117 キャンプだ!!
ある日の夕方、出かけていた花音が帰ってきて勢いよくこちらにやってきた。
「柊!!」
「うわ…っ!何だよ」
せっかく洗濯物を畳んでいたのに彼女に押し倒されてしまってそれどころではなくなる。
「何してたんですか?」
「洗濯物畳んでたんだよ」
「へぇ…珍しいですね」
まるで新種でも見つけたかのように驚いた目を向けてくる。
そんなに手伝いをしているのが珍しいか?うん、すごく珍しい。
「それより早く退いてくれないか?今忙しいから」
「…はっ!!そうでした!!柊に耳寄りな話があるんでした!!」
「何それ気になる」
彼女のことだからどうせロクでもないが、それでも少し気になる。
「実は…今度生徒会メンバーでキャンプをすることになったんです!!」
「…ああ。それはよかったな…?」
花音は楽しそうに語ってくるが、その話のどこが耳寄りなのかは理解できない。そのため柊は頭の上に?を浮かべていたのだが、花音がそれに気づいてちゃんと説明をしてくれた。
「それで、もしよかったら柊も一緒に行きませんか!?」
「え?」
なぜかわからないが、生徒会に入ってないのに誘われてしまった。前から生徒会には勧誘されているものの、断り続けているからちょっと気まずいし。でも花音や佳奈美はどうしても生徒会に入れたいらしく、今回みたいな行事に誘ってくるのだ。
だがしかし今までの誘いのいずれもが花音の独断であったため、流石に迷惑はかけられないと断っていた。そして今回もそのパターンなのではと疑問を抱く。
「もしかしてまた姉さんの独断か?」
「ふっふっふ〜、今回はちゃんと許可を取っています」
得意げにドヤってくる。いや許可を取るのは普通のことなんだが。
というかよく許可なんて取れたな。花音や佳奈美、生徒会長はまだ顔見知りだから良いが、それ以外のメンバーとはほぼ面識がない。そんなヤツが楽しい楽しいキャンプに同行して来るなんて結構しんどい気がするんだけど。
まあでもこの姉のことだから言葉巧みに押し切ったんじゃないだろうか。多分生徒会の中でもそこら辺は随一だろうし。
「誰を脅したんだ?」
「そんなことしてませんよ!!ちゃんと私がお願いした結果、みんな快く許可してくれただけです!!」
少し口を尖らせながら説明をしてくれた。それで柊は納得し、とりあえず行くかどうか思考を巡らせる。
「そうか…キャンプねぇ…」
「ちなみに佳奈美ちゃんはすごく来て欲しそうにしてましたよ?」
「っ…そうか…」
佳奈美を引き合いに出すのはずるい!!そんなことされたら断れないだろ!!
「じゃあ…とりあえず行ってみるかな」
「!!じゃあそう伝えておきますね!!」
まあ元から断るつもりはなかったけど。前々から生徒会には興味があったし、こういう楽しいイベントも一度行ってみたかった。それに佳奈美だっている。
こちらとしては断る理由などないため、とりあえず楽しみにしておく。
「楽しみですね!!」
「そうだなぁ…。にしても、キャンプなんてどうやって行くんだ?電車じゃ無理だろうし」
キャンプということは、荷物もそれなりにあるだろう。その場合公共交通機関は使えないため、ほぼ確実に車が必要になって来る。流石に運転免許を持っている人はいない筈だ。それにキャンプの日はどうやら平日のようなので、親にお願いするとかも出来ない。
ならどうやって行くつもりなんだろう?そんな感じの疑問を抱いていたのだが、それに対して花音はちゃんと説明をしてくれる。
「実は麗沙ちゃんのお姉さんが連れて行ってくれるそうなんですっ」
「へぇ、四宮さんのお姉さんか…。その人は大学生か?」
「はい。大学も夏休みだそうなので、暇だし連れて行ってくれるとのことです」
「それは有り難いな」
まさか生徒会長の姉が同伴とは。流石に想定外だった。というか、麗沙の姉って…
「もしかして元生徒会長?」
「はい!!私が去年お世話になった人です!!」
思い出してみると去年花音が優しくて格好良い生徒会長がいるって話してくれたっけ。その妹が次の生徒会長になるって話も。
まさか話の中でしか聞いたことがない人と会うことになるなんて。花音も世話になったらしいし、あったらちゃんとお礼しとかないとな。
とりあえずそんなことを考えながら当日のことについて想いを馳せる。
「キャンプかぁ…久しぶりだな」
「そうですね。私達が最後に行ったのは一昨年でしたっけ?」
「だな。せっかくの機会だし、じっくり楽しませてもらおうかな」
「ふふ、その意気です!!」
キャンプはロマンがいっぱいなので、アウトドア派の柊にとってはかなり楽しみだった。まあでもその楽しみをもっと増大させてくれているのは、間違いなく佳奈美の存在だけど。
でも生徒会の人たちがいる前でイチャイチャしないように気をつけないと。いや、多分きっと恐らく大丈夫だ。
だってどうせイチャイチャする暇もないぐらい花音に構われるだろうから。




