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File.6


 と、まぁ、こんな過去編はさて置き、まず、問題は俺の高校の出席日数…じゃなくて、このおねーさんのお悩み相談だ。


 とりあえず、おねーさんを暗い人気のない脇道に連れ込み、俺はどこかの店の裏口に置かれていたビールケースに座り、本格的に話しを聞くことにする。


 おねーさんは、そんな俺の行動に戸惑いつつも、俺の目をまっすぐ見つめ、話し始める。


 ちなみに、おねーさんは幽霊なので浮いたままだ。




〔私ね、付き合っていた彼がいたの…。でも、彼には私意外にも女がいて………う、ううっーー〕


 そう言うと、おねーさんは泣き始めるが、ここで困った状況になる。


「えっーと、泣かないで、おねーさん。周りの気温が5度くらい下がるから…」


 本気で寒いです。


 脇道は太陽の日差しが入らないせいかヒンヤリしているが、おねーさん周りからは冷気が漂い、俺の足元から冷え始める。




〔あら、ごめんなさい。そうそう、話しを続けるわね!それで、そのことが原因で喧嘩になって彼の家を飛び出の。そして、気付いたら私車道に飛び出していて………〕


「それでは、おねーさんは彼氏さんに殺されたとかじゃないのですね」


〔あたり前よ!彼にそんな度胸はないわ!それでどうなの私に協力してくれるの!?〕


 本気で『呪い殺そう』としている時点で、もっと最悪なことを想像していたのだが(殺人とか…)、違ったようだ。


 これはこれで良かった。




「あのー、今更ですが、俺は『呪い殺す方法』とか知りません。ついでにおねーさんを『成仏させる術』なんてのも、もちろん知りません」


〔えっ!なんで、そんなに力があるのに!!〕


「あ、それ祖父にも毎回言われています。でも、俺にはどうも力の制御ができないようで、大抵の場合は幽霊さんを説得して成仏してもらっています」


〔………使えない霊能者ね〕


「すみません。…それよりも、彼氏さんを呪い殺してしまうと、おねーさんが悪霊になって彷徨うことになりますけど、それでもいいのですか?」


〔くっ………だって、彼ってば、私のことを忘れて今の彼女と仲良くしているんだもん!そんなの許せないじゃない!〕


 そう言って、おねーさんは涙ぐむ。


 しかも、いつの間にやらハンカチを出現させ、悔しそうに握りしめている。


「それでも彼氏さんのことが好きだったのでしょ?」


〔それは………〕


「それでは、仮に彼氏さんを呪い殺してみましょう。きっと彼氏さんはあの世に行ってしまいますが、おねーさんは………ほら、あそこにいる地縛霊のようになるのですよ」


 俺が電柱にいる男性(地縛霊)を指差し、実物をおねーさんに見せる。


 その男性(地縛霊)はどう考えも普通の死に方をした人ではなく、強い思念で電柱に縛り付けられているようだった。


 まぁ、ようするに、おねーさん幽霊は明るく健全向きだが、電柱男(地縛霊)は、陰気で暗くとてもお友達になりたい人(霊)ではないといったところだ。


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