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聞いてみるのが早いのだろうが、会話をするのは億劫なので、僕は彼を観察し分析した。
結果、分からない。思えば、僕は彼と親しくもないし、先輩として面倒を見てもらったこともない。顔を知っているだけの知人を情報なしに理解しようなど、公式を知らずに計算式を解くようなものだ。何度も回り道をして時間をかければ解けるかもしれないが、先程の通り、僕の自由な時間は僅かなわけで、至福な一時をそこに費やすのはいかがなものかと……。
そうして、思い至る。
Vtuber?
僕はスマホでネットを開き検索した。今一番、人気のあるVtuberは誰なのか。検索し終わった画面に、登録者ランキングなるものが現れた。僕はすぐさまタップし、一番上にある名前だけをしっかりと脳内に叩きこんだ。
【菜乃葉】
スマホの画面を閉じて、ズボンの右ポケットに入れる。
僕の至福の一時はいつも睡眠に使われていたのだけれど、今夜は彼女のために使うとしよう。




