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小野塚市警察署心霊捜査班  作者: 勇人
第壱の噂「人喰い駅」
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第壱の噂「人喰い駅」②

注意

・本作品はフィクションです。実在の団体、人物とは何ら関係ありません。

・この作品には一部性的な描写、暴力シーンやグロテスクな表現が含まれております。苦手な方はまた、作中に登場する心霊スポットは、すべて架空の場所です。廃墟に無断で立ち入る行為や犯罪行為を本作品は一切推奨いたしません。

 明良は棗塚駅の前にやってきた。

 棗塚駅は小野塚駅の次にある、新東京線が通る駅だ。

 オフィスビルや商業施設などがいくつかあり、駅前広場では会社員や学生が行きかい、賑わっている。


「・・・えっと、そういえば、0係の人たちの顏とか、知らないんだよな。この駅のどこかで捜査をしているんだろうけど、どこを探そうかな」


 明良は棗塚駅の構内図を見ながら、どこに行けば0係の人たちと会えるか少し考えた後、まずは駅員室に向かうことにした。駅員室なら、警察官が捜査に立ち会う時に必ず訪れる場所だし、そこに行けば誰か捜査員がいるかもしれないと思ったからだ。


「・・・何だろう、駅の中、妙に暗いな・・・」


 駅の中に一歩足を踏み込んだ瞬間、明良は妙に居心地の悪い空気を感じた。何だろう、駅前とは打って変わって暗いというか、空気が悪いというべきか、とにかく嫌な気配を感じた。身体中の鳥肌が一斉に立ち、異様な寒気を感じる。駅の奥がなぜか真っ暗でよく見えない。そして、奥にまるで何かが潜んでいるような気配を感じた。


 バカバカしい、と明良は嫌な考えを振り払ってとりあえず駅員室に向かおうと思った。こんなの、どこにでもある普通の駅じゃないか。どうして自分はこんなに怯えることがあるのだろうか。一体何があるというのだろうか。


 強がってはみたが、それでも嫌な感じは明良の中から離れてはくれなかった。ここはおかしい。見た感じはどこにでもある普通の駅なのに、この嫌な感じの空気は何だろうか。誰かにさっきから見られているような気がする。辺りを見回しても誰も自分のことなど見ていない。それでも、まるで自分のことを監視しているような嫌な感じの視線を確かに感じる。まるで自分のことをじっくりと観察し、いつ襲い掛かろうかと狙っているような、気味の悪い何かがどこからか自分を見ている。


(・・・気持ち悪い・・・何だ、これは・・・!?)


 その時、胸元が暖かく感じた。


 その暖かいぬくもりは、わずかだが気分を回復させてくれるような気がした。それはスーツの胸元に入れてあったお守りだった。それを手に取り、強く握りしめて、ぎゅっと瞳を閉じた。


(・・・助けて!!)


 すると、まるでさっきまで身体の周りをまとわりついていた嫌な空気がすぅっと引いていき、身体が楽になっていく。そして、自分を見ていた気味の悪い視線が感じなくなった。瞳を開くと、暗く無機質で殺風景な駅のままだったが、嫌な気配は感じなくなっていた。


「・・・ふう」


 深くため息をついて、明良はいつの間にか額にじっとりと汗をかいていることに気づいた。身体中から汗が噴き出して、シャツが肌に吸い付いてきている。ハンカチで額をぬぐい、重い足を引きずるようにして明良は駅員室に向かおうと歩き出した。


 しかし、革靴の先がわずかな段差に引っかかって、バランスを失い、明良は倒れそうになった。床が迫ってくる。受け身を取ろうと腕を伸ばした瞬間、自分の前に誰かが飛び込んで身体を支えてくれた。花のような甘くて爽やかな香水の香りがして、柔らかい感触が自分の身体を受け止めてくれた。


「大丈夫ですか?」


「あ、だ、大丈夫です!!」


 明良の目の前には、目が覚めるような端正な顔立ちをした美女が立っていた。黒髪のショートヘア―に、しわ一つなく着こなしているスーツとパンツ越しでも分かるほどに、出るところは出ていて、引っ込むところは引っ込んでおり、さらにスラリと伸びた長い脚が特徴的なモデルのような美人が、自分の身体を受け止めてくれていた。


「す、す、すみません!!」


 その場で土下座でもしそうな勢いで、明良は顔を真っ赤にしながら頭を下げた。彼女はそんな明良の様子を見て、くすっとおかしそうに優しく微笑んだ。その笑顔もとても綺麗で、明良は思わず見とれてしまっていた。


「そんなに緊張しなくても平気ですよ、南雲明良警部補」


「・・・へ?どうして、自分の名前を知っているのでしょうか?」


「申し遅れました。私は国東くにさき牡丹ぼたんと言います。小野塚市警察署生活安全課特別捜査班0係に勤務しております。本日よりよろしくお願いいたします」


 そう言って、牡丹は乱れのない綺麗な敬礼をした。

 こんなものすごい美人が、自分と同じ部署で働く同僚であることに、明良は頭の中が真っ白になった。そして、震える手で敬礼を返しながら、言葉を絞り出すように自己紹介をする。


「よ、よ、よろしくお願いいたします。南雲明良です・・・」


「それでは早速駅員室にご案内いたします。こちらにどうぞ。他の署員もちょうど戻ってきたところです」


 170㎝以上はあるであろう長身でスマートな雰囲気はまさに仕事が出来る大人の女性と言った感じだ。どうしてこんな彼女が、追いだし部屋と呼ばれているこの部署に配属されているのだろうか。気になったが、明良は今は聞かないことにした。今は事件の捜査が肝心だ。浮足立つ気分を必死で抑えて、気を引き締めて取り組まねばならない。


「失礼いたします。ボス、南雲明良警部補を見つけましたのでお連れいたしました」


 駅員室に入ると、高校生ぐらいの女の子が二人を出迎えた。


「おう、迷子にならずに無事着いたか」


 彼女は腕を組んだまま、偉そうな言葉遣いで明良に話しかけてきた。肩まで伸ばしたセミロングに、負けん気の強そうなあどけない顔立ち、明良よりも小柄かつ華奢な見た目をしている彼女は、どこからどう見ても学生のようにしか見えない。しかし、さっき牡丹はこの少女に向かってボスと呼んでいた。


「・・・あ、あの、もしかして0係の方ですか?」


「おうよ、私が小野塚市警察署生活安全課特別捜査班0係の室長で最高責任者の北崎きたざき桜花おうかだ。よろしくな」


「し、室長!?」


 思わず声が裏返ってしまった。

 どこからどう見ても高校生か、下手すれば中学生にしか見えないほどに若々しいのに、目の前にいるのは間違いなく自分の上司に当たる人物であることに、明良は雷に打たれたような衝撃を受けた。


「どうやら、英美里はちゃんと仕事を果たしてくれたようだな。おい、貴様。顔色が幾分か優れないようだが、貴様もここで何かを感じたようだな。ここでは英美里から預かったお守りは肌身離さずに持っておけ。それが貴様のことを守ってくれるからな。ただし、万が一の場合も考えて、ここからは単独で行動をすることは出来るだけ控えてくれ。最低でも一人連れて行動をするように」


 桜花は鋭い目つきで、有無を言わせない口調で指示を出した。明良はその言葉に素直に頷いた。さっき、駅の中に入った瞬間に感じた嫌な気配、意識が遠のいていくような奇妙な体験がよみがえり、思わず身体に寒気が走る。一人で行動をすることは、ここでは命に係わるほど危険な行為であることが明良でも分かった。


「お疲れ様で~す」


 その時、扉が開いて一人の女性が入ってきた。ミディアムボブの髪型に、ライダースジャケットとGパンといったラフな格好をしており、光の加減で赤色のようにも見える茶色の丸くて大きな瞳が特徴的の可愛らしい感じの女性だった。


「お疲れ様です、霧江きりえさん」


「霧江、コイツが今度ウチの部署に入ってくる新人君だ。お前、先輩として色々と教えてやれ」


「おおっ、もしかして、この可愛い子が今度ウチに来る新人さん!?」


 霧江と呼ばれた女性が、目を輝かせてまるで子犬のように愛くるしい笑みを浮かべながら明良に近づき、話しかけてきた。


「じ、自分は、南雲明良と言います!今日からよろしくお願いいたします!」


「あたしは葛西かさい霧江きりえだよ~。あっきー、これからもよろしくね!困ったことがあったら何でも聞いてね!」


 あっきー、と突然愛称で呼ばれて明良は固まった。これまでに、こんなにも可愛い美人から初対面でいきなり笑顔で愛称で呼ばれるなどこれまでの人生にはなかった。霧江はニコニコと人懐っこい笑みを浮かべてグイグイと距離を縮めてくる。


「霧江、何か分かったか?」


 桜花が質問をすると、霧江が思い出したように話し出した。


「うん、3番ホームに会ったお社がメチャクチャにぶっ壊れていたよ。ご神体の鏡は何とか無事だったけど、あんなにお社が荒れたら、そりゃ霊だって抑えられなくなるよね」


「なるほど、3番ホームにそんなものがあったのか。いつ頃壊れたのか、調べてみる必要がありそうだな」


「そのお社の写真を英美里さんのパソコンに送ってもらえますか?」


「もう送ったよ。あと5分もしないうちに結果が来るんじゃないかな」


 彼女たちの会話で、明良はある単語が引っかかった。


 今、彼女たちは”霊”という言葉を口にしなかっただろうか?どうしてここで霊という話が出てくるのだろうか。いや、そもそも彼女たちは何を調べているのだろうか。明良はまず、桜花に尋ねてみることにした。


「あの、北崎室長、今、僕たちはどんな事件の捜査を行っているのでしょうか?」


「英美里から聞いてないのか」


 桜花は呆れたように頭をポリポリとかいて、一呼吸おいてから話し出した。


「この駅で起きている原因不明の超常現象、まあ、分かりやすく言うと、幽霊を見たとか言う目撃情報の調査だな」


「・・・ゆ、幽霊?」


 桜花から返ってきた答えに、明良の頭の中は一瞬凍り付いた。

この度は本作を読んでいただき、本当にありがとうございます!!

もし気に入っていただけたら、ブックマーク登録、是非ともよろしくお願いいたします!!


南雲明良のプロフィール

身長:165㎝(四捨五入をすれば170㎝です!by明良)

性別:男性(一応by桜花)

階級:警部補(元キャリア組でしたby牡丹)

趣味:トレーニング、猫カフェ巡り、お菓子作り(腕前はプロ級)

好きなもの:猫、時計の館のブラックコーヒーとカレーライス、フルーツ類

苦手なもの:理不尽な命令、プライドの高い人、寒いところ

特技:剣道三段、柔道三段。100メートルを9秒で走る脚力

イメージカラー:赤色

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