129 終わりと始まり
色々なことがあったが、とうとう今回のキャンプは終わりを迎えた。生徒会メンバー達は車に乗って順番に帰宅し、そして最後に柊と花音と佳奈美の家にやって来た。
「ついたぞ」
「ありがとうございます」
「お世話になりました」
ニコニコの笑顔で佳奈美と花音がお礼をし、それに便乗して柊も頭を下げた。
「こちらこそありがとう。楽しいキャンプだったよ」
「姉さんの言う通りよ。みんなのお陰で楽しい時間を過ごせたわ。本当にありがとう」
新旧生徒会長コンビの姉妹に礼を言われ、少しだけホッとした。柊は生徒会に入ったことすらない部外者だから、本当は厄介者扱いされているのではと思っていた。まあでも彼女らは既に何回もそんな事はないと否定してくれていたし、今もこうやって本当に楽しかったことがわかるぐらいの笑みを向けてくれている。
流石にそんなものを見ると心にクる物があり、柊は心の底からの感謝を伝えた。
「俺も楽しかったです。生徒会がこんなにいい場所だなんて、知りませんでした」
もっと雲の上の存在だと思っていた。気高く誇らしく優美な、そんな感じのイメージを抱いていた。いや実際彼女らは全員がそれぞれの美しさを持っていたが、それでもこんな普通の人間にも優しく接してくれた。それによって柊の中の生徒会へのイメージがガラリと変化し、今となってはとても居心地の良い場所であった。
「そこまで言うのであれば、このまま生徒会に入っちゃいます?」
「いいですねそれ!ねえねえ、このまま入ろ?」
「いいんじゃないか?柊は間違いなく戦力になると思う」
「そうね。人手も足りていないし、ここは是非こちらからもお願いするわ」
こんな普通の人間にもこうやって優しく手を差し伸べてくれる。本当にいい人達だ。もし叶うのならこの人たちの隣を歩いてみたい。心からそう思う。
しかしながら柊の中にはキャンプに行く前とはまた別の懸念が生まれていた。
(…すごくいい話だけど…でも、女の子しか居ないんだよなぁ…)
そう、生徒会には女の子しか居ないからハーレムになってしまうのだ!!そんなことをしたら学校の全男子生徒に殺されるぞ!!ただでさえ生徒会には超絶美少女が揃っているというのに!!
とまあそんな感じの理由で生徒会に入るのを躊躇っているのだが、彼女らはそんなことも気にせずに全力で誘ってくる。
「でもまあ、無理にとは言わないわ。あなたにはあなたの考えがあるでしょうし。でもこちらとしては、あなたが来てくれると本当に助かるわ」
「お姉ちゃんは毎日大変な思いしてるんですよ?人手が足りなくて重いものを運んだり夏の日差しの中先生の手伝いをしたり…」
「んなところは見たことがないぞ」
「あはは…。確かに花音さんはちょっと話を膨らませてるけど、でも嘘じゃないんだよ?重いものを運ぶときは何人かで分担したりして何とか凌いでいるんだよ」
「でもそういうところに人手を多く使い過ぎるわけにもいかないのよ…。他の案件も溜まっているから、結局少人数で重い荷物を運ぶことになったり…」
「……」
この人たち、こちらの刺激の仕方をよくわかっていやがる。流石はブラコン姉と柊のこと大好き彼女だ。
でもこっちにだって考えという物がある。いくらそうやってこちらの気持ちを煽ろうが、考えが変わることなんてない。
「はぁ…わかりました。入ります、入ればいいんですよね?」
しまった。口が勝手に。
「!!本当ですか!!??」
「いや、えっと…」
「やったー!!これで一緒にお仕事できるね!!」
「助かるわ。ありがとう」
「やはり私の見込んだ男だ。頑張ってくれよ」
「…」
もう撤回できるような展開でもないな。まあ別に生徒会に入る事は全然嫌ではないからいいんだけど。
「わかりました。これから全力でやらせていただくので、よろしくお願いします」
「ええ」
「よろしくお願いします!」
「頑張ろうね!」
「ああ」
色々あったが、とりあえず生徒会に入ることが決まった。この選択はきっと自分を苦しめることにもなるが、それ以上に自分を成長させてくれるきっかけになると、そう信じている。
まあでも、結局のところは佳奈美や花音に苦労をさせたくないという想いでは入っただけだ。そう気負わずに自分のペースで頑張って行こう。




