第1話 仁義無き浮気調査編
仁義なき浮気調査編。
石ノ森章太郎先生の「鉄面探偵ゲン」と若干被ってることが後から判明しました。でもパクりじゃないの。
月曜の朝。
普通であれば人々はとっくに休暇に別れを告げ、
渋々学校だとか仕事だとかに出かけているだろう。
しかし彼女らは暇を持て余していた。
仕事をしたい気持ちこそあれど、その仕事がこないから。
「朝からニュース番組しか無い…アニメかドラマは無いのか」
ぼやく彼女はここの主人。
しかし、その威厳は一日ごとに削れていっている。
「たまにはニュースも見て教養つけなさいよ」
ため息まじりに言う彼女は助手であり唯一の所員。
最近では彼女の方が地位が上になってきている。
「失礼な女だな君は、まるで私に教養が元からないかのような言い方じゃあないか」
「事実ないじゃないの、だって頼りないし言葉の意味を訊いても『辞書を引くといい』って言うし、漢字の読み方を訊いても『辞書を引きたまえ』だし」
「自分で調べる事に意味があるんだよ、その方が知識がつくだろう」
「何よ、温故知新の反面教師のクセして」
「…おん、こち、しん…?君はどこの言葉を話しているんだ」
プルルルルル、プルルルルル
不思議そうな顔をする彼女に手厳しい突っ込みを入れるように無機質な音が鳴る。
「そうら電話が来たぞ、こういうのを、何を寝て待てばいいというんだっけ」
「果報は寝て待て、よ」
プルル、ガチャリ。
「はい、探偵事務所源次です」
第1話
仁義無き浮気調査
依頼人は加藤三郎。
38歳で、セールスマンをしている男性。
「初めまして、加藤三郎と申します、名刺です」
「よろしく。事務所長で探偵の源次美樹子だ。
名刺交換といきたいがあいにく名刺は切らしててね」
「助手の半井杏です」
「よろしくお願いします。
今回お二方に依頼したいのは浮気調査です。
近頃妻の様子がおかしくて」
「ほう」
「定期的に…火曜日と水曜日、どこかへ出かけたり、私が仕事から帰ったら家に居なかったり」
「単純に飽きられただけじゃあ――」
杏が美樹子の横腹をつねる。
「すまない、続けてくれ」
「疑いを晴らしてすっきりしたいのです、1週間、調査をお願いします」
「分かりました。1週間、調査員2名の調査で48.000円です」
「高いな、もう少しまからんのか――」
杏がもう少し力をこめて美樹子の横腹をつねる。
美樹子は顔をしかめた。
「漸く入った依頼だ、何としてでも調べきるぞ」
「そうね、でも奥さんの写真とよく行く場所の候補だけで調べきれるかしら」
「加藤は火曜と木曜と言っていたな、その曜日に怪しい挙動を見せたならビンゴだ」
「加藤って…呼び捨てはないでしょ?あとアンタは依頼人に対してぶっきらぼうすぎ」
「何を言うんだ、私はあれでも努力した方だぞ」
「もう少し口調変えなさいよ」
「だぁめ、性にあわないもの」
「うわっ…気持ち悪いわ、やっぱりやめておいて頂戴」
「…理不尽な女だ……」
続