おまけ2~オレが彼女に逢いに行く理由~①
オレは両手に向日葵の花束を持って、ある歩道の電柱に手を合わせいた。
そこには、オレ以外にも花束を置いていく人がいて、そこだけ小さな花屋のようだ。
「なぁ、1年前のオレって最低な奴だったけど、今のお前から見て少しはマシになったか?」
電柱を相手にオレは話し掛けてみるが、当然ながら答えてくれる者はいない。
この場所をオレは1年間避けていた。
ここで大切な人をオレは失くしてしまったから…。
1年前のオレは最低な奴で…高校時代から付き合っていた彼女を裏切り二股を掛けていた。
別に彼女が嫌いだった訳ではない。
大学に行き就職をし、彼女とはそのまま結婚…なんてことまで考えていたのだが、マンネリ化したこの関係に少し飽きていたのだ。
気付いた時には何度も浮気をしていた。
そして、ちょうど1年前それが彼女にバレた。
それでも彼女は許してくれると思っていた。
俺達の付き合いは長い…だから、簡単に彼女は許してくれるだろうと…。
しかし、彼女はオレの度重なる浮気を知っていて、その日とうとうキレた。
売り言葉に買い言葉…そんな感じでオレ達は喧嘩をし、オレの家から飛び出した彼女は、その後、オレの部屋には戻って来ることはなかった。
「オレさぁ、本気で付き合おうと思っている子がいるんだ。その子、ちょっとお前に似ておっちょこちょいで、それで気が強くて…。でも、また以前のことを繰り返してしまうかと思うと…」
オレはそう肩を落として向日葵の見ていると、突然、オレのうしろから声が掛かる。
「大丈夫ですよ。もう、1年前のあなたとは違うんですから、うまくいきますよ」
うしろを振り向くと銀髪の高校生くらいの少年が、チューリップの花束を抱えて佇んでいた。




