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カエル王女と紅き土偶騎士  作者: エルーカ
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あるメイド2

炎は階段に仄かな残像を残しながら降りていく。

地下に作られた木のドアはボロボロで、元々きれいなグリーンのペンキで塗られていた形跡がある。

ノブはすでに機能していない。力を入れることなく開けて中へ入る。



バキバキバキ!!


大きな音と一緒にキャーっと自分の叫び声が響き渡る。

床が抜け、片足がずっぽり落ちてしまった。

少し傷む足を床から引き抜き、何もなかったように歩き始める。


大事な王家資料の中から、ルチア様出生当時からレジーナ様出生時のものを取り出し読みふける。


ルチア様の出生の時は母親が担当侍女であり、自分はまだ修業の身で関わっていなかった。

ルチア様の出生の際にも不思議な事が起こっていた。


記録ではいきなりの出産だった。月はまだ薄暗く王女がお越しになるには早すぎた。

しかも、現女王が直接出産していないかもしれなかった。


それはある薄暗い月夜の晩、地下2回の祭壇辺りから赤ん坊の鳴き声が響いていた。

メイドたちがその声にびびってしまう中、母親が様子を見に行きルチア様を見つけたらしい。


慌てて女王に報告しこの事は数人のみの秘密とすることになった。(この資料には母が見つけ知らせた事も記載されていた。)

神託はなぜか得られなかったが女王の強い申し出により新しい王女として迎えることになったと記載されていた。


「ルチア様は一体何者だったのだろうか?その後度々ルチア様は命の危機にさらされているわ。王宮でこんなにもお命を狙われるなんて……、おかしな事だわ。」




「レジーナ様の老いの原因はと……、んんん。」


「王宮でルチア様と禍々しい色のカエル(赤色)が親しげにしている姿があった?」


「赤ですって?確かに変ね。……、その数日後メイドが二人消えた?……、何か関係があるのかしら?」


「また赤いカエルが現れた?ほんとにレアーナカエルなのかも怪しいわね、赤だなんて!!聞いたことがないわ。」


「数日後ルチア様がお庭で血まみれでお倒れになっているのが発見された!?」


「なんなの?お母様の慌てっぷりったらないわ!字がグチャグチャだわ。そりゃそうよねレジーナ様がこんなことになったら正気じゃいられないわ。」


「赤いカエル……。こいつを捕まえるか。」


資料を閉じると棚へ戻し部屋を出た。


一階に戻り重そうな石作りのドアを開けると部屋の中にはなにもない。


部屋の中央へ進むとナイフを取り出し左の人差し指へ冷たいナイフを当て一気に引いた。指先からポタポタと血が滴り落ちる。

リディアは血を止めることなく魔方陣を床へ描き始める。

やがて一通り描き終えると右手人差し指と中指をクロスさせ呪詛を呟いた。

魔方陣は青白く光り始めると徐々に輝きを増し部屋中が青白く染まる。


「久しいな。お前は誰だ?」


「ご無沙汰しております。エストラーニア家の28代当主、リディア エストラーニアです。50年前に一度お目通りさせていただいております。」


「28代だと!ローザンヌはいかがした?」


「お婆様は40年前に召されました。」


「50年間我に挨拶なしとはいつからそんなずぼらになったのだ?」


にやにや笑いながら青白く光る人の形をした者は魔方陣から出ようとした。


「あっ、デリンダ様魔方陣から出られてはお怪我をなさいます。」


そう言ったのと同時に爆発音がしてデリンダと呼ばれた者は魔方陣の中央へ押し戻された。


「むむむ、忌々しい魔方陣だ。早く自由に動けるようにせぬか!」


イライラしながら魔方陣の中を歩き回った。


「デリンダ様、再度私と契約し直していただきたいのですが?」


「お前とか?断る。ローザンヌがいない今お前ら一家との繋がりももはやないに等しい。今更契約して我に何の得があるのだ?」


「それでしたら魔方陣の上から一生動けないでいてください。お帰りいただく事もさせません。私は血の魔方陣でお呼びいたしましたので私が死するまでデリンダ様はそこから動けません。」


「そのような戯れ言に惑わされはせぬわ、見ておれ今すぐ魔方陣を消し飛ばしてその首引き裂いてやる。」


デリンダ様は念を込めると力を爆発させて魔方陣を消滅させようとしたが、魔方陣は少しも欠けることなく存在した。

何度も爆発させたがやがて座り込むと弱々しく呟いた。


「さすがはローザンヌの孫と言うことか。我の負けだ。契約してやろう。」


「デリンダ様契約してやろうではなく、契約してくださいですよね?」


「……!」


性悪女だな……。


「契約の内容は?」


「まずは、私に取り憑いて頂きます。」


「取り憑くだと?お前を乗っ取ることもできるのだぞ?」


「承知しております、私が死んだら私の子孫に取り憑いて下さい。そして私に子孫がいなくなった時点でデリンダ様も死にます。」


「はっ?!なぜ我も死なねばならん?」


「それが契約です。現時点で私には子はいません。」


「お前今いくつだ!今から子をなすなんて無理であろう?」


「はい、すでに60才です、子を成すための機能ももうないでしょう。」


「では、お前が死んだら我も死ぬか。」


「それか、あと何十年かをこの魔方陣の上のみでお暮らしになられるか。」


「たかだか何十年をこの上で暮らす方がリスクは低いぞ?」


「耐えられますか?外から色々な生き物の声や生活の音が聞こえますよ?ただ真っ暗闇で眠っている50年と、手の届きそうな場所にいるのに触れられず、見られず、味わえず、匂えず、自らの声も届かない何十年。私どんな手を使ってでも長生きしますよ?」


「つまらんなそんな生活。……、他にはなにかあるか?」


「あとは全てのお力を知識をお貸し頂きたい。私の望みが叶ったあかつきには私の全てを差し上げます。肉体も魂も。それでも足りないと仰るのであれば、ある一人のお方を除いたこの世の全ての人間の命をご自由に……。」


「お前……正気か?お前の一存でこの世の全ての人間の命を我に与えられるのでも思うか!!おこがましいぞ!」


「この世の全ての人間の命など私にはどうでもいいことなのです。ただお一人……、レジーナ様さえ幸せであるならば。」


「レジーナ?」


「はい、ラナンティア国第一王女レジーナ ラナンティア様です。」


「その者一人残った所でその者が本当に幸せか?誰もいなくなった大地でただ一人の人間。リディアよ、そなたの気持ちは歪みきっていて面白い。この瞬間にその契約は成された。」


デリンダ様は魔方陣の中で手首をかっ切り流れ落ちる血でリディアの頭上に小さな紋章を描いた。紋章はゆっくりリディアの胸元へ移動するとジュウウと焼けつき肌を焦がし吸い込まれ消えた。


「あっ、あぁぁぁ!」


熱さと痛さで叫び声をあげると床へ倒れた。


乱れた髪を耳へかけ顔を上げて魔方陣を見るとデリンダ様は魔方陣から姿を消していた。


リディアは自分の胸元へ目を運ぶと


「よろしく。」


と囁いた。













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