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転生したのはバカ殿でした  作者: 戦国兄弟
~なぜか転生~
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【其の弐】 

 関が原もちかいことだし、軍備を増強しなければ。

 さて、とりあえずは鉄砲隊を編成しよう。

 もともと結構な数の鉄砲はあるらしいが、足りない。

 俺としては3000丁は揃えたいな。

 この時代、鉄砲はかなり高いらしい。

 一丁3貫というから、現代の金だと30万円相当。

 でも買えない値段じゃない。

 6、7000貫あれば充分だ。


 幸いにして小早川家は大大名。

 九州の筑前……地図で見ると現代の福岡県あたり……に35万石という大領を治めている。

 銭はたんまりとある。

 俺の調べによると、すぐに動かせる銭は3万貫。

 先代の小早川隆景が、せっせと貯めこんだ銭らしい。ここで使わせてもらいまっせ。


 鉄砲隊をつくるついでに、軍隊の改革もした。

 村からつれてきた百姓ではお話にならないから、完全な兵農分離を実施した。

 これで村からの徴兵はしないかわりに、少し税率を高くした。

 百姓どもも、いくさにでなくっていいなら、と承知してくれた。

 その金で、城下町の浪人を雇った。

 浪人なら軍隊としての規律や訓練をいちから教え込む必要がないので楽だ。

 しかもしっかりと金で雇ったから文句も言わない。

 

 その兵たちを俺が家臣に預ける、という形で軍を編成した。

 反発するかもしれないと思っていたが、意外にそれは少なかった。

 小早川家の家老二人が、俺の忠実なるしもべだからだろうか。

 まぁ、抵抗したら追放していたが。


 鉄砲隊は、鉄砲の知識が豊富な松野重元とかいう武将に任せた。

 もともとそいつは鉄砲頭だったから、数が一気に増えても多分対応できるはずだ。

 もちろん俺も面倒をみる。

 まずは3段構えを教え込んで、ゆくゆくは騎馬鉄砲隊もつくるつもりだ。

 

 スペインやポルトガルとの貿易も拡大した。

 豊臣秀吉がすでにキリスト教を禁止していたが、城下で密かに布教を認めた。

 キリスト教徒が増えすぎるのは困るが、西洋の進んだ技術は魅力的だからな。

 いいところを見せてやらなくてはならない。

 と、そこでいい情報をえた。

 博多商人が馬鹿みたいに儲けているのはただ単に物を売っているから、だけではないらしい。

 なんでも商人たちは、ヨーロッパの貿易船に金を貸しだしているんだとか。

 それでその貿易船が、貿易に成功したらもとの金が何倍にもなって返ってくる。

 現代で言いう金融業だ。

 船が沈没して、商品が全部だめになる可能性もあるが、たいていの場合は大儲けして戻ってくるらしい。

 さっそく俺も貿易船に投資した。

 金は積極的に使って、なおかつ増やしていかねばな。

 いくつかの船に貸し出した合計額は1万貫。

 半年後に船が帰って来て、ぼろ儲けできることを期待しよう。


 次は明や朝鮮との貿易だが……。これは難しそうだ。

 ついさいきんまで秀吉の唐入りで戦争をしていたばかり。

 当然のこととして関係は最悪だ。

 もうどうしようもないので、対馬の宗氏にお願いして

「博多の町はいつでも貿易を再開できますよ」

 と朝鮮に伝えてもらった。

 なにせ今貿易できているのは密貿易人くらいとだからたいした収入も見込めない。

 清が明国を滅ぼすまで待つしかないか。


 兵農分離をして、鉄砲を買い込んで、貿易船に投資したら、金が底をついた。

 半年後に船がもどってくるまでは、たいしたことはできなさそうだ。

 朝鮮から連れてこられた職人に焼き物の作り方を教えてもらったりして、新たな産業を創設した。

 焼き物職人が腕をあげて、立派な産業として根付くには時間もかかるだろうが、やらないよりはましだ。

 

 内政を済ませたら、今度は外交をしなければ。

 隣国の豊前には、あの天才軍師・黒田如水が控えている。

 今は息子の黒田長政に当主の座を譲っているが、あの名武将がそう簡単に表舞台から消えるはずがない。

 たしか関が原の時も、天下盗りのために最後の賭けをしたけれど、こともあろうか息子のせいでその野望が潰えたとか。

 なんでこんなヤバイ武将が近くに居るんだよ。

 と、落ち着いてみれば小早川家の周りはヤバイ大名家ばかり。

 肥前には鍋島直茂が。筑後には立花宗茂が。肥後には加藤清正が。

 本当に最強レベルの武将が勢ぞろいじゃないか。なのに俺は小早川秀秋。

 戦国武将の底辺。

 しかもだ。九州の南には、怪物揃いの島津家が依然として大勢力を保っている。

 …………か、彼らとは仲良くしなくちゃな、うん。

 

 なんだか怖くなってきたので、家臣の娘を養女にして各大名家に嫁がせた。

 借金までして莫大な持参金を持たせたら、どこもOKしてくれた。

 朝鮮出兵でかなりの借金背負った彼らにとって、その金は天からの恵みにも思えるだろう。

 これで近隣の大名とは姻戚関係を結んだ。

 ただし黒田家と姻戚関係を結ぶと、如水の野望に巻き込まれそうだったので、長政だけはパスしておいた。

 


 ここまでやってきて気付いたのだが、小早川家は有能な家臣が少なすぎる。

 兵数が多くて、鉄砲隊があったとしてもそれを率いる武将が無能では意味がない。

 他の大名から引き抜くことも考えたが、せっかく近隣の大名と友好を深めたのに、そんなことをしては確実に恨まれるのでやめておく。

 優秀な浪人を積極的に登用しておくことくらいしか今はできなさそうだ。

 

 中央での力も回復させなければならない。

 もともと小早川家は、当主・隆景が五大老の一人になるほどの力を持っていた。

 隆景が生きていた頃は、公儀でもかなりの権力を握っていた。

 なのに隆景が死んだ後は、秀秋が馬鹿だったせいか、それとも若かったせいか、五大老の座は上杉景勝に奪われてしまった。

 おのれ。これまでの秀秋を恨むぞ。

 

 最近では中央の政界での力はないに等しい。

 今の天下の様子も、秀秋の記憶ではいまいちよく分からない。

 こうなったら一度上洛しよう。

 三成や家康に会って、やつらの思惑を見抜いてやる。

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