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119 最大の特技


「さて、これで全員揃ったな。じゃあ出発しようか!」

「「おー!!」」


 その後(しゅう)たちは他の生徒会メンバーを拾っていき、いよいよ最後の一人が車に乗ってきた。そこで沙奈(さな)は気合を入れるために声を上げ、それに花音(かのん)と初めましてのお方が反応を示した。


「ふふ、楽しみですね♪」

「ギャンプなんていつ以来だろ〜。でもまさか生徒会の方達と一緒に行くことになるなんて」

「生徒会は仲がとても良いですからね♪」

「ですね〜」


 なんか部外者が混じっていて申し訳なくなってくる。多分この人たちは普段から相当仲良しなのだろうさ、その人たちの楽しいイベントの中に割って入ってしまっているのが正直気まずい。


 そんな柊の気持ちを察したのか、花音がニコニコとしながらこちらに声をかけて来る。


「そういえば、柊は桜花(おうか)さんとは初対面ですよね?」

「そうですね。実際に会うのは初めてです」


 柊の一つ前の席から顔だけを後ろに向けて来るメガネ系真面目少女。彼女のことは話でしか聞いたことがなく、これが初めての対面となる。そこで柊はしっかりと彼女に対して自己紹介をし始めた。


「初めまして。神庭(かんば)柊と申します。よろしくお願いします」

佐々木(ささき)桜花です。一応現生徒会だと一番年上です。よろしくお願いします」


 彼女こそが現生徒会で唯一の三年生である。その噂は予々聞いており、何事においても圧倒的真面目少女らしい。なんかメガネクイってしてるし。

 そんな見た目からして色々と厳しそうな人と対面すると、何かやらかしてしまうとマズいのではとつい緊張してしまう。だがしかし、その緊張は簡単に彼女にバレてしまっていた。


「そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ。折角のキャンプなのですから、自分が生徒会メンバーじゃないからとか考えずに好きなように楽しんでください」

「…!はい…!頑張ります…!」


 まさかこんな風紀委員長みたいな見た目している人にこんなことを言われるとは。人は見かけによらない物だなぁ。


「ふふ、まだ緊張してない?もっとリラックスだよ!神庭くん!」

「あ、うん…。ありがとう」


 と、そこで楽しそうに笑顔を向けてきた少女がいたのだが、実のところ彼女ともほとんど話したことがない。でも実は彼女のことは知っている。

 彼女は同じクラスに所属する女の子で、名は確か矢澤朱那(やざわしゅな)。クラス内では中心人物的立ち位置で、先生達からいろんな役割を任されたりしている。そして佳奈美(かなみ)の唯一の友達らしい。

そんなクラスメイトである朱那であるが、ほぼ話したことがないのでどう接すれば良いのかわからなくなっている。しかしそれを察した佳奈美がこちらに助け舟を出してくれる。


「あ、もしかして二人ともあんまり話したことが無かったっけ?」

「そうだね。初めて話すかも」

「ああ…」

「じゃあ軽く自己紹介でもする?」

「そうだね!じゃあ早速。私は矢澤朱那って言います!えっと〜、趣味は料理です!よろしくね!」


 彼女はかなり明るい人のようで、実際今も大きな声で自己紹介をしてくれた。生徒会にはこういうタイプの人はいないので多分ムードメーカー的な立ち位置なのだろう。


 実のところ、そういう人が一人いてくれるだけで凄く助かる。彼女達はこちらのことを快く受け入れてくれているとはいえ、やはり緊張や気まずさは付き纏ってくるもの。だからこそ、こういう明るくて接しやすそうな人がいると非常に有り難い。


 まあそんな後のことは一旦置いておいて、とりあえずこちらも自己紹介をしよう。


「神庭柊です。特技は…料理かなッ」

「「え???」」

「へ〜!そうなんだ!!意外だね!!」


 ちょっとふざけてみただけなのに何も知らない朱那は興味を示してくれる。でもそんなことをされると心が痛いよ…。


「柊…いくら何でも嘘はよくないですよ?」

「朱那ちゃんは純粋な子なんだからそういう冗談も真に受けちゃうんだからね?」

「…すいません」


 酷い言いようだ!!一応たまに料理はしてるぞ!!インスタントラーメンだけど!!


 でもインスタントラーメンですら半分の確率で失敗するんだから特技とは言えないか。ここは正直に謝った方が良さそうだ。


「冗談です。料理なんて下手くそです」

「へ〜。でもきっと上手になるよ!!花音はさんも佳奈美ちゃんも凄く上手だから教えてもらうときっと上達するよ!!」


 笑顔が眩しい。さらに申し訳なってくる。だって柊が料理上手になる世界線なんて存在しないんだから。 

「う、上手くなるといいですね…後は任せました、佳奈美ちゃん」

「え!?私ですか!?え、え〜っと…が、頑張ろうね…!」

「…その気遣いが心に染みる…」

「え!?そうなの!?ごめんねっ!」


 いくら佳奈美とて柊と料理をすれば命の危険がある。だから心の中ではやりたくない筈なのだが、気を遣って一緒にやろうと言ってくれる。そんなことを彼女に言わせてしまうなんて心が痛すぎるんだが。


「ははは!もしかして柊は料理が下手なのか!?」

「はい。それはもう凄く下手で、何回命を失ったことか…」

「花音にそこまで言わせるなんて、君は逆にすごい才能を持ってるんだな」

「…」


 とても不名誉だ。でも間違ってないから何も言い返せない。


 だがこんな逆風の中でもこちらに味方してくれる優しい女の子がいた。


「(い、一緒に沢山練習してみんなを見返そ!…ね?)」


 隣から小さく囁いてくる佳奈美。やっぱり佳奈美は天使だなぁ。


「(ああ…。頑張る)」


 でも正直迷惑をかける予感しかしないから佳奈美との料理をする機会はほとんど無いだろう。


 ごめんなさい。


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