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世にも不思議なショートショート  作者: 西季幽司
アロイカ・インベージョン
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アロイカ・インベージョン・パートIV

 グランドンの悲劇から三か月、アロイカは多大な犠牲を払ったがグランドンを再度、捕獲した。麻酔を撃ち続け、グランドンを眠らせることに成功したのだ。

 新たに建造された超々巨大戦艦にグランドンを鎖で繋ぎ、幽閉した。後は、超々巨大戦艦を地球に向けて発進させれば、それで終わりだ。

 アロイカ総統はグランドンに食べられてしまった為、新たにアロイカ元帥が任命された。

 アロイカ元帥は言った。「グランドンの悲劇により、多くの同胞が食べられてしまった。もうこれ以上、犠牲を払う訳には行かない。超々巨大戦艦は無人操縦で地球に向かわせよう」

 アロイカ元帥の提案に側近たちは諸手を挙げて賛成した。

「一刻も早く、グランドンを地球に向けて送り込め!」

 アロイカ元帥の叱咤に、科学技術者たちは自動運行装置を開発し、超々巨大戦艦が地表に到達したら、船体が避け、グランドンの拘束が解けるように仕掛けを施した。

 そして、超々巨大戦艦を地球に向けて送り出した。

「ふふふ。これで復讐を果たすことができる。地球のやつらが慌てふためく様を、この目でみることができないのは残念だ」

 アロイカ元帥は不気味な笑顔を見せた。


 超々巨大戦艦を地球に向けて送り出してから一年、グランドンが地球にどのような惨事をもたらしたのか、気になり始めた。

「地球に偵察部隊を派遣しては如何でしょうか?」という側近からの提案に、「うん。そうしよう」とアロイカ元帥は頷いた。

 アロイカ軍は急遽、偵察部隊を編成した。

「地球人との交戦は避けよ」

「地球に近づき過ぎて重力に囚われるな」

「ウイルスをアロイカに持ち込むな」

 制約でがんじがらめになりながら、偵察部隊は地球に向けて飛び立った。

 偵察部隊が地球に到着した。

 早速、偵察を始めたが、地球は以前と変わらない平穏な日常を送っていた。

「グランドンは何処に行ったのだ?」

「地球人に討伐されてしまったのか?」

 偵察部隊はグランドンの消息を求めて、各地を飛び回った。だが、何処に行ってもグランドンが暴れ回った形跡を確認することができなかった。

「どういうことだ?」

 偵察部隊の隊員は首を傾げた。

「そうだ。ブラックボックスを探そう!」

 超々巨大戦艦にはブラックボックスが設置されていた。不意の事故で行方不明になった時に、その状況を記録し、追跡できるようになっていたのだ。

 偵察部隊はブラックボックスが発信する電波を探した。

 やがて、ブラックボックスが発信する電波をキャッチすることが出来た。微弱な電波だ。場所がなかなか特定できなかった。偵察部隊は電波を求めて上空をさまよった。

 そしてついに場所を特定することに成功した。

 電波は海の中から発信されていた。

 しかも、ブラックボックスはマリアナ海溝という地球でもっと深い海の底に沈んでいるようだった。

 地球の地表の七割が海だ。陸地は三割に過ぎない。超々巨大戦艦を地球まで自動運行させることは出来たが、地球は自転しているので、落下地点を正確に指定することはできなかった。陸地に到達するより、海に落ちる可能性の方が高かったのだ。

 超々巨大戦艦は海に落下し、グランドンが投げ出された。荒廃の星ベルガには海はない。いや、水さえもほとんどないのだ。

 どうやら海に投げ出されたグランドンは溺れ死んでしまったようだった。

「多大な犠牲を強いて実行した計画だったのに、何と言って、アロイカ元帥に報告したら良いのだ~!」

 偵察部隊の隊員は頭を抱えた。


 拙作をご一読いただき、誠にありがとうございました。


 まだまだ続編が書けそうだと思い、あれこれ考えていたら、パートIIIのアイデアが浮かび、これも二通りのオチを思い付いたので、パートIVまで出来てしまった。

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