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異世界は無法地帯。一章.第五話

 上空巳が朝八時になって起きたら、妃美が上で寝ていた。

 仰向けで寝ていた上空巳おなかの上で、きれいに丸くなって寝ていた。

 寝言なのか


「です~です~です~」


 とずっとつぶやいている。

 上空巳は寝ぼけた頭で何があったか確認した。

 少なくとも上空巳は何もしていないはずである。


 とりあえず妃美をベッドから落とした。

 妃美は


「ぎゅふっです~」


 と言っているがまだ寝ている。

 そしてまた


「です~です~」


 と言っている。

 起きる様子はない。


 上空巳は妃美を踏まないようにベッドから降りて、とりあえずパソコンの電源を付けた。

 パソコンは問題なく起動していく。


 ゲーマーが朝起きてやることというと、とりあえずデイリーログインだけ済ませることだ。

 デイリーログインだけで色々もらえるし、連続ログインボーナスなども入る。

 イベントなどでは毎日ログインしていないと最後まで行けないものもある。

 大量のゲームを起動しては落としを繰り返す。

 夏休みイベントはやはりおいしい。

 普段ならゲットするのに二週間くらいかかる量のコインやその他物資がたった一日で手に入る。

 おいしい。


 とりあえず朝ご飯を食べて、そこからまた今度はデイリークエスト消化をしよう。

 そう思って立ち上がると、妃美が今度は


「なのです~そうなのです~」


 と言い始めた。

 どんな夢なのか気になるが放っておこう。


 上空巳の朝ご飯は毎日パンである。

 焼くだけの簡単な作業でおいしく温かいものが食べられる。


 トースターに食パンを一枚入れて四分にセットする。

 焼いている間はスマホゲームのログインボーナスを回収する。

 スマホゲームのほうがログインボーナスが普及している感じだ。


 パンが焼きあがると、食べながらゲームニュースの確認だ。

 新作ゲームの情報や、大型アップデートの情報などを見てから、動画サイトで「簡単にダメージカンスト!四十二億の力」というタイトルの動画を見る。

 上空巳もカンストさせたことはあるのだが、新キャラになると簡単にできるらしい。

 最レア排出率1.5%のガチャを回しまくって最レア艦隊で挑めばそれはカンストしてもおかしくはないわなっていう感じだ。

 上空巳にそんなお金はないので、無理だが。


 ご飯を食べ終えると、パソコンに向かい、ゲームを一つ起動する。

 上空巳がヘッドフォンを付けていなかったため、起動したときに爆音が鳴った。

 爆音といってもせいぜい音割れしないくらいのものだが。

 上空巳は割と大きめの音量でゲームをやるタイプだ。

 音量が大きいとそれだけ足音なども聞こえやすい。

 ヘッドフォンをつなげ、上空巳はそれを耳につける。


 爆音で起きたのか、妃美が後ろにいた。


「おはようございますです~」


 起きたのはいいが、まだ眠そうだ。

 目をしょぼしょぼさせてる。


「おはよう」


 上空巳はマッチングに入る。

 今日のデイリークエストは


 敵を二十人倒す。

 一試合する。

 敵の銃を使って一人倒す。


 の三つだった。

 これとは他にウィークリークエストで


 敵を三百人倒す。

 三百ラウンドプレイする。


 というものがあった。

 月間クエストはないタイプだ。

 これとは他に固定クエスト、俗にいうチュートリアルクエストなどもあるが、それは全部終わらせていた。


 今日のクエストを確認したところで、マッチングした。

 マップは砂漠で、上空巳が苦手なマップだ。

 上空巳はサブマシンガンを使っての近接戦闘が得意だが、このマップは遮蔽物が少なく、近距戦闘がほとんどない。

 上空巳は次に得意なスナイパーを持ってスポーンした。

 このスナイパーは当たったら即死ダメージを与えるかなり威力の高いものだ。


 狙撃ポイントに立って、スナイパーを構える。

 味方が周りをクリアリングしているため、敵はここからしか来ない。

 もしくは味方がやられるかだ。


 しばらくすると敵は来た。

 上空巳は銃のトリガーを引く。

 敵がダッシュしていたので少しフリックして。

 敵にその最大威力の弾が吸い込まれる。

 そしてキルしたときの音が鳴り響き、上空巳が使っているキャラが


「一体排除」


 と言いかけた時、敵が現れたところからもう一人敵が現れた。


 このスナイパーは威力が高い代わりに連射力はない。

 一発撃ったら二秒間は無防備だ。


 上空巳は敵をやるのをあきらめて、ナイフを持ち物陰に隠れようとする。

 しかし、少し間に合わなかった。

 敵の弾が自分の頭に当たり、上空巳が操作するキャラは


「ぐわっ」


 っと言いながら倒れた。

 もう死んでしまったので、このラウンドはスポーンできない。


 次のラウンドまで待とうと思ったら、トースターが焼きあがったときの音を上げた。

 キッチンを覗くと、妃美がトースターからパンを取り出していた。

 片手にはジャムとジャムナイフを持っていた。

 どちらも上空巳のものだ。


「え~と」

「ごちそうさまです~」


 勝手に食べておいてごちそうさまはないと思うが、どうせ食パン一切れだ。

 上空巳も暇ではないので、パソコンの前に戻る。


 画面では味方の最後の一人が敵を探していた。

 一対一だ。

 敵はさっき上空巳を倒したやつだ。

 そいつは他にも三人倒しているらしい。

 そいつがあと最後の味方を倒せばペンタキルでエースだ。

 ちなみにエースとは、敵をすべて自分が倒したときにもらえる称号である。

 そう思ったところで味方が後ろからやられた。

 どうやら角待ちしていたようだ。

 味方はチャットで『sorry』と言っている。


 正直今回の敵かなりできる。


 上空巳は『nt』と送り、次のラウンドの準備をする。

『nt』とはNICE TRYの略で、よくがんばった!というような意味だ。


 上空巳は先ほどとは違う場所に待機して、スナイパーを構えている。

 今度は遮蔽物のすぐ近くにいるので、先ほどのようなことは起こらないだろう。


 そう思っていたら敵が来た。

 今度はゆっくり出てきたので合わせていたところで撃つ。

 今度もまた敵に弾が当たって、敵は倒れた。

 しかし、敵も弾を上空巳に当てていた。

 ヘッドショットだが、距離減衰があったおかげで死ぬことはなかった。

 が、瀕死だ。

 キルログを見ると、先ほどエースを取ったうまいやつだ。


 味方から回復をもらって、もう一回先ほどの場所を覗く。

 敵はいなかった。


 上空巳は警戒しながら次のスポットに向かう。

 スナイパーは攻めには向かないので、そこらへんに落ちていたアサルトを拾う。


 パンを食べ終わったのか妃美が後ろに立っていた。


「上空巳さん勝てそうなのです~?」


 上空巳のチームがゲットしたポイントは敵より多い。

 ざっと1.5倍というところだろうか。


「勝ちそうだけど、敵にも強いのがいる」


 ここから逆転される可能性もあるが、多分今回は大丈夫だろう。


「強いのってどのひとです~?」


 上空巳はTABキーを押して妃美に見せる。


「キルが一番多い奴」


 その人の名前を見ると妃美は


「この人強いです~」


 と言った。

 妃美もこのゲームをやっているが、マッチングしたことあるらしい。


「私とやったときはパーフェクトゲームだったです~」


 パーフェクトゲームとは、一点も敵にポイントを与えず、勝利することだ。


「どんな感じだった?」


 参考になるかもしれないので聞いてみる。


「ちょっとおかしいくらい強いときがあるです~」


 参考にならなかった。

 つまりは普通に強いということだろう。

 これが終わったらフレンド申請でも送ってみよう。


 その後、上空巳は後ろから妃美にいろいろ言われながらなんとか勝った。

 後半に大量得点を決められ危なかったが、もつれにもつれて最後のポイントを争って上空巳とさっきの強い人で一騎打ちになり、なんとか上空巳が勝った。

 フレンド申請を送ったら、すぐに承認してもらえた。

 強いということなので、過去の試合の結果を見てみる。

 彼はほとんどの試合でMVPを取っていた。

 ちなみに先ほどの試合は上空巳がMVPを取ることができた。

 一キル差なので、最後の一騎打ちが勝負を分けたらしい。


 デイリークエストを消化した上空巳は、そのゲームを落として今度は別のゲームを起動する。

 妃美は人のゲームを見ているだけでは面白くないのか、スマホを取り出していじっている。

 もしかしてこの家のWiFiにアクセスしているのだろうか。

 ちょっと怖いが実害がないと思うので、放置しておこう。


「上空巳さんそのゲームのID何です~?」


 このゲームはパソコンとスマホに互換性があり、一緒にプレイできる。

 上空巳は妃美にIDを教え、来たフレンド申請を承諾し、パーティーに招待した。

 今度はバトロワ系のゲームである。

 妃美はレベルが結構高い。


「目指すはNo1なのです~」


 誰でもNo1は目指すだろ、と思いながら上空巳は飛行機から落下していく。

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