120 安眠したい
まあ車内で色々あったが、とりあえず目的地のキャンプ場に到着した。もう既に精神はほぼ削り切られてしまっているが、ここからが力の見せ場なので頑張らねば。
「柊、次これ持てますか?」
「あんまり無理しないでね。私に出来ることなら何でも言ってねっ」
「神庭くんは力持ちだね!」
「やはり男性がいると助かりますね」
「来てもらって正解だったな」
「それはこっちにお願いするわ」
だって女の子しか居ないんだもん!!!!
てかなんで生徒会メンバー全員が女性なの!?よくそれでやってこれたな!?
(これは思ってた以上にキツいキャンプになるかもな…)
今だって重い荷物を優先的に運んでいるから結構しんどいし。まあそれ以外にも居心地の悪さを感じる場面はありそうだ。
(てか、夜はどするんだ?まあ俺だけ別のテントだろうけど、独占するのは申し訳ねぇな…)
今夜は一泊する予定で、全員がテントの中で眠ることになる。もちろんテントは複数個持って来ているので女の子の誰かと一緒とかになることはないだろう。
…いや、花音あたりが立候補してくる可能性はあるな。いやその可能性しかない!!
だがまだ花音と一緒ならギリ許せる。姉弟だし。たまに一緒に寝てるし。毎朝ベッドに潜り込まれてるし!!
しかし花音が立候補するとなったら、多分佳奈美が黙っていないんだよな。あの子普通に花音に対しても嫉妬するから。それの究極系がこの前の夜だ。まあそれはどうでもいいとして。とりあえず今夜は一人で過ごせるように頑張らないと。普通に疲れてるし。
(…とりあえずテントの数次第だな。見た感じ三つはありそうだから…向こうは三人ずつに別れて俺だけ一人って感じになるかな)
今日は計七人でのキャンプだ。柊が一人で一つのテントを使うとなれば、女の子は三人ずつで別れる必要がある。一つのテントで三人は少し窮屈かもしれないが、まあみんな小さい女の子だしそこまで心配する必要はないだろう。
(ああ、これで完璧だな。今夜はゆったり過ごせそうだ)
その時、荷物を運んできたらしい佳奈美がこちらにやってきて質問を投げてくる。
「ねぇねぇ、今晩のテント分けって聞いてる?」
「いや、聞いてないな。まだ決まってないんじゃないか?」
「そっか…」
後でゲームでもして決めるんじゃないか?とか思ったが、そのタイミングで佳奈美が頬を赤くしながら上目遣いでお願いをしてくる。
「じゃあさ…わ、私と一緒に過ごさない…?」
「え…?」
完全に予想とは真逆で、佳奈美が先にお願いしてきた。だがしかし、この状況自体は悪くない。この会話を花音に聞かれていないから割って入られる心配もないし、佳奈美はそこまで強制してくるタイプじゃないから押していけば何とか出来る筈だ。つまり今夜は安眠確定だ!!
「私はその、柊と一緒に寝たい…です…」
「っ!!!???」
(ダメだ柊!!落ち着け!!絶対に負けるな!!)
そんな可愛い顔でおねだりしても響いたりなんてしないんだからな!今夜は二人きりだぞ!!
「…わかった。でも内緒だぞ。バレたら絶対に揶揄われるから」
「うん…。ありがとう…」
テントは音漏れが凄いからあまりイチャイチャは出来ないだろう。でも黙っていてもお互いの気持ちが汲み取れるぐらいには二人は愛し合っている。だから多分今夜は特に何事もなく人肌の温もりを感じながら眠れそうだ。
そんな感じの安心感を抱きつつ、二人は一度我に帰る。
「よし、その話は良いとして。早く戻ろうぜ。じゃないとまたなんか言われるだろうから」
「そ、そうだね…!早く手伝いに戻らないと!!」
この作戦が花音にだけは露呈しないことを祈りつつ、財布の中にあるゴム状のナニかを確認するのだった。




