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File.7


 俺がどうです?と、おねーさんを見ると、さすがのおねーさんも顔色を変えて、〔あれは嫌だわ〕と、首を振る。


「じゃ、こうしましょう!ここで、俺がおねーさんの愚痴を最後まで聞いてあげます。おねーさんは、彼氏さんの嫌いなところ好きなところ色々吐き出しちゃって下さい」


〔………最後まで聞いてくれるの?〕


「はい、とことん付き合います」


 こうして、俺はおねーさんの話しを永遠と聞くことになる。


 しかも、時折り、愚痴と言うより、惚気に替わり………本気でおねーさんは、その人のことを好きだということがわかる。




〔―――呪い殺してでも一緒になりたかったけど………そうね、今は彼には幸せになって欲しいわ。ねぇー、君もそう思うでしょ?〕


 どうやら、おねーさんは、全部を俺に吐き出したせいで、『呪い殺そう』としていたことを忘れ、今では彼氏さんに『幸せになって欲しい』と、思うことができたようだ。


「はい、おねーさんは彼氏さんと素敵な恋をしたんですね」


〔ありがとう。誰かにそう言ってもらいたかったの…。私の友達は皆、彼が悪いとしか言ってくれなくて………。あ、今更だけど、き…み………のなま………〕


「俺の名前は式部幽しきぶ ゆうです。さようなら、おねーさん。今度生まれ変わって来る時は、もっともっと素敵な恋をして下さいね」


 俺がそう言うと、おねーさんはきれいに微笑み、フワッとその姿を消す。


 どうやら、成仏してくれたようだ。


 さすがにあの世に逝ってしまったおねーさんの姿は、俺にはもう視えない。


 それでも、きっとあの笑顔は満足してくれたのだろう。







「よっと、これから学校に行けば、昼休みにはたどり着けるかな?」


 俺は座っていたビールケースから勢いよく立ち上がり、高校へと歩き始める。


 完璧な遅刻を覚悟して………。


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