おまけ1~俺等が討論会をする理由~①
幼馴染の幽が櫻ヶ丘学園に向う準備をしている頃、宇佐原3兄弟はあることが原因で頭を悩ませていた。
「で、誰が説明するんだよ」
不機嫌そうな顔で、俺(八緒)は兄、弟っと順に見る。
「僕はイヤだな…」
顔を俯き、俺から目を逸らす九里栖…。
コイツは天然でこれをやるから、幽に可愛いと抱きつかれている。
ちょっと、うらやましい。
「………とりあえず、理事長から説明を受けているわけだから、そのことも確認済みなんじゃないか?」
無難にその話題に触れたくない七生…兄貴も俺から目を逸らす。
それもそうだろう、兄貴は学園で、生徒会会長という立場を利用してかなり遊んでいるからな。
幽に生活態度がバレて一番困るのは確実にコイツだ。
「甘いよ、兄貴も九里栖も。理事長は櫻井ならではの天然キャラだから、きっとボケて言うのを忘れているに決まっている」
何となくその言葉が当っていそうなので、否定できない兄貴&弟。
俺達の今、最大検案事項『誰が幽に櫻ヶ丘学園は【ホモ学校】だと教えるか?』の討論を自宅の応接室で行っていた。
「そもそも、『男子高・全寮制・女っ気なし』で、ホモがいそうっと思いそうだが…」
「兄貴、幽は切羽詰って転校して来るんだよ。今はそこまで頭は回らない」
「でも、幽ちゃんは髪の色を除けば、見た目平凡だし、【ホモ学校】っと、言ってもあまり驚かないんじゃないかな…。自分に被害がないと思って………」
「「「はぁ~~」」」
九里栖の言葉で、ついつい3人で盛大なため息をついてしまった。
九里栖、お前自分で言っといてため息つくなよ。
幽は見た目では平凡だ(髪の色は除く)。
しかし、中身は非凡。
幽は、幽霊に好かれるのはもちろんだが、俺達3人を同時に惹きつける魅力がある。
それを櫻ヶ丘学園で発揮されてしまうと、ライバルが増えて困る。
普通の高校なら心配はない。が、しかし、櫻ヶ丘学園は普通高校ではない、それこそ、金持ちの奇人変人の集まる場でもある。




