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File.4


*****


 どのくらい走ったのだろう?


 時間の経過はわからないが、突然、暗闇の向こうに光が見えて、僕はそれを目掛けて走ろうとすると、突然、黒髪の青年に腕を掴まれ止められた。


〔馬鹿!なんでこんなところまで来ているんだ!早く、反対の方向に戻れ!〕


「何で?あっちのほうに両親がいるはずなんだ。僕、あっちに行きたい!」


〔馬鹿者!お前がこんなところまで来るから、お前の両親が俺に頼み込んで来たんだ〕


「お兄さんは、父さんと母さんの知り合いなの?」


〔………幽、お前とも知り合いだぞ。とりあえず、この場を離れるぞ〕


 僕は訳がわからないまま、お兄さんに手を引かれ元来た道を歩き始める。


 その際、通り過ぎようとした、おじさんに反対側の腕を掴まれた。


〔どうして、お前だけ元の世界に戻れるんだ!?俺も連れて行ってくれ!!〕


 僕の腕を掴み離そうとしないおじさんに僕がオロオロしていると、お兄さんは顔を歪め舌打ちしつつ僕の側に来てくれる。


 お兄さんがおじさんの顔に手をかざすと、おじさんは少し吹き飛ばされた。


〔ぎゃー!!〕


〔馬鹿者!○○○奴が元の世界に還れるか!大人しくあっちの光を目指せ!〕


 そう、お兄さんが怒鳴ると、おじさんは、うなだれたまま光に向かいトボトボ歩きはじめる。




〔えーん、えーん、オトウサンどこ行ったの?ボクはどこに行けばいいの?〕


 暫くすると、5、6歳の外人の男の子が立ち尽くしたまま、泣き崩れているのを見かけた時、僕は足を止めた。


 お兄さんもこれにはさっきと違う対応をする。


〔いいか坊主、良く聞け。坊主とオトウサンとはこれから離れ離れになる。でも、ここでお前が悲しむとオトウサンはこれからずっと泣いて過ごすことになる。それでもいいのか?〕


〔いや!オトウサンはずっと笑っていて欲しい〕


〔それでは、あの光に向って歩け!そして、そこからオトウサンをずっと見守ってやれ〕


〔あそこに行くと、オトウサンに逢えなくても見ることはできるの!それならボクあそこに行く!〕


 男の子はそう言うと、さっきの泣き顔が嘘のように、軽やかに光を目指し走って行く。


 その姿を僕等は見送って、また男の子とは反対の方向へ歩き始める。


 僕はもう方向感覚はなかったのだが、お兄さんは道がわかるようで、ズンズン僕の手を引き歩いて行く。


*****


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