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105 イチャイチャはダメ


 さあ、昼食が終われば部屋でイチャイチャタイムだ。


 早速佳奈美(かなみ)を部屋に案内し、中に入れる。


「お〜!綺麗にしてるんだね」

「まあな…」


 佳奈美が来るから昨晩必死に掃除したなどとは言えず、緊張を抱えながら自室に入る。


「とりあえずこれに座ってくれ」

「ありがとう。それにしても…何か匂うね」

「え?」


 座布団を取ってそれに彼女を座らせたのだが、そこで何か疑問そうに首を傾げた。

 その瞬間、(しゅう)の身体から血の気が引いていく。


「も、もしかして臭いか…!?ごめん!すぐに何とかするから…!!」

「い、いや!そういうわけじゃないの!!」


 焦りながらどうすべきかを考えていたのだが、彼女はそうではないと主張してくる。


「何というかその…私の部屋にはないような…お、男の子の匂いがするなぁって思って…」


 顔を真っ赤にしながら目を逸らしている。


 うん、そんなこと言われるとこっちもドキドキするよ。


「そんな匂いするのか…全然わからなかった」


 というか、男の子の匂いって何?もしかして()()の匂いか?

 いや、それはこの部屋にはない筈。なら一体何の匂いだ?


「どこからの匂いだろう…?」


 この人とうとう露骨に部屋を嗅ぎ始めたぞ。普通に恥ずかしいんだけど。


 だが彼女は匂いを嗅ぎ分け、最終的にフカフカのベッドに辿り着いた。


「…ここだね」

「ベッドか…」


 そこはあまり近づかないでほしい。ちゃんと洗濯はしているけど、何となく恥ずかしい。


「うん。ここからすごく柊の匂いがする」

「何だよそれ…」

「すごく安心して癒される人の匂いがするってこと♪」

「っ…」


 よくそんな恥ずかしいことを平然と言えるな。と思ったが、そういうところも好きなので何も言えない。


「ふふ♡照れてる?♡」

「そんなことは…」

「あ♡顔逸らした〜♡」


 頬をツンツンしてくる。いや、どういう状況?


「柊の照れた顔、可愛いね♡」

「っ…!?」


 佳奈美は調子に乗ってヨシヨシまでしてくるが、こちらからすれば羞恥以外の何者でもない。


「やめてくれよ…。男に可愛いはよくないからな?」

「そうなの?でも本当に可愛いんだもん♡」


 佳奈美はそう冗談を言うタイプではないから、この言葉も本当に思っていることなのだろう。

 だがだからといって、こちらが容認できるかはまた別の話である。


「とにかく!!もうこの話はやめよう!!早く何かしようぜ!!」


 とりあえず流れが悪いので話を変えにかかる。


 だがしかし、もう既に手遅れであった。


「え〜?私はこのままイチャイチャしてたいな〜」


 佳奈美はルンルンで距離を縮めてくる。


 そんなことをされると、自分の部屋に存在し得ない爽やかで優しい匂いが鼻に入ってきて、とても変な気分になってしまう。


(ヤベェ…このままだと押し切られてしまってイチャイチャタイムに入ってしまう…!!)


 別に今は二人きりだからイチャイチャするのは問題ない。

 だが逆に考えれば、二人きりでイチャイチャしすぎると変な気分になっても止まらなくなる可能性がある。


(流石に俺の部屋の中でイチャイチャしまくると制御効かなくなるかもしれないから止めねぇと…!!)


 あと単純に好きな子に迫られまくって心が持つ自信がない。


 そのため、全力で佳奈美の提案を否定しにかかる。


「気持ちは嬉しいんだけど、折角のデートだから一緒にいろんなことを楽しみたい。テレビとかゲームとかして、佳奈美と時間を共有したい。だからさ、もっとこう、イチャイチャするだけじゃなくて他に何かしないか?」


 とりあえず何とか自分の意見を取り繕った。


 そして佳奈美の反応はというと…


「なるほど…。そうだね。折角一緒にいるんだから、他のことしながらイチャイチャしたほうがいいよね」


 微妙に違う解釈をされてしまった。だが先ほどよりはマシになっているのでここで折れることにする。


「あ、ああ…。その方がいいな」

「じゃあ、何する?」

「そうだな…」


 そうやって質問をされた時、ふと頭の中に疑問が走った。


(佳奈美って、何が好きなんだっけ?)


 よく考えてみれば、佳奈美の趣味などをよく知らない。確か前に無趣味的なことを言っていたが、それでも何か好きな遊びの一つぐらいはあるものだろう。


(…ここは無難に映画とかか…?いやでもそれだと佳奈美のイチャイチャがさらにひどくなるかもしれないし…)


 ここは最終手段に出るしかない。


「ゲームでもするか?」

「いいね。しよっ」


 よし。ゲームなら適度に集中できるからイチャイチャに思考がいかない筈だ。


 だからこの提案は今の状況において最適と言え__


「(柊のばか。いくじなし)」

「!?」


 その瞬間、何か拗ねたような言葉が耳に着地した。


「ど、どうかしたか…?」

「ううん、何もないよ?それより、どのゲームするの?」

「あ、ああ…えと、コレとかどうだ?」

「あ!コレ知ってる!私前からやってみたかったんだよね!」

「そうか…ならこれ準備するな」


 いや、気のせいか?


 本当に囁くぐらいの声だったから変に聞こえただけの可能性もある。


 まあいずれにせよ、佳奈美は楽しそうに笑ってくれているから大丈夫だろう。


 …きっと。


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