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112 彼女と過ごす夜


 風呂から上がって諸々を済ませた後、佳奈美(かなみ)は予定通り(しゅう)の部屋に入った。


 その瞬間、柊は最後の悪あがきをしてみた。


「ベッド使っていいからな」

「え?柊はどうするの?」

「下に布団敷いて寝るよ」

「え?一緒に寝ないの?」

「いや、それは流石に…」


 こんな可愛い彼女と同じベッドで寝るなんて、冷静でいられるはずがない。なので良質な睡眠のためにも、佳奈美とは別で寝たいところだった。

 だが向こうはそうではないらしく、半ば強引に手を取ってベッドに牽引される。


「大丈夫だよっ!ただ一緒に寝るだけだからっ」

「…」


 それが難しいんだよ。と言いたいところではあるが、佳奈美にとってはそうではないのかもしれない。

 でも少しぐらいは男心を理解して欲しかったところではある。佳奈美にはまだ早いか。


 そんな感じで柊は自分のベッドに連れ込まれ、佳奈美と一緒にベッドインした。


「お邪魔します♡わ〜フカフカだね〜。それに柊の匂いがいっぱいする♡」

「…」


 彼女の顔から察するに、臭くはないはずだ。多分。

 でもなんかその言い方をされると不安になるというか、変な匂いが充満していないか確認したくなるというか。

 この状況は完全に想定外だったからこそ、準備はほとんど出来ていない。それはもちろん、秋の心の準備も。


(いやこのまま一緒に寝るの?心臓破裂しそうなんだが?)


 異性が同じベッドで寝るなんて…そんなの夫婦じゃないか!!

 いや一応嫁はいたことあるけど!!前世の話だし!!


 流石にそれとこれとは話が別なので、明らかに緊張している。そしてそれは向こうから見ても明らかだったようだ。


「緊張してる?♡」

「そりゃ…な」

「ふふ、そうなんだ♡」


 ニコニコと笑みを浮かべた後、耳元に顔を近づけてきて囁いてきた。


「(私もドキドキしてるよ♡)」

「!!??」


 今度は妖艶な笑みを浮かべながら自分の気持ちを明らかにしてきた。

 それに対し、柊は驚くことしかできなかった。


「そ、そうなのか…」

「うん…私も好きな男の子と一緒のベッドで寝るんだって考えると、ドキドキしちゃう。私だってその、女の子だから…」


 頬を赤く染め、少し恥ずかしそうに語ってくる。だが見た感じ、こちらよりも心に余裕がありそうだった。


 それを見た瞬間、佳奈美には全然敵わないことを理解した。


「そっか…じゃあお互い緊張してるってことで、ここは俺がベッドから出るっていう選択を__」

「柊の身体…あったかいね」

「…」


 逃げようとしたら、ガッチリ抱きつかれてしまった。

 流石にもう抵抗する気も起きなくなり、可愛く胸に顔を埋める彼女を抱き返した。


「あ、ドキドキしてる♡」

「そりゃするだろ…。こんなに可愛い彼女が至近距離にいるんだから…」

「そうなんだ♡」


 嬉しそうに笑いながら、身体を押し付けてくる。


 あ、ちょっと待って__。そんなにギューギューされたら__。


「私もすごく格好いい彼氏とくっつけてすごくドキドキしてるよ?♡」

「…」


 佳奈美ってこんなに柔らかかったんだな。それになんか女の子特有の愛の匂いもする。よく考えてみればこんなに長時間彼女と密着したのは初めてだっけ?

 いや二人きりでベッドにいる時にそれを考えるのはマズいな。つい佳奈美の柔らかいところにだけ意識が集中してしまうから。


「なあ…」

「ん?♡」

「そろそろ離れないか?」

「え〜?何で?」


 多分佳奈美は無自覚でこういうことをやっている。それは今までもそうだったし、ここで何も言わないとこれからもそうなってしまうだろう。そうなってくると将来の自分のためにも流石に行動しないわけにはいかないので、何とか冷静さを保ってこちらの意見を述べた。


「俺だって男だから、勘違いされても文句言えないぞ?」

「…!!??」


 緊張で特に意見というほどのものは述べれなかった。だがこの一言だけで彼女には全て伝わったらしく、ゆっくりとこちらから距離をとって行__


「別に柊になら…勘違いされてもいいよ…?♡というか、勘違いしてほしい…かも…♡」


 トクン__。


 大きく心臓が跳ねる音がした。


 その瞬間、身体が一気に熱くなり、冷静さを保てなくなった。


「そうか。佳奈美はそれでいいんだな?」

「うん…」


 今度は顔を真っ赤にして本気で恥ずかしそうにする。それを見た瞬間、自分の中で何かが切れた音がした。それは多分、今まで自分を意図的に縛り付けていた責任のようなものが切れた音だった。


「きゃっ」

「本当にいいんだな?もう引き返せないぞ?」


 身体をうまく回転させ、最終的に佳奈美を押し倒したような体勢になった。


 その瞬間に彼女は今までに見たことのないような顔、言うなれば女の子の顔をしていた。


「は、初めてだから…優しくしてね…?♡」

「ああ…できるだけ優しくする。でも痛かったらちゃんと言ってくれよ」

「うん…♡」


 目を彷徨わせつつ、首を縦に振ってきた。


 それを見た瞬間柊は止まることを知らなくなり、勢いに任せて佳奈美に口付けをした。


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