アロイカ-1.0~円盤
これはまだアロイカたちが地球を侵略にやって来る前のお話。
地球を偵察に来たアロイカの宇宙船は荒野に降り立った。
アロイカは小さな星だ。地球の二百分の一に過ぎない。アロイカの資源は枯渇しようとしていた。アロイカは資源を求めて、地球へとやって来た。探索を行い、居住に適した環境であることならば、移住を行う計画だった。その為には、邪魔者は排除する――それがアロイカの方針だった。
宇宙船の降り立った辺りは、土埃の舞う平地が続くだけで、辺りには何もなかった。彼方に高い建物が見えるだけだった。
アロイカの宇宙船は円盤型をしていた。直径が二十センチ程度、綺麗な楕円形をしており、重さは二キロほどあった。
――さあ、探索を行うのだ。先ずは地球の大気が、我々が生きて行くのに相応しいかどうか調べるのだ。
地球探索隊のアロイカ隊長が指示を出した。
アロイカは宇宙船に大気を取り込み、分析を始めた。
「おい。誰だ。こんなところに円盤を置きっぱなしにしたやつは」
放課後、クラブ活動の時間だった。
校庭に出て来た陸上部の一人が、校庭に置きっぱなしになっていた円盤に気がついた。ひょいと円盤を掴むと、「ほら」と円盤投げの選手に投げて寄こした。
「あれ~こんな円盤、あったかな」と言いながら、円盤投げの選手は、円盤をくるくると回しながら競技場へ歩いて行った。
円盤投げの練習を始める。
「おおっ、いいじゃん。手にしっくり来る」
円盤投げの選手は気持ち良く円盤を投げた。
――なんだ。一体、どうしたと言うのだ!
アロイカ隊長が怒鳴った。
人気の無い荒地に着陸したつもりだったが、宇宙船が原住民に拿捕されてしまったようだ。原住民は宇宙船を手にどこかへ歩いて行く。
――うぎゃあ~!
上下に激しく揺さぶられて、アロイカ隊員たちは、天井と床に嫌というほど体をぶつけた。原住民は宇宙船を弄んでいるようだ。やがて、宇宙船に遠心力が加わり始めた。回転しているのだ。アロイカ隊員たちは壁に張り付けになった。
――な、何が起こっているのだ!
アロイカ隊長が叫ぶ。猛烈な回転だ。宇宙船は高速で回転しながら、空中へ放り投げられた。
――ああ~!
アロイカ隊員たちの悲鳴を乗せて、宇宙船が飛んで行く。やがて、ドガッという衝撃と共に、宇宙船がごろごろと転がった。
宇宙船の回転が止まった時には、アロイカ隊員たちは意識を失っていた。
円盤投げの選手は地面に転がった円盤を拾うと、また投擲地点のサークルに戻って、力いっぱい円盤を投げた。
「おおっ!今日は調子が良いな~」
いつもより円盤は遠くに飛んだ。嬉しくなって、直ぐに円盤を取りに行った。投擲のペースが早くなっていた。
アロイカ隊長は目を覚ました。
――おいっ! 目を覚ませ。気絶している場合ではない。このままでは我々は全滅してしまう。一刻も早くここから逃げ出さねばならない!
アロイカ隊長は隊員たちを叱咤した。
また遠心力が加わり始めた。そして、高速回転が来て、その後、とてつもない衝撃がやって来る。円盤が壊れる前に、隊員たちがやられてしまうだろう。
快心の一投だった。
「えいっ!」と円盤投げの選手は声を上げた。
手を離れた円盤は、綺麗に回転しながら飛んで行く。
「おい、おい」
どこまで飛ぶのかと見ていると、そのまま空に吸い込まれるように消えて行った。




