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File.17


 GW2日目…しかし、今や俺には今年GWというものは存在しない。


 あるのは山のような宿題だけ…。


 毎年GW中には、幼馴染の家に行きバカンスを楽しんでいたが、今年は行けそうもない。


 そのことを、学園生活費のスポンサーである宇佐原のおじさんに説明したら、おじさんからは、ありがたいお言葉で「身体を壊さないように頑張りなさい」と、言われた。



 が、今、もうすでに死にそうです。知恵熱出そう…。




 ♪♪♪


 そんな地獄中、自宅の電話が鳴り響いたので、俺は素早く受話器をとる。


 ちなみに、祖母は今夕飯の買い物中で留守だ。


「もしもし」


≪幽か?俺、八緒。今年のGW中こっちの家に来れないって、どういうことだ!≫


 おぉ、親友よ!などと思っていると、八緒は何だか怒っているみたいで…。


 はて?俺、何か怒らせることした?


 行けない理由も転校手続きとか、あまりにも勉強の成績が悪いため、櫻ヶ丘学園から宿題を大量に出されたこととか、宇佐原のおじさんには説明したはずだが…。


「八緒、何もおじさんから聞いてないのか?」


≪はぁ?何をだよ≫


「だから、GW開けたらそっちの学園に転校するから、その準備で忙しいって」


≪ど、どこに転校!≫


「だ・か・ら、櫻ヶ丘学園高等部!」


 八緒が何やら動揺しているらしいが、それくらい知っているだろ。と思い、ついつい俺も口調が荒くなる。


≪………えぇぇぇーーー!!何だよそれ、聞いてない!うちの学園に、ゆ、幽が来るなんてぇーーー!!≫


 一瞬の沈黙のあと、受話器から絶叫が轟き、その後、電話口で≪いつ来るんだ、幽!!≫とか、ちなみにこれはナナ兄、≪そしたら僕、幽ちゃんの部屋に泊まりに行ってもいい!!≫とか、ちなみにこれは九里栖、とにかく騒ぐ声が聞こえ始める。


 どうやら、八緒のうしろに残りの幼馴染達が待機していたようだ。


 しかも、なぜか俺が転校することを知らなかったらしい…。


 宇佐原のおじさん、もしかして息子にサプライズなんて考えていたのだろうか?




 それにしても、君達、俺の鼓膜を壊す気か?


 俺の耳はいまだに『キーン』と、響いていて、軽く今ならザコ(浮遊霊)100匹を君達に贈り付けたい気分です。


「とにかく落ち着いて3人とも。だから、今回はそっちの家には行けないんだ。宿題が山のようにあるし…」


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