異世界は無法地帯。一章.第七話
これでまた新しいマッチに入ってもいいのだが、上空巳はゲームを落とした。
俗にいう萎えたというやつである。
今度は動画配信サイトを開いて、おすすめを見る。
どうやら新作ゲームが今日配信開始されたようだ。
広告をクリックしてホームページを見る。
無料プレイらしいのでダウンロードを始める。
俗にいうF2Pゲームのようだ。
ダウンロードして開くと、ログイン画面が出てくる。
パソコンゲームはだいたいメールアドレスでログインしてから遊ぶものが一般的だ。
スマホゲームは逆にスマホ自体の何らかのデータで一回ログインしてから、アカウント連携する方式が一般的だ。
新しいアカウントを作る というURLをクリックしてゲームのホームページにアクセスする。
メールアドレスとパスワードを入れて、アカウント作成ボタンを押す。
私はロボットではありませんをクリックすると、認証メールが送信されましたという表示が出る。
メールボックスを開き、ゲームから来たメールの中にあるURLをクリックする。
ブラウザが開き、アカウント認証が完了しました。という表示が出る。
今度は先ほど開いたゲームのランチャーに、メールアドレスとパスワードを入力する。
入力している途中にメールに着信があった。
多分ゲームから来た、アカウント認証が完了しました!というメールだろう。
無視してログインボタンを押す。
また出てきた私はロボットではありませんというやつをクリックする。
すると、今度はゲームソースのダウンロードとインストールが始まった。
この程度なら三十分で終わるだろう。
上空巳はその間にスマホを持って、妃美に連絡を取ってみた。
どうやら妃美はまだ新しいゲームのことを知らなかったらしい。
上空巳はゲームのホームページのURLを妃美に送った。
妃美は『今は運転中なので家に帰ってからやるのです~』と送ってきた。
運転をしない上空巳にもわかる。
運転中にスマホをいじるのはよくない。
だが今ここで何を言っても無駄なので、上空巳は今度はコンビニに行くことにした。
最近プラスチック税というものが導入されたせいか、コンビニの売り上げがよくないらしい。
プラスチックを製品に使うだけで商品の価格の五十パーセントも税金として持っていくのはやりすぎだが、消費量を減らすために大きくかじを切ったのだろう。
実際プラスチック消費量は十分の一以下に減っている。
というわけでコンビニ業界は大変不況なのだが、アルミやスチールなどの缶ジュース類は規制が特にかかっていないので、エナドリを買う。
まさかエナドリがただの天然水より安くなる時代が来るとは。
ついでに小腹が空いていたので、コンビニチキンも買った。
コンビニチキンはコンビニによってさまざまな形があり、丸く加工してから上げたものから、四角く大きいものなど、どれもおいしい。
本当はグミが買いたいのだが、プラスチック税が高いので買えない。
コンビニの袋もプラスチック税の影響で高いが、原価が安いのでそこまでではない。
コンビニ袋にチキンとエナドリを詰めてもらい、上空巳は外に出る。
本当にコンビニは便利で、すぐ近くにあるのがいい。
ゲームもほとんどダウンロードし終わって、99%と書いてある。
ここからが長いのだが、幸いすぐ終わりそうだ。
買ってきたチキンを取り出し、エナドリの蓋を開け、ダウンロードバーを眺める。
ダウンロードバーの上では、ゲームが配信開始や、ゲーム開始記念ガチャなどと書いてあるバナーが回転している。
チキンを食べ終わったころ、ゲームのダウンロードが終わった。
一度設定を確認し、特に何も設定するようなことはなかったので、ゲーム開始をクリックする。
ランチャーは閉じ、フルスクリーンのゲームが起動する。
作った会社のロゴが表示され、ゲームのタイトルとサーバー選択とゲーム開始というボタンがある。
よくあるオンライン対戦ゲームの作りだ。
サーバーはなるべくPINGが低いものを選び、ゲーム開始を押す。
ホーム画面を読み込み中・・・
新アカウントの作成・・
倉庫を同期・・・
設定を同期・・・
という感じでロードが挟まり、真ん中にプレイヤーが銃を持ってどや顔しているホーム画面が表示された。
迷彩柄の上下そろえたコンバット装備に、アサルトのような銃を持っていて、髪は少し丸まったアフロで、茶色だ。
ゲームを起動すると無条件にチュートリアルを始めるゲームらしく、チュートリアルに合わせてあるマッチングのスタートのボタンをすごく強調している。
こういう時上空巳は一応ほかに触れるものがないかやってみるのだが、スタートボタン以外まったく反応しない。
あきらめてスタートボタンを押す。
特にプレイヤーを集めるわけでもないので、すぐにマッチング完了と表示され、射撃場に飛ばされる。
その時、ヘッドフォンから
ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ
という音が出た。
そして、パソコンのディスプレイには青い画面と白い文字で
予期せぬ問題によりパソコンがクラッシュしました。情報を集めています・・・
と表示された。
ゲームの負荷にパソコンが耐えきれずクラッシュしたらしい。
上空巳は画面を眺めながら呆然としている。
パソコンはうぃんうぃん鳴り、ちょっと暑そうだ。
そう思った次の瞬間、ディスプレイの色が変わり、目まぐるしく文字が移動していった。
パソコンを復旧・・・
mes/type(reboot)`#"23')=!"233just'":...
rms/tyr(response)=!"0'#"
セーフモードで起動・・・
mes/type(safe)`#"23')=!"256just'":...
rms/tyr(response)=!"0'#"
drfytguhyijokl@p;[:
]otherr5r76t890i-op@;:].fd
@:];:@\/worldl;
7890p;po;kl,making,;.p9o;jkmiujklmoiklol@:pol@ptyp@oipiyapufpaudopiaoifhy[@[[@o
ki98))80o-@p;:`L*}+]:;[p[@;FGHJK@[@
crash,[]`*}{{{~~loop@{`~**[[@
;[@]:;[];];];]^-[]:\67890--------------------------
そしてまた画面が真っ黒になり、ある一つの文章が表示された。
オマチクダサイ・・・
と。
ファミコンゲームかよっと上空巳が突っ込もうと思ったところで誰もいないのになんか喋ったら怖い人だと思ってやめようとしたがパソコンがクラッシュしたときに平常な人はいないと考えた上空巳は叫ぼうとして、いやキーボード殴ったほうがいいのじゃないかと思って机に片足をのせながらキーボードをつかんだところでパソコンの画面がまた真っ暗になった。
もう、パニックである。
上空巳は叫びながらキーボードを殴ればいいと考えでもキーボードを持ってたら殴れないということに気が付きキーボードを置いたところで片手で持って片手で殴れば威力が高いことに思い至り、またキーボードをつかもうとしたら、パソコンが光り出した。
上空巳は完全にパニックである。
パソコンの光は際限なく明るくなっていき、上空巳はまぶしくなり、顔を手で覆った。
ここでまた上空巳のパニくった頭が『ここは「メガァメガァ」って言うべきだろ』という本当にどうでもいいことを思いた。
パソコンの光がもうこれ以上ないくらいに明るくなった時、上空巳の四肢の感覚が消えた。
消えたというより、頭だけ取れた感じだ。
こういうときに上空巳の頭は『ロボットだから頭が取れても平気、兵器だけに』というしょうもないことを思いつくのだが、ロボットでも頭が取れたら死ぬだろと自分で突っ込みを入れる。
いつのまにか目の前は真っ暗になり、白い文字でこう書かれていた。
世界構築をダウンロード中・・・・
今度はファミコンじゃなかった。