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4 魔法に化学とか、聞いてない!

 今、オキシアは外出中。

 街の外の見回りをしているらしい。

 オキシアは実力があるから、街の外に出ても危険でないと、上の方の人達に判断されているんだろうなぁ…。


 あれから入学のことを、学校の教会でいろいろ聞いたけど、入学自体は、あの軍服さんが勝手に決めたことだから、学校側の手続きに時間がかかっているらしい。


 あの軍服の人が学校の責任者だと思っていたんだけど…意外だな。

 私が責任者だ!…て顔してたし…。


 結局、水晶は貰った。

 お金の代わりに魔法の成果を出せとか、あの軍服に言われたっけ…。

 無茶を言わないでくれ…。


 部屋で一人…。

 言葉の練習…。やはり、文字が読めないことには話にならない。


 机に座る。

 引き出しから羽ペンを取り出した。

 インクは、新しい物を買ってもらった。

 

 文字の練習ができる!

 このアルファベットとタイ語を混ぜたような文字…

 今は少し読めるようになったが、まだ書けない。


 なんせ、ネイティブは走り書きだからだ!

 あんなに早く書いていたら、指が絡まってしまう。


コンコンッ


 …?

 誰かがドアをノックしたのか?


 「カルビンちゃん?」


 オキシアが呼んでいる。

 そうか…私の名前はカルビンになったんだった。慣れないな…全然。


 「ちょっと来て〜!」


 オキシア、君はまた私の文字の勉強を邪魔するのか?

  しょうがない、出ないわけにはいかないじゃないか。

 

 「ニトロ先輩にカルビンちゃんを連れてこいって、キミカ国立魔法高等学校にふさわしい人なのか見てみたいって。」


 ニトロ先輩?

 あの軍服か?

 それに国立の高等学校だったのか?あの学校は。


ガチャン


 「ニトロ先輩って?」


 オキシアは、説明するより先に私を連れて走り出した。

 あのっ、ガラス彫刻だらけの廊下を走るなっ!まだ怖いんだっ!











 街の外へ来た。

 オキシアがいつもいる場所らしい…。

 草原が広がっていて、遠くに小さく森らしきものが見える。…とても化け物が出る場所とは思えない。


 オキシアと同じような格好の人が何人かそこにいた。


 「あ、ニトロ先輩。連れて来ました。」


 あの軍服黄色目の人はいなかった。

 誰がニトロ先輩だ…?


 「あぁ〜、君がカルビンちゃんだね?よろしく。私はニトロだよ〜。主にここら辺の見回りをしてるチームリーダーさぁ〜。」


 緊張感のない声で言うその人は、オレンジ色のボサボサ頭の人だった。


 え、ニトロ先輩…独特…。


 弥生人みたいに耳の横で下向きに二つぐくりをしていると思えば、後ろで三つ目をくくってある。

 コレはなんという髪型だ?トリプルテールとでも呼ぼうか…。


「オキシアちゃんありがとね〜。あとは私が見ておくから、君は戻っていいよ〜!」


 ニトロ先輩はそう言って、オキシアを自分の持ち場に帰させた。


 ニトロ…って、あの爆発するやつだよな?

ニトログリセリン…とか、TNTトリニトロトルエンとか、聞いたことあるし…。


 ニトロ先輩…もしかして爆発系魔法?


「カルビンちゃん、今日の獲物来たよ〜。」


 先輩は緊張感のない声で言った。

 遠くの森の方を指刺している。

…アレは、化け物だ…。

 しかもかなりの数、木の間からこっちを見ている。


 この数は、流石に先輩達でも危ないのでは…?


「カルビンちゃん?聞いてる?大丈夫〜、怖がらなくていいよ〜。ほら、見ててね?」


 ニトロ先輩はこう言うと、手を振りながら森の方へ走り出した。


 バイバーイ、じゃないよ!

 あの数は危ないんじゃないですか先輩っ!


 ニトロ先輩意外の人達も森へ向かい始めたが、遠くで先輩が、


「大丈夫〜、久しぶりにひとりで片付けたい感じなんだぁ〜。」


 …的なことを言っているのが聞こえた。

 この人、ヤバい。


 私は、ニトロ先輩を見ていた。

 先輩は森は近づくと、木の影に隠れている化け物達を煽りまくった。

 小石を投げつけているように見える。

 …え?


 …もちろん化け物達はキレまくった。

 先輩はニッコニコで走りだす。

 もちろん化け物達は先輩を追っかけ始めた。

 …え?


「あはははははははははははっ!」


 ニトロ先輩は笑いながらこっちへ走って来る。

 え、何してるんですか?


「ほら〜!カルビンちゃん?ちゃんと見てるんだね〜!」

 

 ニトロ先輩は地面を蹴ると、ふわっと浮き上がった。

 それから何かを、地面に投げつける。

 …石?


ドガンッ!


 …石ではなく、火薬だったようだ。

 どこから出したんだ?


 追っかけていた化け物は、爆発で吹き飛んでしまった。

 …先輩、強すぎる。







 ニトロ先輩は、やはり爆発系魔法なのだろう。

 その後も、何回か戦闘を見学させてもらった。

 先輩は敵をすべて爆発させて攻撃していた。


「カルビンちゃん、次は君の番かな〜?ほら、あっちの木の影に、丁度いい一匹がいるよ〜?」


 ニトロ先輩は突然そう言った。

 え、私の番だって?


 ニトロ先輩はウッキウキでその木の方へ向かっている。また煽りに行くようだ。

 先輩、待ってください!私にはまだ早すぎると思うんですけど!


 先輩は、お構いなしだ。

 先ほどと同じように、でも、今度は砂をかけた。


 化け物は怒りまくった。

 先輩を追いかけ始める。


「カルビンちゃん!今だよ〜!ほらどうにかしてこいつを倒しちゃいな〜!」


 !!!

 そんな、突然…。


 とりあえず、水晶を持つ。

 念のため首から下げて持ち歩いていたのだ。


 敵を倒すイメージ…ダメだ先輩みたいに爆発させるイメージしか湧かない…。

 私に爆発は無理だ…。


 水晶を持った方の手に六角形の魔法陣が現れた。 


〈水を感知しました。こちらを使用しますか?〉


 聞こえないはずの声が脳内に再生された。

 水を感知?使用?どういうことなの?

 水晶を見てみた。この中の水に反応しているのか…?


〈【インベントリ】に用意しました。

 水:H,O

空気:N,O,H,C,Ar 〉


〈ただ今【爆発】の魔法は使用可能です〉


 え、何コレ…。見えないはずの何かが見える。

 インベントリに用意?それとコレは…元素?

 どうして、今こんなものが表示されるの?


 …まぁ、爆発の魔法が使用可能?…なら、使ってみるしかないよね…。訳わかんないけど。


 〈【爆発】の魔法を発動します〉


 手元に表示されている、六角形の魔法陣に〈NO₂

〉という文字が二つ表示された。


 それから水晶を持っていない方の手に、黄色いビー玉のようなものが現れた。

 何を思ったのか、私はその玉を化け物に向かって投げつけた。


バンッ


 なかなかいい爆発だった。

 しかし先輩の魔法に比べてコレはかなり弱い。


 あわわっ!効かない?

 

ドカンッ!


 トドメは先輩がしてくれた…。


「カルビンちゃん、すごいよ〜!使えたね〜!爆発系魔法!」


 先輩が拍手しながら走って来る。


 今のは、私の魔法なのか…何か天の声的なものが指示して来たように思えたが…。


「よし、よ〜し!カルビンちゃん?あなたココの防衛隊に入らな〜い?」


 ん?

 防衛隊?

 あの化け物から街を守る仕事ってこと…?


 え、できるの?私が?


「あ、ありがとうございます…でも、まだ保留でいいですか?」


 自分の魔法の使い方もわからないようで、あんな危険なチームに入るわけにはいかない…。


 …もう少し、時間が必要…かな。


「いいよ〜。期待の星さんはいつでも大歓迎だからね〜。」


 !!!

 期待の星だって…。

 えぇ…私が…。嬉しい。


 いや、しかし。正直、私がなぜ期待されているか分からない…。

 やはり、髪の毛の色?言い伝え?


 実力もないのに、期待されるだなんて、勘弁…。














 自分の部屋で、さっきの天の声が聞こえないか、いろいろ試してみた。

  

 水晶を握り、念じてみる…。

 部屋に持って来ていた枯れ葉に向かって念じてみた。 

 静かに燃えるイメージで…。


ブォン


 水晶を持った方の手に、あの六角形の魔法陣が現れた。

 …いや?ただの六角形ではないぞ?

 え?ベンゼン環…?


 嫌な、予感がした。

 

 私!化学得意じゃないんですけど…。

 コレ、化学の魔法じぁないですよね???

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