異世界は無法地帯。一章.第八話
その後、上空巳は体感で三時間くらい待っている。
世界構築をダウンロードした後は、リソースデータだのなんだのをダウンロードしてインストールしては読み込みをし、また何かをダウンロードしては読み込みをを繰り返している。
もう体の感覚がないのも慣れた。
これでまた体が戻ったら歩けなくなりそうだ。
現在、上空巳の視点?の先にはこう書いてある。
サーバーに接続中・・・
これが普通のゲームならもうロードが終わりそうだというところだが、上空巳の体感で五分くらいずっと接続中である。
そう思っていたら視点がまた真っ白になり、手足の感覚が戻った。
そして、自分に近いところから地面が描画される。
床は石が組み合わせて作られており、周囲には何もない。
その間にも自分の周りから描画が進んでいき、前方に小さな家を見つけた。
その家から、人が一人出てくる。
かなり遠くなので詳細はわからないが、黒いローブで全身を覆っているようだ。
声をかけようと、手を口の横に当て、息を大きく吸った。
その人は手をこちらの方へ向け、少し動かした。
次の瞬間、上空巳の胸のあたりに大きな穴が開いた。
その人の手と上空巳の胸を結ぶように光線のようなものがある。
その人が手を軽く振ると光線が移動し、上空巳の胸から肩にかけて抜けていった。
上空巳は一瞬で数キロのダイエットに成功したと言えば優しいが、上空巳はそんなことを望んでいないし、胸に穴をあけてまでやるようなことではない。
上空巳の意識はだんだん薄らいでいき、足の方から感覚がなくなっていく。
そして、
上空巳は、
反論の余地なく、
死んだ。