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128 普通の女の子


 まさか佳奈美(かなみ)花音(かのん)、はたまた母親以外から膝枕をされる日が来るなんて。しかし寝心地はその三人にに負けず劣らずで、どこか頭がぼーっとしてくるのを感じる。


「どうだ?少しは楽になったか?」


 小さく笑いつつ心配の目を向けてくるのは、また生徒会長であり(しゅう)から見て三つ年上の沙奈(さな)だ。彼女は髪こそ長いがどこか男のような立ち振る舞いを見せていて、まさしく強い女性というイメージだった。しかし実際にこうして太ももに触れてみると柔らかくていい匂いがして、彼女も一回の女の子であることを理解する。


 でもこのことを花音や佳奈美に知られると怒られる可能性があるので黙っておこうとなどと思いつつ、一旦目の前の少女に自分は大丈夫であることをアピールしておく。


「はい。結構落ち着いて来ました。ですのでもう大丈夫ですよ?」

「?何がだ?」


 何となくこの状況はよろしくないと思ったので何とか離れようとするのだが、なぜか彼女は鈍いフリをしている。だがこちらとしてもそろそろ離れないと罪悪感で押しつぶされそうなので何とか声をかけ続ける。


「膝枕ですよ。もう座っても大丈夫ぐらいにはなったので」

「?君はもういいのか?」

「はい。ありがとうございました」


 いい感じの流れだ。コレなら恐らくこちらが膝から頭を上げても大丈__


「何をしているんだ?私はまだ許可していないぞ?」


 その瞬間、沙奈の手によって強制的に膝に戻されてしまった。


「いやその、もう大丈夫なので…」

「柊からすると確かにそうかもしれないが、私から見ればまだまだ大丈夫ではない。よって君はまだ私の膝で寝ているべきだ」


 この人だけはしっかりしている人だと思っていた。こちらがもう大丈夫と言えば「そうか」と言って受け入れてくれると思っていた。


 でも現実は違った。花音ほどではないが、沙奈も十分に自我を持ってこちらと接して来ていた。つまり沙奈もこちらの意見を聞かずに自分の意見を押し付けてくるということ。

 まあでも、彼女は彼女なりにこちらの身を案じてこういうことを言ってくれているのだろうから、花音とかいう病原体とは違う。ごめん、それは言いすぎたわ。

 そんなことはどうでもよくて、とりあえず目の前にいる少女の厚意に甘えておくことにする。


「じゃあ…もう少しだけお願いします」

「ふふ、私の膝がそんなに嫌か?」

この人こんな意地悪な質問もしてくるんだな。まあ慣れてるからいいけど。

「いや、そういうわけではないんですけど…」

「じゃあ気持ちいいか?」

「まぁ…はい…」


 他の女の子の膝を褒めるなんて、バレたら相当怒られるだろうな。佳奈美と花音に。でも彼女らはここにいないのでとりあえず感謝の気持ちも込めて褒めておくことにする。


「意外と柔らかくて…でもちゃんと弾力があって寝心地いいです…」

「…そうか…。ありがとう…」


 頬を少し赤くして目線を逸らした。


 この人もそんな顔をするんだなと、少し失礼なことを思ってしまった。


 今日は一番年上ということもあってか少し強気に接していたのだろうが、彼女とてまだまだ大学一年生の乙女だ。異性に褒められたら嬉しくもなるし、場合によっては照れたりもする。まあそれは少なくとも嫌いな奴には見せない反応だろうから、とりあえず嫌われてはないことは理解できたので少し安心した。


 でもなぜだろう?彼女は少し照れすぎのように見える。今日知り合って好印象を抱いている男程度に見せるような態度ではない気がする。もしかしてこの人…


「意外とウブなんですね」

「!?な、何を言うんだ!?」

「いえ。沙奈さんほど綺麗な人なら彼氏の一人や二人ぐらいいて慣れていると思っていたので」

「わ、私はそんな男性を取っ替え引っ替えするような人間じゃないぞ…!!そもそも彼氏なんていたこともないし…!」


 へ〜。それはいいことを知った。じゃは他の誰かに取られる前に貰って(殴。


 そんなことを考えているのが佳奈美にバレてみろ。大泣きするかヤンデレ化するかの二択になるぞ。

 う〜ん、後者は若干見てみたくもあるが、流石に前者の可能性が少しでもあることはするつもりはない。というかそもそも二人とも互いのことをを殆ど知らないので好きになりようがないが。


「沙奈さんって思っていたよりもなんか…人間味がありますね」

「ん…?それはつまり私のことをロボットか何かだと思っていたということか?」

「ロボットとまでは言いませんけど…凄すぎて雲の上の存在みたいに思ってたというか」

「何だよそれ…。私はどこにでもいる普通の女の子だぞ?」

「ですね。それを今こうやって照れたり取り乱したりするのを見てようやく理解しました。沙奈さんも普通の女の子なんだって」

「そ、そうだろう…?全く、失礼な奴だ…」


 そんな言葉を吐き捨ててそっぽを向いたが、少しだけ見える耳が薄紅色に染まっているのは彼女が乙女だからだろうか?いや、きっとそうなんだろう。

 沙奈も男にときめいたりドキドキすることもあるということだ。勝手な意見だけど、この人は女性から好かれてそうだから男にはあまり興味が無いんだと思っていた。本当に勝手な意見で申し訳ないけど。

 でも彼女に異性への恋心というものがあるのなら、きっと相手はすぐに見つかる。そう思わせるぐらい彼女は綺麗だし、こうやって病人を気遣う優しい心もある。彼女の春が来るのも時間の問題だろう。


「きっといい人が見つかりますよ」

「っ!?急に何を言うんだ君は…!?」

「客観的に考えてみればそうなるってだけですよ。もし俺が沙奈さんの大学にいる男なら放っておかないだろうなって思っただけです」

「っ!!??」


 また頬を赤くして目を見開いた。そんなに衝撃的なことを言ったつもりはないが、彼女はそれだけ鈍感だと言うことだろう。


 同情するよ、大学の男たち…。


「もしよかったら相談に乗りましょうか?俺も一応恋愛経験はありますし、それに異性の意見もあった方がいいと思うので」

「…まさか三つも下の男性にそんなことを言われる日が来るなんてな…。でもいい機会だし、ぜひお願いするよ」


 なんかお礼がしたいと思って恋愛相談を持ちかけてみると思いの外反応が良く、彼女は自身の恋愛観などについて話し始めてくれれた。


 しかしこの相談の内容はプライバシーに関わるため、ここでは語らないことにする。


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