそ、歓迎する。そなたの望みは知っている。姉レジーナの最近の様子……。」


「あなたは何でもご存じなのね。」


エルーカはカエルには近付かず近くにあった椅子に腰かけた。

カエルは目を細めてその様子を眺めていた。


「レジーナはどうしてしまったの?いつも泣きそうな顔をしているの。何があったのかご存じ?」


「ああ、知っている……。とても恐ろしいことだ。口にもしたくないほどにおぞましい。この城の女を拐い……、力を吸い取って殺している。」


「!?嘘よ!レジーナはそんな事しないわ!」


「王女よ、信じたくない気持ちは理解できる。信じられないと申すなら見せてやろう。」


そう言うとカエルはビョーン飛び上がるとエルーカのすぐ後ろに着地しエルーカの小さな体を大きな腕で包み込んだ。

突然の事に驚きじたばたしたがすぐに意識を失った。


「ここは?」


エルーカは薄暗い牢屋の前に立っていた。


「ここはレジーナの別邸の地下だ。」


気配を感じない所からの突然の声に心臓が飛び出すかと思うほど驚いた。


「びっくりした……、脅かさないで!」


さらに抗議しようとしたが地下へ降りる階段から灯りと人の気配がした。

見つかってはいけない気がしてどこか隠れる所はないか必死に探すが見つからない。そうこうしている内に人が現れた。


正面から対峙してしまい冷や汗をかく。


「あっ、勝手にお邪魔してしまい申し訳ありません。えっ?リンダ?」


そう言ったがすっかり無視をされてしまった。やはりリンダは私と似ている。

そう思っている内にもう一人、人が続いて下りてきた。


「レッ!レジーナ。」


レジーナもエルーカには目もくれず通りすぎて行った。

顔色はすこぶる悪く中年の女の様だった。


「これは過去の出来事を見せているだけだから相手には王女の姿は見えておらぬ。その時にこの場にはいなかったのだからな。」


「そう言う事は早めに言ってください……、随分驚きましたよ。」


さあ、真実をみなさいとカエルに背中を押された。


「マリアンヌ様、マリアンヌ様。」


「マリアンヌ?」


「レジーナ様?」


「レジーナ様早くここからお出しください!!私は何の罪で捕らわれたのでしょうか?」


「マリアンヌすまない、しばらく我慢してくれないか?罪は……」


「私に嫉妬しているんでしょ?」


「なっ!?」


「レジーナ様の噂は公爵家にも届いております。大層お老けになられているとか。実際拝見するまで信じられなかったのですけど……、本当の様でしたわね。こうなると私の若さと美しさにご嫉妬なさるのも仕方のないことかと……。」


「お可哀想ですが嫉妬なされても若さは取り戻せませんわ。私にはそのような力はございません。さあ早く家へ戻して下さい。この事は他言いたしませんので。」


「リディア……、この者は私を若返らせる力はないのか?」


「いいえ、この者はレジーナ様の糧となり力をお与えになられる稀少な人材でございます。」


「そういう事だ。マリアンヌ!私の力となれ!!」




「ああ!なんておぞましいことを!レジーナ!!」


エルーカは白い煙の男がレジーナに近付くのを止めようとしたが煙に触れることはできず驚き、この場から離そうとレジーナの手を掴もうとしたがやはり触れることができなかった。


「止めて!」


「あはははははは!すごいパワーだ!許すマリアンヌ!お前の暴言も今までの悪意もな!お前の全てを受け入れよう!」


「あああああ!嘘よ!レジーナ!」


「おぞましいものよ、死してまだ憎しみを露にするとは。」


「死したからこそですよ、レジーナ様。あの凄まじい憎しみは私が死した後に全てお引き受けいたしますゆえ、ご心配なく。」


「リディア。お前はなぜそこまで?」


「レジーナ様は私の全てでございます。誰にもあなた様を殺させない。あなた様はこの世のものとは思えないほど美しい赤子でございました。赤子のあなた様から頂いた数々の思い出だけではあなた様をお守りする理由にはなりませんか?」


「レジーナ!!」


………………。



ふっと、目が覚めた。

カエルのドールハウスの中だ。あれは夢だ、夢に決まっている。そう心で何度も何度も繰り返したが、目の前のカエルがそれを無言で否定してくる。

きっと真実なのだ。


「咎落ち……。」


カエルがぼそりと呟いた。


「神殺しと同じく神の敵である。王女には悪いがあの者達は神の逆鱗に触れ非業の最期を迎えることになるだろう。


あの者達を救う術はもうない、分かるな?王女よ。」


「せめて懺悔の機会を。」


「それを望む者にはその機会は授けられるだろう。」




ーーーーーー



「レジーナ、何をしているのです?今は祈るより説明を聞きたいのです?」


女王は突然膝をつき祈り始めたレジーナに注意したがエルーカがそれを遮った。


「女王陛下、きちんと懺悔をする機会をお与え下さいませんか?」


「懺悔ですって?何にです?あなたは何を知っているのです?」


女王はエルーカに詰め寄るがエルーカは立ったままで祈りを捧げた。もちろん姉が奪ってしまった者の命、違う、命を奪ったのはリンダだ……姉の為に奪ってしまった命に。


「お止めなさいっ、二人共!」


女王の大きな声は部屋中に響き渡った。レジーナはやれやれといった感じで祈るのを止めると静かに目を開き立ち上がる。その顔は恐ろしいほど美しく清々しい顔であった。



【エルーカはやはり知っていた。女王は疑っている段階。さて、どうするリディア……いや、リンダよ?】


【そうね、女王には消えてもらうのがいいわ、エルーカをレジーナ様の贄に。あの子の秘めたる魔力が怖い……。あの子は私の禍々しい力を感じとっていた。私と似ていると言った。】


【エルーカの秘めたる魔力?我には魔力があるようには感じないが?考えすぎではないか?】


リンダはレジーナの手を取った。レジーナの体に熱いものが侵入してくる。リンダの考えが即座に浮かぶ。

残酷な指令に顔をしかめたがやがて頷いた。


「お婆様、私は何か尋問される様な事をしたでしょうか?なぜ近衛兵を寄越したのですか?」


「レジーナ、先程私がした質問の答えについて聞きたいのです。エルーカの侍女とマリアンヌに何かしましたか?……その、消えてしまうような何かを。」


「私を疑っているのですか?あなたの孫ですよ?今まで私は国の為に働いてきたというのに、あなたはいつもそうだった。私の溢れる魔力を妬み放出を止めようとした。危険な戦場にまだ10才だった私を行かせ人殺しにした。もうあなたの時代は終わりにしていただきます。」


「本気で言っているのですね?」


静かに問うているのに部屋の中の空気が変わった。物凄い威圧にレジーナだけでなくリンダも冷や汗を流した。


「言葉には責任を持つようにといつも言ってきました。一度出した言葉はなしにはできないと!」


バゴーン!!怒号と共にレジーナとリンダの体が吹き飛ぶ。

レジーナの兵達が慌ててレジーナとリンダを受け止めた。


【さすがは神の愛したラナンティアの女王、この力は厄介だな。】


【デリンダ様いつになく弱気じゃないですか?ここでThe endになるおつもりですか!私はごめんですよ?レジーナ様を殺させやしない。】


リンダは人の言葉ではない呪文を唱え女王目掛けて渾身の一撃を放った。城の床は抜け落ち侍女や兵士が皆落ちて行く。


「エルーカ!」


女王は浮遊しながら自分の侍女とエルーカの二人を捕まえると落ちた床と一緒に下の階へ下降した。下の階では突然落下した床に挟まれたり下敷きになっている者や落下の衝撃で怪我をした者などがいて被害は大きかった。

安全そうな場所に二人を降ろすと女王は魔法で瓦礫を消し飛ばした。


「動けるものは動けない者を助け退避!迅速に行動せよ!」


そう言って最大級の回復魔法を唱え、この場所にいる全ての者を回復させた。


【すごいねぇ、あの人数を一気に回復させるとは、恐ろしい力だ。】


デリンダ様はおもしろそうに眺めていたが女王に鋭い視線を送るとその後ろにいたエルーカに向けて捕縛呪文を発動させた。

女王はその呪文を持っていた杖で叩き払った。

エルーカが狙われていると気が付き女王はそっと保護の呪文と転送呪文をエルーカにかけ「後で会いましょうと。」言った。

エルーカはどうしたのだろうと女王を見つめたが、女王はエルーカに背を向けレジーナとリンダに対峙した。


「お婆様なんだかお疲れのご様子。大丈夫ですか?やっと引導をお渡しできます。今までご苦労様でした。エルーカの事は心配しないで、私が死ぬまで面倒見ますから。もちろん私の体の中でね。」


エルーカも女王も恐怖した。禍々しい力が溢れだしレジーナの奥に眠っていた魔の部分が今正に解放されたようだった。


「それでは、さようなら」


楽しそうに繰り出すレジーナの容赦ない攻撃を防ぐだけで精一杯の女王はエルーカのいる場所まで後退させられていた。

レジーナの強力な連続攻撃を防ぎきれず女王はどんどん傷付いていった。


「レジーナもう止めて!」


泣きながら止めるが間に合わなかった。叫んだ所で止まるはずもないのだが。そこからスローモーションの様に時がゆっくり動き始める。


「トドメダー!」


女王の体は無惨にもバラバラに砕け散った。体は切り裂かれ、首が体から離れながらもエルーカを探す目をひとこまひとこま見つめる事しかできなかった。


「キャーーーー!お婆様ー!」


その瞬間エルーカの体は赤く輝き出した。転送呪文が発動した合図だ。


【リンダ!転送呪文がかけられているぞ!早く捕縛しろ、逃げられる!!】


リンダが異常な速度で動くが一歩間に合わなかった。さっきまでいた場所にはエルーカの姿はなくなっていた。












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