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 【菜乃葉】の配信を見るようになってから、依然、仕事の要領は悪いままだが、気分はどこか晴れ渡っている。嫌なことや苦しいことがあっても、【菜乃葉】の配信を見れば一気に吹き飛んでしまうし、そのことが分かっているから、面倒な対応や山積みの仕事が目の前に現れても、心穏やかでいられる。


 Vtuberという文化、そして、まだ社会にVtuberがあまり認知されていなかった時代に懸命に戦い抜いたパイオニアたちに、敬意を払う必要がある。配信先に行って投げ銭すべきか。それは、あまりにも浅慮だ。それに、申し訳ないが全員に金を払えるほど僕の収入は高くはない。教師、という職業を侮ってもらっては困る。

 

 彼、彼女たちが創り上げた電脳社会を存分に楽しませてもらい、生きる糧とすることこそ、僕からパイオニア諸君へ向けての敬虔である。


 そんなことを【菜乃葉】の配信を見ながら思っていると、ふいに分かった。僕は、彼女に恋をしているわけではないらしい。ガチ恋勢、ではなかった。僕にとって彼女は、頼り甘え、心を浮上させるための綱のような存在だ。異性に対する何かしらのもやもやは、深い所を覗いていると、多少なりの嫉妬心みたいなものは存在しているようだが、だからといって、それが大きなものに繋がることはない。


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