#3 そして終わりの時
はは、推敲なしに書いたから乱雑だぁ(泣)
刑事である忍足は慌てていた。
悲鳴の主は自分が電話の向こうで話していた相手のものだったのだから。
「お、おい。どうした。おい!!」
しかも悲鳴の後、何度呼びかけても応答がなくなった。
いや
その奥からドカッドカッと叩く音が響いていた。
そして、電話から漏れ出た悲鳴に◎◎もディジアも何事かと反応する。
何があったか分からないが、何かがあったことは確かなので忍足は相手の家に向かうことにした。
もしかしたら栄子を殺害した奴がそこにいるかもしれない。
もしかしたらまた犠牲者を出してしまったのかもしれない。
そんな焦燥感に追われていた。
「じゃあ、俺も一緒に───」
そしてそれは◎◎も同じだった。
しかし忍足に止められてしまう。お前が来ても何も出来ないから待っていろと
それでもなお◎◎は食い下がろうとするが
「お前さんのまだ容疑が晴れたわけじゃないんでな」
まだ疑われていたことに少なからずショックを受けた。
しかしそのおかげで自分の立場も理解できたので、大人しく後から合流してきた忍足の部下の案内で移動することにした。
待つように言われた来客用のとある一室の入口には他の刑事もいた。
おそらく見張りなのだろう。
そしてしばらくして忍足からその部下へ連絡が入る。
どうやら手遅れだった───美香も栄子と同じように惨たらしい姿だったそうだ。
◎◎は愕然とした。
今まで生きてきた中で両親の死以外で人が死に触れることがなかった、縁遠かったのに立てつつけに二人の知り合いが殺されたのだから。
そして思った。
もしかして自分と接触した近しい人から死んでいくのではないかと───
そこまで考えをめぐらせてはたと気付く。
ことが起きるまでに接触した人がいなかったかと・・・いた。
そのことを忍足の部下に伝える。
一応調べてみようということになり、◎◎はその相手───加藤椎名───に電話をかけようとする。
場合によってはこちらに来てもらった方が安全だという思いもあった。
『もしもし?』
◎◎が電話していることに気付いた忍足の部下は、止めようとする。
それはなぜか。
もしかしたらその着信先をもとに向かっているのかもしれないということだった。
しかし遅かった。
繋がってしまった・・・こうなってはしかたがないと忍足の部下は◎◎を通して移動するように伝える。
『ええ、わかっ・・・え?あなただr───え、い、いやっ!!』
ゴツッ
電話の向こうからとても鈍い音が響いた。
◎◎は忍足の部下にそのことを伝える。
そして他の刑事をそちらに回すといわれ、しばし待つことにする。
自分がうかつなことをしたことで、また近しい人が死んでしまうかもしれない。
そう思っただけで◎◎は足を震わせる。
ふと周りを見ると、ディジアがいない。
お手洗いだろうか?忍足の部下にも聞いてみた。
すると、忍足の部下も今気付いたようで周りの刑事に探すよう指示を出す。
そして戻ってきた刑事から恐れていた結末を聞かされることになる。
・・・あぁまただ。
昨日今日だけで4人
栄子
美香
椎名
ディジア
これから関わる人が死んでいくと思うだけでゾッとする。
そして、戻ってきた忍足に尋ねられる。
「お前さんが犯人じゃないかもしれないというのは分かった。
完全には晴れないがこればっかりはな。
で・・だ、お前さんに恨みをもつものとかに心当たりはないか?
たとえばだが・・美香という女性は人妻だったらしいな?その旦那とかは」
心当たり・・そんなものはない。
「ありえませんよ。だって旦那と一緒にスワッ・・ンンっだってする仲だし今までの相手もそうだよ」
そう、今まで相手が感情的にならないような関係を築いてきた。
だから恨まれるなんてことはなかったはずだった。
関わる人を事前に見極めることができたから。
束縛してくる相手は避けてきた。
感情的になる相手は避けてきた。
面倒な性格の相手は避けてきた。
相手に今まで避けてきた相手がいる場合も避けてきた。
それが生きる術だったから。
彼の父は浮気性だった。
彼の母は独占的だった。
彼の父はとある人妻に手を出しその夫に刺された。
重症ではあったが助からないほどではなかった。
しかし、彼の母は父の行いにとうとうキレた。
無理心中だった。
自分だけのものにせんがため、車ごと海へダイブ。
それから◎◎は重すぎる愛を捨てた。
己に自分の父親と同じ血が流れていると気づいていたから。
あくまで軽く、あくまで薄くを心がけていたつもりだった。
「本当に心当たりないのかい?」
忍足に念押しされたが、ないものはない。
第一、恨まれるようなことはしていない。
しかし、忍足は微妙な顔をした。
えてして恨む側の思いなんて恨まれる側は知らないものであるといわれても、それならなおさら分かる訳がない。
「じゃあよ、相手にしつこく迫られるとか固執されるようなことはなかったかい?」
それこそありえない。
そんな重そうな相手、こちらが疲れるに決まっている。
だからそんな相手には見つからないようにしてきた・・は・・ず?
「あ───」
「あるのかい?」
「いや、でもだいぶ昔ですし」
「良いから話してみろ。な?」
渋々ながらその思い当った人物について説明する。
あれは中学生のとある放課後のこと、女生徒が何かを探していた。
その女性とは目がくぼんで歯は不ぞろいで全体的に骨ばっていて魅力きな部分は一つもなかった。
その雰囲気も何か面倒臭そうなものを醸し出していたので本来なら避けていたはずだ。
しかし、途中で別の女生徒が焼却炉にごみ以外の何かを持っていくのを見かけていた。
それは小さな親切心だった。
関り合いになりたいわけじゃないが、いじめはあまり好きじゃなかったので焼却炉に行き、その中にあった靴を拾い上げた。
振り向くと、音もなくその女生徒は立っていた。
驚いて悲鳴をあげそうになったがその足元に靴を放り、その場を去った。
それ以来の接触は何もなかったので、なにもなかったのだろうと封印していた。
その女生徒の名前は
黒川 ミハル
そんな昔話によく覚えていたなと感心される。
これも生きる術である。
下手に忘れて接触したくはないから。
「とはいえだ。可能性は低いかもしれねぇが、何もないよりは価値があるだろう。そいつの家に行ってみるよ」
そして自分は、下手な家よりは安全だろうと拘置所に入れられた。
それから数日後
黒川ミハルは発見され、その自宅には凶器と思われる血のついた鈍器もあった。
犯行も自身が認めたため逮捕、平和が戻ってきた。
しかし、1カ月ほど過ぎたある日
黒川ミハルが死亡したことが伝えられた。
それは末期の癌で病死だった。
まだ続くよ?