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「杉並先生、最近元気ですね。何かいいことあったんですか?」
菜乃葉に出会ってから一月ほどが経過して、数学の先輩教師に声をかけられた。彼女と巡り合わせてくれた人物であるわけで、お礼の一つも言っておくべきかと思うが、なんだか癪だ。したり顔で菜乃葉のことを語られたりしたら、胸の奥からぐんぐんと熱いものが込み上げてきそうで怖い。
そうか。これが同担拒否、というやつか。あ、いや、うん? もしも彼が男性でなく女性だったとしたら、それほど感情がもやくつこともない気がする。となるとこれは、恋愛感情にも似たもの、という型にはまってしまいそうで、それはそれで自分が怖い。
「あ、もしかして、Vtuberの配信、見てくれました?」
まずい。ごちゃごちゃになっている胸中のままで彼と菜乃葉について話してしまうと、取り返しのつかない事態に発展しかねない。Vtuberに恋をしている、などと吹聴されてみろ、社会から白い眼を向けられて排斥されてしまう




