118 初めまして
そして数日後。生徒会メンバーでのキャンプ当日となり、柊と花音はワクワクの気持ちを全面に出しつつ家の前で待機する。すると数分後に迎えが到着し、二人は彼女らと相対する。
「こんにちは」
運転席から降りてきたのは、元生徒会長の四宮沙奈という女性だ。彼女は去年まで生徒会長をしていて、花音もよく面倒を見てもらっていたらしい。
だがしかし柊は彼女と初対面であるため、少し緊張を抱いていた。
「こんにちは…。初めまして…」
「ああ、君が花音の弟君か。初めまして。四宮沙奈だ。よろしく」
「神庭柊と言います…。よろしくお願いします…っ」
どう接すれば良いかわからないのでとりあえず低姿勢でペコペコと頭を下げておく。
それについては多少苦笑いを向けられるも、今度はは花音の方に目を向けた。
「花音は久しぶりだね」
「はい。ご無沙汰してます」
「はは、相変わらず笑顔が眩しいな」
「ふふ、ありがとうございます♪」
仲良さげに笑顔を向け合う二人。咄嗟にここのカップリングを見たいと思ったのは自分だけではない筈。いやそんなのはどうでもよくて、一旦助手席から出てきた現在生徒会長さんに挨拶をしないと。
「あ、四宮さん。こんにちは。今日は誘っていただきありがとうございます」
「こちらこそ、来てくれてありがとう。キャンプはどうしても力が必要になって来るから、男の子がいてくれると凄く助かるわ」
「お役に立てるよう頑張ります」
「ええ、お願いするわね」
自分にも仕事があることを理解して安心した。そうじゃないとあまり面識がない年上達だけに色々やらせてしまって気まずくなるかもしれないから。
まあ柊ならどうせ無理矢理にでも力仕事を奪っただろうけども。だがそこら辺は他の男の生徒会メンバーがやってくれるかもしれないから不安ではあった。
だが彼女の口ぶり的に生徒会には男は少ないのだろうか?全員揃っているところを見たことがないから知らない。でもまあ、役に立てることがあるなら全力でやろう。
「それで、荷物後ろから乗せたら良いですか?」
「ええ、お願い」
「姉さん貸して。俺が積むから」
「ふふ、ありがとうございます♪」
とりあえず持参した椅子などを花音の物も一緒にトランクに積んでいく。
ちなみに諸々の道具は麗沙達が用意してくれているらしい。車を出してくれる上にそこまでしてくれるなんて、有り難いことだ。そこまでしてくれているんだからそれ以外の準備や片付けなどは積極的にやっていこう。とそんな感じの考えを持ちつつ車に乗り込もうとしたのだが、そこで隣の家の扉が開かれて美少女が姿を現した。
「佳奈美ちゃん!」
「あ、もう来てたんですか!?すみません準備に時間がかかって…!」
慌てながらこちらにやってきたのは一年生ながら生徒会に所属する佳奈美だ。ちなみに柊の彼女である。
というか、今日の格好はいつもと雰囲気が違うな。まあキャンプをするのだからみんな動きやすくて汚れても良いような格好をして来ているが。それにしても彼女の格好だけは目に留まる。恋人フィルターってヤツかな。
「大丈夫よ。私たちも今来たところだから」
「君が一年生の佳奈美か。初めまして。麗沙の姉の沙奈だ。よろしく」
「は、初めまして…っ!よろしくお願いします…っ!」
やっぱり佳奈美も緊張している。気持ち、わかるぞ…!
「というか、本当に家隣同士なのね…」
「ああ。話には聞いていたがこんな運命的なことが本当にあるんだな」
そういえば柊と佳奈美の共通の知り合いが家に来るのは初めてだ。だからその反応は新鮮であり、二人は何となく反応に困る。
「そうですね…。まさか引っ越してきたところが同じクラスの子の隣の家のだなんて思っても見ませんでした」
「それに二人は付き合っているんだろう?それこそ運命じゃないか」
「「!!??」」
誰だ勝手にリークしたヤツ。普通に恥ずかしいんだけど。
「ふふ♪この二人は運命の赤い糸で繋がれているんですよっ」
「そうなのか!それは羨ましいな!」
「二人はラブラブだものね。それだけ好きになれる人に出会えるなんて、本当に恵まれているわ」
三人揃って恥ずかしい事を言ってきやがる。
顔が熱くなるのを感じる。多分赤く染まってしまっているだろう。だがそれは佳奈美も同じ。二人一緒なら怖くない。
きっとこの困難にだって立ち向かえる筈だ!!
「それじゃあ車内では二人の恋愛話をたくさん聞かせてもらうことにするか」
「え」
「いいですね!私もまだまだ知りたいことが沢山あるんです!」
「相変わらず柊くんについての話を聞くのが好きね」
「それはもちろん!私は柊のことを愛していますから!!」
「ははは!相変わらずのブラコンっぷりだな!」
「それはもちろんです!!」
「…」
本当に厄介なことになった可能性がある。車内で佳奈美との恋愛話をする?そんなのしたら多分二人とも恥ずか死ぬわ。
だからもちろんこの話は阻止しなければならないので柊は勇気を出して行動に移った。
「あの、やっぱり車内ではもっと他の話を…」
「よし!早速行きましょうか!」
「そうだな。二人も後ろに乗ってくれ」
「え__あ、あの!!」
柊と佳奈美以外は乗り込んでしまった。もう終わりだ。
明らかに状況を覆せる場面では無くなってしまい、柊の中には諦めの気持ちが生まれた。
「…荷物乗せてるから先乗っていいぞ」
「う、うん…ありがとう…」
佳奈美の荷物をトランクに運びつつ、この問題の解決策を考えるのだった。




