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画面の奥から届けられる全てが、僕を良い気分にさせてくれる。幼少期の頃、友達と一緒にわいわい騒ぎながらゲームをしていた時と同じような感覚が、蘇ってくる。
勝った負けただのと騒ぎ喧嘩して、口汚い言葉を投げかけ合っても、その空間は無色透明に澄んでいて、何一つ淀んではいなかった。
淀み。
コメント欄を見る限り、それが全くないとは到底思えないのでその部分は目を瞑る他なさそうだが、心が洗われ救われていることは目で見ずとも明白だ。
菜乃葉のリアクションは、いちいち大きい。だからこそ、いい。敵から攻撃を受けると大したダメージでなくとも大げさに叫び、攻撃を繰り出す時も毎回言葉にならない声を上げてボタンを押している。
コメントを読み上げて漫才のようなやり取りをしていることもあり、僕もつい笑ってしまった。まるで産声にも似た笑い声だった。
その日から僕は、すっかり菜乃葉のファンになった。チャンネル登録は当然のこと、リアルタイムで見れなかった配信を、一から追いかけるほどの熱狂ぶり。僕の自由時間プラス、これまでの睡眠時間の半分は菜乃葉に会うための時間として費やされた。
菜乃葉のファン、通称ナノラーとして恥ずかしくないよう注意を払いながら、初めてコメントを送った時は、中学の時に初めて女子に告白した時のことを思いだした。
コメントを読んでもらえることはなかったけれど、それでも彼女が映る画面の中に自分の書いた言葉が流れて行く光景は、告白が成功した以上の喜びを感じた。まあ、悲しいことに成功したことがないのでそこは想像でしかないのだが。




