異世界は無法地帯。一章.第六話
お昼ご飯を食べた後、妃美は帰った。
妃美は来た時と同じようにきれいな運転で軽自動車に乗って帰っていった。
その後上空巳は家のものが何もなくなっていないか確認するのに一時間を使った。
妃美の荷物が来た時より増えていた気がしたからだ。
結局何もなくなってはいなかったが、なんで膨らんでいたんだろう。
上空巳がこれからやることと言ったら、やはりゲームである。
どこぞの真っ白兄弟(義理)じゃないが、一日の半分くらいはゲームをしている気がする。
これから夜にかけてかなりのプレイヤーがオンラインになるので、ストレスなくプレイできる。
逆に深夜などは全くプレイヤーがいないので、マッチングがかなり遅い。
上空巳はまた一個ゲームを開いてマッチングを開始する。
人によっては一つゲームをやった後に別のゲームができない人もいるが、上空巳は大丈夫な方だ。
ちなみに、Iyamadaはそもそもパソコンがダメすぎてほとんどのゲームができないのでその心配がない。
それに対し上空巳のパソコンはかなり高性能で、メモリもたくさん装備しているし、CPUは爆熱である。
それを冷やすためのファンが割とうるさいが、それ以外はまるでストレスがない。
ストレージは外付けも併せて十分確保してある。
値段は聞くな。
高いに決まってるだろ。
その高級パソコン(パソコンに高級っていう表現しないよね)に240Hzのモニター。
マウスもキーボードもヘッドフォンもかなりいいものを使っている。
うらやましい・・・Iyamadaさんもそういうの欲しい・・・
マッチングはしたものの、やはり昼間もあまり人がいるような感じがしない。
みんなご飯を食べているのだろう。
普通に一日中ゲームをしている上空巳がおかしいのかもしれないが。
だいたいのバトロワは人を五十人とか百人集めているが、全員がプレイヤーというわけではない。
時間帯にもよるが、多くても百人の中で三十人。
残りはBOTで埋めるのである。
運営もやろうと思えば最強BOTを作れるとは思うが、やったらおもしろくないのでやらないのだろう。
今回、プレイヤーはだいたい十人程度だろう。
こういうときは最初に死ぬのが一番面白くないので、なるべく人がこなさそうで、資源がおいしい場所に降りる。
まったく関係がないが、なぜバトロワは大体へリだの飛行機だの上空からパラシュート使って降りるんだろうか。
まぁ一か所に一斉にスポーンしてみんなでナイフという展開も困るが。
バトロワで降りて一番にすることと言ったらとりあえず住居の中に走っていって何でもいいから武器を取ることである。
ゲームによってはこぶし一つで放り出されるので、武器がないと何もできない。
このときに武器をえり好みするのではなく、とりあえず持っておくことが大事だ。
後で違う武器を探して取り換えればいい。
上空巳が拾ったのはショットガンだ。
このゲームはあまり近接戦闘がないのでショットガンはすぐ捨てるのだが、最初みんなが武器を拾う段階だとかなり役に立つ。
他にもショットガンの弾やヘルメット、防弾チョッキ、包帯なども拾っていく。
初めのほうは本当に物資を選んではだめだ。
どうせバッグの容量を気にするより、生き残ることのほうが大事だ。
このときにそこら辺にいるBOTがいい銃を持ってたりすると楽だ。
BOTなら大体楽に倒せるので、あとは落ちた物資からいただくだけである。
今回は上空巳の周りには誰もいない。
銃声どころか足音一つ聞こえない。
こういう時に大事なのが、そのままそこに留まって物資を探すか、それとも新しい場所に行って物資を探すか判断することだ。
今いるところが小さい場所で、ほとんどすべての場所を探したならいいが、大きい場所なら細かいところも探すのがよい。
移動するときには遮蔽物がないうえに見る場所が多くて、倒される可能性が高いからだ。
可能なら装備を整えたい。
バトロワは一つミスったら死ぬこともあるので、一つ一つの動作を慎重にかつ素早く行っていく。
上空巳は十分にあたりを散策し、装備を整える。
全ての建物を見て回ったら、今度は車に乗る。
車は音が出るので歩いてもいいが、遮蔽物のないところにいる時間はなるべく少なくしたい。
まだ開始してからあまり時間がたっていないのであたりに人がいる可能性も少ないが、少ししたら人がたくさん出てくる。
それを避けるため早く移動するのだ。
上空巳が乗ったのはちょっとスタイリッシュな青いスポーツカーだ。
バトロワではこういう車が結構いろんなところに落ちていることが多い。
周りに家が一個もない町と街の真ん中の道のそばにすら落ちている。
運転中も前だけ見ればいいわけではなく、ちゃんと周囲を見ておいた方がいい。
もしかしたらBOTがいていい物資を持っている可能性もあるし、プレイヤーがいたら倒される。
ちなみにこういう車はだいたい撃たれて体力がなくなると爆発するので、撃たれたらとりあえず降りるのがよい。
車から降りたダメージより爆発ダメージのほうがきつい。
幸いにも敵に出会うこともなく次の町までたどり着いた。
ここもドアが一個も開いていないので、多分誰も来ていないのだろう。
一応は警戒しながら建物の一つに入る。
そういえばバトロワの世界だと銃や銃の弾エナドリやらヘルメッドなどが普通に床に落ちているが、どう考えたら床に銃を置くという発想に至ったのだろう。
踏んで暴発したらそれで終わりだし、普通に机に置いたり壁にかけておいた方が利便性も高いだろうに。
この世界ではアイテムを踏んでも特に何も起きないので何も気にせず走れるが、現実世界では絶対にやめていただきたい。
それと同じで、銃のトリガーに常に指をかけているのもどうかとは思う。
逆に銃の取り扱いにとても慎重なバトロワの主人公もどうかとは思うが
やはり町二つ分を一人で漁っているのでかなり装備のそろいがよい。
このまま終盤になっても生き残れそうだ。
これからやることというとキルムーブである。
さっきとは逆に車で野原を駆け回り、敵がいたら車で引いていく。
車に引かれるやつはだいたいBOTだ。
引いたら今度は車を止めて、そいつが落とした物資の中から必要なものを取りに行く。
銃はもう決めたので、集めるのは弾と回復アイテムだ。
プレイヤーだった場合、回復アイテムなども潤沢に持っているのでおいしい。
どうやら今引いたのはBOTだったようだが、同じタイプの弾を使っていたので回収した。
回復アイテムはいいものは持っていなかった。
上空巳はまた車に乗ってキルムーブに移る。
時折町に寄って物資を探したり、車を乗り買えたりしいる。
そして、草原に車を出したとき、車が爆発した。
上空巳は銃性が聞こえた瞬間に車を降りていたので、何とか巻き込まれなかったが、HPが半分くらい減っている。
車がトップスピードだったので、降りた時のダメージだ。
回復したいが、敵がすぐ近くにいるので後回しにする。
とりあえず銃声がした方から隠れるために木の後ろに回る。
そこら辺に木が生えてるのもバトロワのいいところだ。
すると今度はスモークグレネードが飛んできた。
それもたくさん。
上空巳の周りが雲に包まれる。
上空巳は全方位に視点を振りつつ雲の中から出ようとする。
雲の端っこまで来たところに敵がいた。
だが、上空巳が敵を視認した瞬間、上空巳は倒されていた。
ショットガンだ。
ポンプショットガンの威力がかなり高い奴を頭に食らって一撃である。
本当に弱いショットガンでよくやるものである。
こうなってくるとショットガンも弱いとは言えないのかもしれない。
どちらにしろ上空巳は負けた。
順位は四十二位。
微妙だ。