125 そういうこと?
「……」
「…もぉ、何でのぼせちゃうかなぁ…」
温泉から上がり、何とか男湯から脱出したところを佳奈美たちに発見され、こうして近くにあったベンチで膝枕をしてもらっている。
「…ごめん」
「本当に手の焼ける人だね」
「不甲斐ない…」
普通に温泉に入っただけでのぼせるヤツなんて子供ぐらいしかいないだろうから多分呆れられているのだろう。いつもみたいなぽかぽかオーラが感じられない。
でも彼女は心の芯から優しい女の子なので、手が勝手にナデナデをしてくれている。凄く心地いい。
「何してたの?そっちは一人だったんでしょ?」
佳奈美は序盤からこちらが答えられない質問をしてくる。なので適当な言い訳をして誤魔化し__
「嘘ついたら怒るからね?」
「…」
なんかもう既に怒っている気がする。何でだろう。何もやらかした記憶がない。
でも今嘘をつけば間違いなく怒られることは確定しているのであくまで嘘ではないことを言っておく。
「まあ…結構ボッーとしてた…」
「ふ〜ん…?何を考えてたの…?」
「…佳奈美のこととか…」
「っ!…そ、そうなんだ…」
嘘は言っていない。女湯のあんなことやこんなことを考えていただけだから。
「それってその…え、えっちなこととか…?」
「!!??」
は!?何でバレたんだ!?顔とかには出てなかったはずだぞ!!
でももうこうやって質問された時点で負けなので仕方なく敗北を受け入れる。
「まぁ…そうかも…?」
「そうなんだ…変態…」
顔を真っ赤にしながらそう吐き捨てられる。
コレは良くない誤解をされている気がする。流石に何とか弁明をしないと。
「いやコレは違うんだ…!!」
「違うって何が…?私でえっちな妄想してたんでしょ…?」
「いや違うんだって本当に…!!!」
いや実際そういうことは考えたりしたけど!多分それ以上にヤバいことを考えてたと思われてる!
流石にそれはこちらの尊厳的にもマズいのでどうにかして言い訳を__
「別にダメとは言ってないでしょ…?」
「え?」
「だって思春期の男の子ってすごいんでしょ…?だからそういうことを考えてしまうのも仕方ないって思うの…。その時に私のことを考えてくれるのも…嬉しい…」
おいおいなんか語り始めたぞ。止めてやった方がいいんじゃないかな?
…いや、なんか本当のこと言わなくても済みそうだからこのままにしておこう。ちょっと興味あるし。
「でもね…ちょっとだけ悲しいの…」
「…何で…?」
「だってその…どうして妄想で済ませちゃうのかなって思ったから…」
ん?どういう意味だ?微妙に話が噛み合っていない気がする。
柊はそんな風な疑問を抱くのだが、佳奈美はそれにちゃんと答えを与えてくれる。
「もしそういう気分になったら…自分で済ませるんじゃなくて私を呼んでくれたらいいのに…」
「!!??」
なんか絶望的に勘違いしてないか!!??
「待て待て。一体何の話をしてるんだ?」
「それは…柊が一人でしてるみたいだから私が協力してあげようかなって話…」
「????」
いやその話はマズイだろ魅力的すぎるけど。今度お願いしよ。
じゃなくて!!何でこんな話になってんだ!?
(あれ、さっきまで何でのぼせたかって話してたよな…?何でこんなことになってるんだ…?)
全くもって意味がわからない。人のことを変態呼ばわりしておいて多分佳奈美の方がそういうことを考えている。
ホント呆れるぜ…。最高すぎて。
いやそんなのはどうでも良くて。とりあえずこの流れどうすんの?今普通に体調不良で横たわっているからこういう流れは少ししんどいんだが。
…いや、なんかもうしんどく無くなってるな。この話が衝撃的すぎて辛さが吹き飛んでいってしまったみたいだ。ならもうこうやって膝枕をされる理由もないのでさっさと離れることにする。
「よし。もう大丈夫だ。ありがとな」
「え…?もういいの…?」
「ああ。もう治ったから。それより早くみんなの所に戻__」
「もう…いいの…?」
「…」
頬を真っ赤に染めながらうるうるとした瞳を向けてくる。もしかしてこれはそういう流れなのだろうか?いやしかしここは普通に外だ。いくら暗いとはいえ流石にそこまでする勇気はない。
だがしかしやはり柊が佳奈美に勝てるはずがないので、立ち上がるつもりだった足の力を抜いてベンチに腰をかけた。
「…ちょっとだけゆっくりしていくか」
「うん…」
佳奈美の手を優しく握り、いつものようにイチャイチャした。
あ、そういうことはしてないからね?




