愚痴ではなく惚気
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
喚かないのが〜。の二人。
母から語れる父の惚気話。
「ハンバーグオーブンに入れたらそっち行くから座ってて」
母はそう言うと手早くオーブンに台を入れ、タイマーをセットした。其れから私が座っている前の席に座ると、頬杖を着いて口を開く。
「君の父親に着いてどう思うよ」
「どう思って……そりゃ……」
私の父。単身赴任で常に家に居ない。つまり別居状態。それは仕事だから仕方がない。問題はそこではなく、父の性格について。
基本的に天然。お人好し。何も無いところで転ぶドジっ子。仕事では大丈夫だろうか? の不安に なる程。よくこんな利益史上主義の母と一緒になったかは前々からの疑問である。
目を泳がせて口篭っていると、母は大きな溜息を一つ着いた。
「マヌケでドジでお人好し。何時もヘラヘラ笑って、何も無い場所で転び、頭を搔来ながら詫びを入れる様な人。分けようとした袋を破裂させ、お菓子を散らばらせるのは何時ものこと……。それは昔から。本当に昔から。何も変わらない……。はぁ……ついこの間も……」
離せば話す程、父についての愚痴になっていく。
母は無口な人である。それは日常会話でもお分かりで、大抵は句点一つで話が終わる。其れを此処まで愚痴を開かせられるのは、ある意味凄い事なのかも知れない。
顔を引き攣らせながら母の愚痴を聞いていると、気が付いた母がまた真顔に戻る。
「あぁ、いけない。私達の馴れ初めやら、付き合った後の話だったね。
デートは発案は何時も相手が考えていたよ。よく行ったのは美術館、博物館、水族館。『君、こういうの好きでしょ?』って言いながら色んなところに出掛けた。大抵その後の予定決めてないか、逆に詰めすぎて、調整するのは私の役目だったけど。
けれども振り返って見たら、恋人らしい事をしたのは随分と後だったね。手を繋いだのは付き合ってから半年経ってからだし、其れも私からだったし……。だから家に招かれたのは何年後だ? まぁ随分と後の話だよ。それから……。
あの人、私が触れると何時も満面の笑みで笑うんだよね……」
父に着いての馴れ初めを語る母は随分と饒舌で、表情豊かだった。表情筋は欠片もうごかないが、口調や目が全てを物語っている。恐らく、今でも父のことを愛している。
「時間かかったんだね」
「当たり前だろう。感情なんて数ヶ月で育つ訳が無いんだから」
そう言って母は私の顔を真っ直ぐに見詰めた。それには真摯な光が宿っていて、ふざけようものならば私でも怒りを表にしそうな程。
そしてその言葉がしっとりと胸に響いた。
「私、彼の事が好きで、其れでずっと焦ってた。でももう少し……一緒にいたいな」
そう言うと母は一度瞬きをして、溜息を一つ着いた。『世話のかかる子供だと言うように』。其れから淡々と何時もの口調で語りかける。
「まだ聞きたい? 貴方の父親の愚痴」
「もう、いいかな」
というか愚痴じゃなくて惚気話だし。
今回すっげぇ荒いじゃないですかァ!!
※なんか突然始まる作者の愚痴。
だからプロット加筆修正して、膨らませたんですよォ!!
短編はダイジェスト版なので、荒くも突っ込む精神です。
作者的にはガチガチのプロットを晒してる感じなんで。
此処にさらに肉付け、削りを行います。
こうするとですね、『感動するほど書きやすい』と思っています。
戻るのも肉付けするのも、すっげぇ楽。
今は短編→プロットの無限ループ。書き上がったらまた見返して、無駄を端折るぞ〜。
という気分です。
あ、これ出来なかったら長編にはしません。
短編を続けて読まれる方がどれ程いらっしゃるのか分かりませんが、母、無口です。
大抵一言、二言、相手と自分が知りたい情報が得られたら、即刻話を切り上げるタイプです。
じゃ、夕飯の準備するわ。
これが何時もの母。
そんな母が自分も相手も得にならないような愚痴を延々と言ってるんです。
それだけ父が特別なんです。愚痴も毒も吐くけれど。
ちなみにこのエピソード、『周りくどいな』からの引用。あんな感じの恋人です。