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 【菜乃葉】の配信は胸が躍った。なんて言葉では表現出来そうもなかった。魂が躍り身体が震え、瞼が執拗に上下運動を繰り返した。無意識に目を拭った右手の甲が濡れていることに気が付いて驚愕し、どうやら僕は泣いてしまっているらしかった。


 なんの涙だ? 喜びか哀しみか。それとも驚きや悔しさか。感情と脳がリンクせず、ひたすらに異常な状態のまま、僕は彼女のライブ配信を見続けた。内容は恐らくありきたりなのだろう、ゲームの実況配信。ゲーム画面の右下に銀髪で長髪姿の彼女がいて、その上に一列にコメントが流れている。多種多様の言葉が次々と流れて行って、目で追いかけるのはどうも不可能のようだ。


 さすがはランキング一位であって、同接者数は一万人を超えている。それだけの人数が、今の僕のように彼女の言葉を待ちながら、ゲームプレイを画面の外から見ていると思うと、妙な仲間意識が感じられる。顔どころか存在すら見えない、数字で表示されているだけの関係性だけれど、一緒に肩を組んで彼女を応援しているような感覚。なるほど。僕のような気取って自ら孤独を感じてしまっている人にとっては、なんとも手軽に集団の一部になれて、多幸感に包まれる。


 人工的な光。

 

 自然ではない全てが、僕の身体の中を駆け巡って、血流を加速させていく。陽の光では得られなかった高揚感が、スマホの小さな画面から発せられる輝きによって得られた。きっとこれは、自然的ではない。だが、それでも僕にとってはありがたいものに変わりはなかった。

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