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File.12


 説教から開放された俺とばーちゃんは、トボトボと日の暮れた道を歩く。


「幽、今日は大変だったね。何か美味しいものでも食べて帰ろうか?」


「………ごめん、ばーちゃん。こんなつもりじゃなかったんだ」


 俺は俯き、ばーちゃんに謝るが、ばーちゃんは笑みを浮かべ、このくらい平気だよっと、言ってくれる。


「ありがとう、ばーちゃん。俺、来来軒のチャーシュー麺が食べたい!」


「それじゃ、ばーちゃんは餃子定食大盛りでも食べようかね」


「ばーちゃん、それは無理なんじゃ…」


 俺は呆れた顔でばーちゃんを見るが、ばーちゃんはいたずらぽい笑みを浮かべていて、「幽は餃子が好きだから、大盛りなら幽にも分けてあげられるでしょ?」と、俺の先頭を切って歩き始める。


 俺が落ち込まないように明るくしてくれる、ばーちゃんに感謝しつつ、俺もそのうしろをついていく。







「それで、これからGWになるけど、このまま、この高校に通うのかい?なんなら今の学校は辞めて、新しいところに転校してみるかい?」


 餃子に舌鼓をうっている俺に、突然、祖母から思ってもいない言葉を投げ掛けられた。


 俺はビックリして、目を丸くしたまま祖母を見つめてしまう。


 もちろん、これは驚いているからであって、喉つまりしている訳ではない。




 モグモグ、ゴックン。


「ばーちゃん、こんな問題児な俺をどこの高校が拾ってくれるんだよー」


 俺はしかめっ面の顔をしつつ、今度はラーメンをすする。


「それがあるんだよ」


 ズ、ズズズ………。


「べっ?」


 俺は思わず、ラーメンの麺をすすったまま、祖母に話し掛けてしまった。


 軽く汚い。




「ほら、八緒やお君が通っている桜高校だっけ?そこにちょっとしたツテがあってね。理由を説明したら、本校に迎えたいと言ってくれたんだよ」


「八緒が通っているのは、桜高校じゃなくて、『櫻ヶ丘学園』だよ。それにいくらそこが拾ってくれると言っても、あそこは金持ち(上流階級)学校だし、年金生活のばーちゃんには授業料は払えないよ」


 まぁ、いちおう両親が残した財産や保険金などを下ろせば、何とかなるかもしれないが…。


 それでも、まともに通えるのは高等部までだろう。


 俺は一応大学まで進学したいので、この話しは無かったことにしよう。


 しかし、俺のそんな考えは祖母の言葉によって、覆されることになる。


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