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138 続く地獄


「ちなみに式はいつするの?早めに言っておいてくれるとお父さんも予定が組みやすいと思うから♪」

「場所はどうするの〜?私たちがした式場は結構良かったからオススメよ〜♪」


 何だこの地獄は。時間と共に全てが解決されると思っていたのに、この二人は食事中も一生そんなことを言っている。


「はやく佳奈美(かなみ)のウエディングドレス姿が見たいな〜♡」

「ですね〜♪きっと佳奈美ちゃんはウエディングドレスが凄く似合うからしっかりカメラに収めておかないと♡」


 (しゅう)の母の沙也加(さやか)、そして佳奈美の母の(かえで)は息子たちの結婚式の話に胸を躍らせている。こんなに親同士が仲がいいのであればきっと将来も良好な関係のままでいられるだろうし、このカップルはぜひ結婚すべきである。

 だがしかし、このカップルの彼氏側はこの会話を聞かされて気が気じゃなくなっている。


(何で結婚する前提で話進んでんだよ!?いやしたいけど!!)


 ご飯を食べ始める前からずーーーっと思ってた。普通に考えて付き合い始めてまだニヶ月程度のカップルにそんな期待を込めた会話をするなよと。


 まあでも柊としては将来そうなれればいいと思っているから良いと言えば良いんだけど。だがそれはあくまで今の感情でしかない。例えば付き合って三年経って本気で結婚したいと思っていた男が同棲し始めるとグータラダメ野郎だって一瞬で冷めたみたいなこともあるだろ。


 佳奈美とは付き合うどころか出会ってからでも半年も経っていない。いや半年も経っていないのにここまで好きという感情で溢れているっていうことは多分相性抜群なんだろうけど。

 万が一、億が一にでも佳奈美のことを嫌いになることなんてないが、もしかしたら向こうに冷められる可能性だってある。


 例えば大学卒業を機に同棲し始めたは良いものの就職先がブラック企業で家に着く頃には彼女はもう寝ていてほとんど構ってあげられなくなって冷められることもあるだろ。いやさっきからこの例え何なんだよ。


 でも佳奈美はきっとこんなことになっても『お疲れ様!ご飯レンジで温めて食べてね!明日も頑張ろうね!あと、今度のデート楽しみにしてるね!愛してる!』とかいう置き手紙を置いて机で一人寂しそうに眠ってるんだろうな…。


(いや俺の彼女可愛すぎだろ!!)


 つい妄想が膨らんでしまった。やっぱ佳奈美可愛いな。

 いや待てそれはあくまで想像でしかない。もしかしたら「もう無理。別れよ」とか言ってくるかもしれないだろ。


 うーん、これは考えない方が良さそうなやつだ。とりあえず可愛い彼女を見て癒されるか。


「私は、その…早く着てみたい…です」

「「きゃ〜〜♡」」

「……」


 よし一旦トイレ行こうとりあえず気持ちを整理しようそしてそのまま生徒会の人とかに助けを求めよう友達いないから。


 一旦起立。そしてバレないように歩き始__


「どこに行くんですか?」


 なぜか腕を掴まれてしまう。その腕を辿っていくと、見る者を魅了する圧倒的美貌の少女がいた。しかし彼女はただの姉だったので凄く憎たらしく感じた。


「トイレに…」

「嘘つかないでください」

「いや本当に漏れそうで…」

「本当にそういう時はあと一ミリ目が開いているはずですけど」

「?????」


 何を言っているんだこの人。どれだけ観察してたん?

 いやそんなこと言っている場合か。早く逃げないと話の矛先がこちらにやって__


「柊も佳奈美ちゃんのウエディングドレス早くみたいわよね〜?♡」


 ほら、こうなっただろ。試合終了。


「どうなの?♡私としては早めに把握しておきたいんだけど♡」


 沙也加だけでなく楓も嬉しそうに笑みを向けてくる。まだ何も言っていないのに。でもこうやって顔が熱くなってきてマジで照れている時点で何を考えているかバレているような者だが。でも本人の前でそれを言うのは流石に…。


 と思っていた時だった。


「あの…三人とも良いかしら?」

麗沙(れいさ)さん…?」


 ちょうど良いタイミングで生徒会長がやってきた。やはり生徒会長は頼れるなぁ。


「どうしたんですか?」

「午後に向けて少しだけミーティングをしておこうと思ったのだけれど…」


 麗沙は今の柊や佳奈美の状況を見て呼び出すべきか迷っていたが、そこで柊はちゃんと首を何度も縦に振ってアピールをした。


「じゃあ…十分後に生徒会室に来てもらえるかしら?」

「わかりました!!」

「そ、そう…じゃあまた後で…」


 今までに見たことがない柊の元気一杯の返事に困惑していたが、一旦麗沙は背中をこちらに向けて去って行った。


 これは千載一遇のチャンスだ。逃してたまるものか。


「じゃあ俺らは生徒会室に行ってくるんで…」

「え〜、良いところなのに」

「すいません…じゃあ行くか」


 我が姉と佳奈美に目を向ける。姉は準備万端で既に立ち上がっていた。でも佳奈美は顔を真っ赤にしていて上手く立ち上がれていなかった。


(これは後で面倒なことになるヤツだな…)


 多分佳奈美に色々言われる。「私だけ恥ずかしい思いするなんてズルい!柊も恥ずかしい思いして!」とか言われる。

 でもそうなってももう母達のもとには戻ってくる予定は無いので恥ずかしい思いはできない。つまり柊は佳奈美の結婚の意思だけを確認したことになった。


(…とりあえず大学卒業してからかな)


 出来るだけ早く一緒になれるよう努力しようと思った。


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