132 仲良くなってくれ
夏休みが終わり、それから時はあっという間に過ぎ去っていった。
「ふぅ…よし、出来たな」
「おーい!そっちは出来たか!?」
「はい!終わりました!」
「そうか!ならもう帰っていいぞ!助かった!」
「わかりました!」
ようやく明日の準備を終えた柊は先生に確認を取ってから一度生徒会室に帰還した。
「ただいま戻りました〜」
「「「「「おかえりなさい」」」」」
見た感じもう他の生徒会メンバーは帰還している様子なのでとりあえず早く席に着く。
「お疲れ様」
「結構こき使われてましたね」
「ああ…『生徒会唯一の男だから』って、重いものめちゃくちゃ持たせやがって…」
先程までのことを思い出し、小さく愚痴を漏らした。しかし生徒会の一員はいい人たちだけなので、先生のことを悪く言えずに苦笑いしかできなくなっている。
「あはは…」
「不甲斐ないです」
「ごめんなさい…人手不足のせいで…」
「まあ仕方ないですよ。何となくこうなることもわかってて入ったんですから」
様々な仕事を請け負う生徒会なら自然と力仕事も回ってくる。でも生徒会には元々女性しかいないから、柊が生徒会に入ればこうなってしまうのも必然。それぐらいは理解している。
しかし今回の作業は四人分ぐらいの作業を一人でこなしたので流石に疲労が溜まっている。
そしてそんな気持ちを察してくれたのか、花音と佳奈美が隣の席から肩を揉んでくれた。
「頑張りましたね〜。偉いですよ〜」
「結構凝ってるね…ちゃんとほぐさないと!」
「…」
この際ハッキリ言わせてもらう。死ぬほど気持ちいい。
二人の女の子らしい小さくて柔らかい手の感触がしっかりと伝わってくるし、両サイドからいい匂いで攻撃されて頭がぼんやりしてくる。この二人には柊を惑わすフェロモンでも出ているのだろうか?
いやその場合姉に反応してるのもおかしいか。まあ何でもいいか。とりあえず前を向いて話に耳を傾けよう。
「相変わらず仲良しね」
「いいな〜。私にも弟がいればよかったのに」
「幸せそうで何よりですね。しかし仲良くするのも程々にして、早く話を終わらせないといけません」
周りの人からは生温かい目を向けられるが、二人は何も躊躇うことなく肩を揉み続ける。
「そうですね。早く帰って柊の疲れを癒してあげないと」
「え!?柊は私が癒してあげるんです!!」
「でも佳奈美ちゃんは家に帰らないといけないので__」
「話、始めちゃってください」
「え、ええ…」
二人の言い合いを聞いているとキリがない。なのでとりあえず二人は無視して話を始めてもらおう。
というかそもそも今日何の準備をしていたかって?
それは簡単。
「じゃあ、体育祭について話させてもらうわね」
ちなみに、明日は体育祭である。今日はその準備を全校生徒でしていて、生徒会メンバーなどが放課後に残ったという形になる。
「それじゃあ早速明日の日程から__」
まあこの辺の話はどうでもいいからスルー。
「じゃあそういう感じで、明日もよろしくお願いします」
「「「よろしくお願いします」」」
「でも私の方が柊への愛は大きいですよね?」
「そんなことはありません!私の方が何倍柊のことを考えています!!」
「…二人には俺から説明しておきます」
「お願いするわ…」
周りの三人は、両サイドで柊の肩を揉みながら言い合いを続けている二人に苦笑いを浮かべているのだが、当事者からすればそれどころではない。
普通にこの言い合いを止めるのでも相当大変だし、その後体育祭の話をするのも面倒だし。本当に面倒な彼女と姉を持ったものだ。
まあでもこの二人の面倒を見るのは別に嫌いではない。むしろこうやって面倒を見れるぐらい平和な方がきっと幸せなんだろう。
「姉さん、佳奈美。帰るぞ」
「「だから私の方が柊を愛してます!!」」
「……」
もう逃げ出したい…。
そんな思いを虚空に投げつけた。




