おまけ2~オレが彼女に逢いに行く理由~②
銀髪…顔は平凡なのに思い切った髪の染め方をしているな。
まぁ、今はGW中だし、『ウケを狙って染めてみましたが、別な方向に間違えました』みたいな感じかな?
「えっと、君は彼女の………」
「ちょっとした知り合いです。以前、愚痴というか…悩みを聞かされたことがあるんです」
「はっはは。もしかして、オレのことだったりして?」
冗談で言ったのだが、彼は驚いて目を丸くし「当りです」と、呟いた。
銀髪平凡君と彼女?
全く共通点はなさそうだが、彼の人当たり良さそうな雰囲気から、彼女が愚痴を言ってもおかしくはないと感じた。
「なぁ、少年、彼女はオレを許してくれるだろうか?オレが彼女以外の女に本気で惚れているなんて…」
オレは、なぜか悩み事を少年に打ち明けていた。
彼女に続いて彼氏にまでにお悩み相談される少年には悪いが、なんとなく聞いてもらいたかった。
特に答えが欲しい訳ではなかったオレは、少年に背を向け歩き出そうとすると、やけに切羽詰ったような声を掛けられた。
「あのっ!今の彼女を大切にしてあげて下さい!えっ、まだ彼女じゃないの?…じゃなくて、早く今の彼女に告白して、ラブラブ…じゃなくて幸せにしてあげて下さい!!」
「えっ?」
「あのー、信じられないと思いますが、それが彼女の願いだから…。すいません、俺はこれで失礼します!」
少年は急にアタフタとし花束を電柱に置くと、呆然としているオレに頭を下げ駆け出して行ってしまった。
「もしかして、あの少年はお前の幽霊でも視たのか?て、まさかな………」
そんな呟きをもらすと、さっきまで気の重かった心が晴れているのに気付いた。
今度少年に逢ったら、オレとお前の分のカウンセリング代金に何か奢るか。
オレは、今日のことを忘れないように少年のうしろ姿をずっと見送っていた。
おまけ2~オレが彼女に逢いに行く理由~ おしまい




