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3 魔法学校とCの魔法

 学校…。

 オキシアと一緒に教会へやって来た。

 外見は、教会というより学校だ。日本の校舎と雰囲気似てるぞ。しかも、木造の昭和のやつ…。


 学校の鉄製の柵を越えた。

 本当に、教会なのか?不安になってくる。


 校舎の中から生徒らしき人が見てくる…。

 中には窓から乗り出している人もいる。

まるで、珍しいものでもみるかのようじゃないか。


 渡り廊下的なところの下をくぐる。

少しひらけた校舎の間に、やっと教会らしきものが現れた。


 本当にあった…。

 コレは、教会…だな。


 教会を囲むように、校舎が並んでいる。

 生徒は、コレで使いやすいのだろうか…?

授業中にお祈りとかされないのか? うるさくないのか?


 教会の中は、いかにも教会だった。

 ただし、十字架は見当たらないし、教会に置いてあるシンボルのようなものも見たことない物だ…。

 

 やはり、私の知っている教会ではないようだな…。


 神聖な場所というものは、どうしてこう…空気が良いのだろう。

 深呼吸をしてみた…。


フゥ…。


『へへ、緊張してる?』


 緊張?してないぞ?…いや、してるかも。

 なんせ私の魔法にランクがつくらしいじゃないか!

あの物を焦がすだけの魔法に!


 ここには神父さんはいなかった。

 代わりにいるのは…学生?

私と同い年か、それより少し上くらいの人だ。

 その人は、オキシアとはまた少し違う制服だった…いや制服というよりは軍服だった。


 『君、何の様かな?』


 軍服の人はやや、威圧するように言った。

 その人の髪は、やや灰色気味で光沢がある。

 それとは対照的で、その人の目は鮮やかな黄色だ。

私もオキシアも、その瞳に見惚れてしまっていて…


 『君、何のようだと言っているのだが?』


 …怒られてしまった。

 えぇえっ、この人怖いです。


 オキシアは、ハッとして軍服の人と話始めた。


『私、オキシアと言います。今日は、隣の方の戸籍登録に参りました!』


 オキシアは言った。

 軍服の人は、不思議そうな顔をしている。

 当たり前だ、こんな学生っぽい人に戸籍がないだなんて普通はありえない。


 『戸籍…?』


 軍服の人は、先ほどの態度と変わって、ポカンとしている。

 そうして、その人は重たい足音を立てながら、私の元へやって来た。


 『君、珍しい髪色をしている。何か魔法は使えるのかね?』


 私の顔を覗き込んでくる。

 先ほどまで少し遠くにいたのでわからなかったが、この人は、かなり大きい。

私の顔を見るのに、わざわざ中腰になっている。


 「魔法は、昨日初めて使いました…。が、物を焦がすことしかできません。」


 軍服の人は、また驚いたような顔をした。

 そんなはずはないだろう的な顔だ。


 『少し、そこで待っていろ。』


 そういうと、軍服の人は、私の後ろへ駆けて行ってしまった。

 足音は、相変わらず重たく、床が抜けそうだ。







 オキシアは隣で、落ち着かない様子でいる。


『あのね、この街の言い伝えなんだけどね…。黒い髪の毛の人がかつて強力な魔法の使い手だった、らしくて。それと、私みたいに髪の毛に光沢のない人は、昔から魔法に長けてるって言われてるんだ…。』


 オキシアは、自分の髪の毛を触りながら言う。

そういえば、オキシアの魔法…私知らないかも。

オキシアは、魔法に長けているのか…。


『あの人、あなたの魔法に期待してるんじゃないかな…。』


 確かに私の髪の毛は、光沢のない真っ黒だ。

 ただし、期待されるとなると…。

 それは、困ったことだ。

 なんせ、私はそんな強力な魔法だなんて無縁の人だからだ。

木の枝を炭にするだけの魔法なんだぜ?

何が強力だっ!







 重たい足音を立てながら、軍服の人が帰ってきた。

 手に何か持っている。

 白い…布?何かを包んでいるようだ。


『君、ちょっとコレを持ってみたまえ。』


 白い布から、出て来たのは…水晶?

クリスタル…柱状の結晶が綺麗だ…。

おや、中に気泡が。水晶を傾けると動く。


『〈水入り水晶〉というやつだ、名前の通り中に水が入っている。』


 試しに振ってみた。

 本当だ。水の音がする。


『おい!振るな!落としたらどうする。いいから、そいつを持ちながら何か魔法を使ってみろ。』


 怒られてしまった。今回は私が悪い…。

 そんなことより魔法だ。

 こんな物で何か変わるのか?

 こんなの、地球でならよく採れる物なんだけど…。


 試しに何か、念じてみる。

 軍服の人がこの建物に入る時、扉を開けっぱなしにしていたようで、枯れ葉がカラカラ音を立てながら入って来た。

ちょうどいいところに…。


 水晶を片手に、枯れ葉が黒い塊になるところを想像してみた。


 水晶を持った方の手に、突然六角形の環が現れた。

 手を囲むようにして現れたその六角形は…魔法陣のようだ。


 …。

 枯れ葉のカラカラいう音は消えた。

 炭になっている。

 

 あぁ、やっぱりコレだけ…。

 変な魔法陣はできたけど…。

 水晶を見つめた。やっぱり意味ないじゃない。

 

 …水晶は綺麗だ。

 …そういえば、ダイヤモンドって水晶とどれくらい違う輝きなんだろう…。

 

 その時、枯れ葉だったものが光った。

 枯れ葉…?何で光るの?


 枯れ葉の炭は、光りながら一つの小さい塊になった。

 光は弱くなっている…。


 …ダイヤモンドだ。


『君今、枯れ葉を消したな?君は焦がすことしかできないと言ったが。』


 軍服さん、よく見てください、消えてないですこれ…まあ、そんなことは置いといて。

 私にできることは、物を焦がすことだけだと思っていたのに…。


 ダイヤモンド…作っちゃった…。


「こんなの初めてです…。今まで、こんなことできませんでした。」


 私は言った。

 軍服の人は、じっと私を見ている。

 オキシアは目をキラキラさせていた。期待の眼差しでこちらを見ている。


『君にこの水晶をやることにする。なんせ君は伸び代がありすぎるようだからな…それも含めて君の魔法ランクはCだ。悪くないだろう。』


 軍服の人は言った。

 なんだって、私の魔法ランクはC…?

 高いのか?それは?


『魔法ランクは最高がA最低がG、特に長けているものはSに昇格することもある。…Cランクは悪くないランクだろう、そうは思わないか?それと、君…魔法学校に興味はないかね、君ならその魔法をより強力なものにできるはずだ。我々は君の入学を歓迎するぞ。』


 嘘…。

 学校にご招待ってこと…?マジで?

 私、まだ文字も上手く書けないんですよ?

 しかも、この学校…みるからに賢そうなとこじゃないですか?街の中心にあったり、中にこんな教会があったり…!


 オキシアは、自分の口をおさえていた。

 私より喜んでいるじゃない…。


『君。ここへ入学しないか?』


 軍服は言う。

 オキシアを見てみた。

 オキシアは首を縦にブンブン振っている。

 よし…入学、しよう…。


「はい、喜んで…。入学、します。」


 軍服の人の表情は少し明るくなった。

 期待されるのも悪くない…。

期待に応えられるかは、置いておいて…。


「あ、…しかし、私…まだ読み書きが上手くできないんですけど、大丈夫ですかね…?」


 恐る恐る言ってみた。


『え?』


 流石に驚いている。

 軍服の人はその黄色い目を大きく開いて、私を見た。


『君の入学は歓迎する、ほら、コレは君の戸籍だ。君は今日から〈カルビン〉と名乗れ、神話のある神からとった名だ。』


 名前は戸籍とともに与えられる。

 軍服の人は紙にササッと、戸籍簿的な物を書いた。


 〈カルビン〉…何だかピンとこない名前だ。




 私とオキシアが、教会を出ようとした時、この学校の生徒らしき人が入口から覗いているのを見た。

 私が目を合わせると、引っ込んだ。…?

 何をしているんだ。


(新しい子が来るよ!)

(新しい子、どんな子だった?)

(いいな、いいな、私も見たかった。)


 あー、早速私のことはすぐ噂になりそうだな。

 

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