ある店で。
夕食を前にして、客の一人が歌い出した。
何かのパフォーマンスかも知れない。
でも周りからはなんの反応もなかった。
「このステーキ美味しいですね」
そう語る君すら気にとめてないように見えた。目の前に座ったまま、さも当たり前のように箸を進める。
再び周りを見ると、もう過半数が何かしらの奇行を繰り返していた。
こうなってくると、おかしいのは僕の方なのかも知れない。
正常が果たして本当の正常かどうかは誰も知らない。
誰かの異常は誰かの文化なのかも知れない。
どこの誰とも知れない君は、デザートを前に逆立ちをしていた。