プロローグ
2020年核戦争が勃発、暴力が世界を支配した。
「※題名未定」は核戦争から50年がたった2070年3つの大きな勢力で分断されたワシントンDCが舞台。
プロローグはその10年前である2060年が舞台である
~プロローグ~
2060年 12月3日 07:06 ワシントンDC 集落「リトルモスクワ」
それは突然の出来事だった。バリケードの監視塔からけたたましいサイレンが鳴り響いたかと思うと、一瞬後には爆発音と共に30年間一度も破られることのなかった「リトルモスクワ」のバリケードは肉片の混じりあったいくつもの瓦礫と化していた。
バリケードが突破された時タチアナはまだ10才だった。彼女は父ディミトリと粗末な簡易バンカーの中、古びた豆の缶詰めで朝食を済ませているところだった。サイレンの音を聞いたタチアナは恐怖で見開かれたグリーンの澄んだ瞳を父に向けた。ディミトリはすぐに全てを察しうろたえるタチアナをなだめ、スイスアーミーナイフとマカロフピストルをタチアナに渡した。
「タチアナ、すぐにこのバックパックを持って地下壕に隠れなさい。もしも知らない人が入ってきたらどうすればいいかわかるね?」
タチアナはよく、秘密で夜中親友のビリーと一緒に壕に忍び込み遊んでいたので父の言う地下壕の場所は良く知っていた。
「はい、お父さん。」
父ディミトリはこの小さな集落「リトルモスクワ」を築いたアレクセイ・ゴルベフの息子で、どんな問題が起きようとも冷静に対処し自ら人々の前に立ち、迅速に的確な指示を下す優れた指導者であり、「リトルモスクワ」の民衆だけでなく他の集落からも一目おかれていた。娘であるタチアナには格闘技や射撃を始めこの過酷な世界で生き延びるための色々な術を教えてくれた。幼い頃に母を亡くしたタチアナにとって父はこの世の全てといっても過言ではなかった。
今までならそんな父の言葉に疑問を持つことなど有り得なかった。しかし、タチアナはその時父の言葉からいつもは感じられない何かを感じ純粋な疑問が口をついて出た。
「どれぐらい隠れていればいいの?」
父が怪訝な顔をしたのでタチアナは怒られると思い身をすくめた。しかし父は声を荒げることなくこう言った。
「父さんがいいというまで隠れてなきゃ駄目だ。少なくとも昼までには全て解決するよ。」
そして父は壁にかけられていた装具一式としっかりとメンテナンスされたAK74自動小銃を持つとバンカーから出ていった。これがタチアナが生きた父を見た最後の姿となった。
父が出ていくとタチアナは父から渡されたピストルとナイフ、そしてお気に入りの熊のぬいぐるみを持つと簡易バンカーの裏にある薄暗い地下壕へ一人入っていった。
タチアナは寒く暗い地下壕の中、ランタンから放たれる弱々しい光と共に父を待った。数時間たつと外から散発的に聞こえていた銃声や男達の怒号も聞こえなくなった。しかしタチアナは父の言葉を信じ、ひたすら一人孤独に待ち続けた。
少ししてタチアナは暗闇と静寂に耐えかね父との約束を破りそっと地下壕の扉を開け外に出た。周りを見渡すとそこに広がっていたのは彼女の慣れ親しんだ集落「リトルモスクワ」の汚くものどかな風景ではなく、人気も無く破壊し尽くされ原型をとどめない建物の残骸と、略奪され荒らされた生々しい痕跡の残る廃墟だった。
タチアナは溢れる恐怖心を抑え、震えながら父の姿を探した。そしてかつて彼女のバンカーであった瓦礫を超えると向こうに人影が見えた気がして駆け寄ろうとすると何者かに足をとられ押し倒された。
※編集予定
少しして落ち着くとタチアナは父の亡骸を前に集落を襲い自分から父親という大切な存在を奪った悪党たちに復讐することを誓った。そして父の銃を拾うと決して振り返ることなく、一人廃墟の中をゆっくりと歩き始めた。
この時点で彼女はこれから自分をどんな未来が待ち受けているのかなど知るよしも無かった…
本小説は全3章+プロローグ+エピローグで構成される予定です。
あらすじに関しましては2作目まで出来上がっていますので著者の気分で連載が遅延することはあっても連載が中止されることはありませんので続きが気になる方は気長にお待ち頂けるとありがたいです。




