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107 ゴムは大切だよ


 というわけで、今日は佳奈美(かなみ)がこちはの家に泊まることになった。


 いや、なんで?


「佳奈美ちゃんならいいわよ〜♪」

「やったー!ありがとうございます!」


 なんか母も乗り気だったし。


 そして姉なんかに至っては…


「ふふ♡今夜は楽しくなりそうですね♡」


 なんかすごくニヤニヤしてたし。

 一体彼女はナニを想像しているのだろう?…それを考えるのは無粋か。

 とりあえず今は、この圧倒的不利な状況をどうにかしないと。


「…じゃあ佳奈美は姉さんの部屋で寝るってことでいいか?」

「「「え???」」」

「えっ」


 流石に同じ部屋で寝るのはまずいだろうと別部屋を提案したのだが、なぜか女性三人が揃って困惑を示していた。


「どうしてそうなるんですか?」

「いやだって…普通に考えて同性と寝るだろ」


 (しゅう)は至って冷静に花音(かのん)たちに意見を述べた。


 だがしかし、彼女らの心には全く響いていなかった。


「普通…?そんな常識はありませんよね?」

「そうね〜。私は高校生の頃から普通にお父さんと一緒のベッドで寝ていたわよ?♡」

「そうなんですか!?」

「いやそれが異常なだけだろ」


 常識を疑う花音と、ちょっと頬を赤くしながら昔話をする沙也加(さやか)。そして、興味津々な目をする佳奈美。


 こちらに味方はいないのか。

 まあでもこの三人なら、間違いなく敵になることはわかりきっていたけど。でも三人ともこちらを好いていてくれているのだから、少しぐらい味方してくれたっていいじゃないか。


 そんな文句のようなことが頭に浮かぶが、当然そんな考えがこの三人に通用するはずがなく。


「恋人なら同じ部屋で共に夜を過ごすのが普通ですよね?」

「そうね〜♡柊ってそういうところはまだまだ子供よね♡」

「…うっさい」


 三対一では何もできないので、こちらの意見を主張するのを諦めた。


「でも逆に訊きたいんですけど、柊は佳奈美ちゃんと同じ部屋で寝ることの何が問題だと思っていたんですか?」


 なぜか花音がしなくてもいい余計な質問をしてくる。

 しかしコレに正直に答えるわけにはいかないので、適当な理由をつけておく。


「だって…なぁ?まだ付き合ったばかりだから恥ずかしいだろ?」

「そうなんですか。ちなみに佳奈美ちゃんはどうですか?」


 あ、そこで味方に協力を要請するな!そんなことしたらこっちが圧倒的に不利になるだろ!!


「私も恥ずかしくなるとは思うんですけど…でも柊と一緒に寝れるなら…それもいいかなって…」

「ふふ♡らしいですよ?柊♡」

「…」


 佳奈美は佳奈美で否定しろよ。結局後であなたもニヤニヤされるんだぞ?いや、佳奈美がそれに気づくわけないか。結構猪突猛進なところあるし。


「柊は…私と一緒はイヤ…?」

「っ…!!??」


 頬を紅潮させ、上目遣いで問いかけてくる。

 それに対して柊は胸をドキッとさせつつ心の中で文句のようなものを漏らした。


(そんなのされたら…嫌とは言えねぇだろ…っ!!)


 ここで拒否なんかすれば花音や沙也加から冷ややかな目を向けられるだろうし、何より佳奈美が悲しんでしまう。

 流石の柊とて佳奈美が悲しむようなことは一切したくないので、ここは仕方なく承諾することにした。


「イヤではないよ…」

「じゃあ嬉しいんですか?」


 余計なことを言わなくていいんだよ。でもこれは彼女なりのアシストのようなモノなのだろうか。

 なら有り難く利用させてもらうことにする。


「それは…嬉しいに決まってるだろ…。こんな可愛い彼女と一緒に寝れるなんて…嬉しくない男がいるわけないだろ…」

「っ…!!」

「ふふ、らしいですよ?♡」

「〜…っ!!」


 花音に話を振られるも、とうとう恥ずかしくなって声にならない声を上げ始めた。


 いやあなたたち味方じゃなかったの?気づけば花音が佳奈美のことを攻撃していてビックリ。まあ花音の考えを理解しているこちらからすれば、ナイスアシストではあるんだけれども。


 だが今はそんなことより、あくまで手を出すつもりはないという意思を伝えておか__


「あ、柊?」

「…なに?」

「(ちゃんとゴムは着けなさいね?)」

「……」


 余計なお世話だ。それを使う場面まで持っていくつもりはない…っ!


「(何もしねぇって…ただ普通に寝るだけだろ)」

「(そうなの?え〜…でもお父さんは初めてのお泊まりでちゃんと私に__)」

「言わなくていいから!?知りたくないから!!!」


 何かを吹き込もうとしてくる母親。これも彼女なりの後押しのつもりなのだろうか。


 だがしかし、柊は佳奈美と誠実なお付き合いをするつもりな為、手を出すつもりは一切ない。つまり、このままコソコソ話は何の意味もないのだ。


「ま、決断がつかないのは仕方がないわ。でも女の子は意外と期待しているモノよ?」

「??何の話ですか?」

「ふふ♡内緒よ♡」

「「…??」」


 意外と期待している、か。

 佳奈美もそうなのだろうか?もし仮に、佳奈美が期待していたのだとしたら…応えるべきなのだろうか?


(いや流石にまだ早すぎるだろ。そういうのはせめて数年お付き合いしてからだろ)


 先程も言ったが、佳奈美とは誠実なお付き合いをしたい。性欲と恋愛感情はある程度分離させておきたいのだ。だから今夜共に寝るのだとしても、手を出すつもりはない。


(頑張って耐えてくれよ、俺…)


 もし佳奈美に誘われたらどうなるだろう。流されてそのまま手を出すだろうか?それとも我慢してそのまま眠るだろうか?


 真実は時が訪れるまでわからない。

 でも確かに、一つだけ言えることがある。


 それは、ゴムは上から二番目の引き出しに入っているということだ。


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